でりら日記

日々の雑記帳

読んだメモいろいろ

2008年09月20日 | 趣味の雑記
読んだメモ。

8月30日
わたしたちが孤児だったころ/カズオ・イシグロ 入江真佐子 訳
 When we were Orphans/KAZUO ISHIGURO
 2001年4月10日 初版印刷
 2001年4月15日 初版発行 414p
 早川書房 単行本

 ひさびさにカズオ・イシグロ作品。淡々と綴られるだけに、ショッキングな結末だった。ある程度予想はつく結末なのだが、この人の物語は不思議と深く重い。ただ刺激的なものを求めるならばそういう手合いの作品は山ほどあるのだけれど、言うなればあまりに重いパンチを喰らった所為で、痛みを感じることなく眠るように昏倒してしまう、といった具合。しかも右ストレートが来るぞと解かっていてもよけられない。よけたくない。
静かな波がいつの間にか腰の辺りまで溢れかえっていて、気付いたら身動きが取れなくなっている、そんな印象。

9月6日
ヴェネツィア人の不思議な妻~ルネッサンスの探検家とコンピューターと化身をめぐる官能の物語~
 /ニット・バントック 小梨 直=訳
 THE VENETIAN’S WIFE/Nick Bantock
 1996年9月20日 初版発行
 河出書房新社 131p 単行本

 北海道へ出張に行った際、古本屋で購入。絵本のような大型サイズ。コラージュが美しく、実際絵本としても楽しめる。

 美術館で修復作業を担当するヒロインは、ある日「踊るシヴァ神」の絵 (像?うろおぼえ) を観て、突如官能的な衝動に襲われる。その日、不思議なメールが舞い込んでくる。 「あの絵がお気に召したようですね。・・・突然ですが私に雇われて下さいませんか?」

 メールの主は 「幽霊」 、散逸したインド神の像を集めなおして欲しいという依頼。金に糸目はつけず、あらゆる手段で入手を遂行するのを手伝って欲しい、とメールの主は語る。

 像は、様々なかたちの 「愛欲」 を体現するサンスクリットの美しい神々。キリスト教で禁じられているはずのそれはひそかに多くの者達の心を捕え、ある時は聖職者の秘蔵コレクションとして地下に眠り、時代とともにヨーロッパに散逸していった。それを 「集めなおして」 いるというメールの主。

 あるものは個人所蔵品、あるものはオークションで取引される高額商品。退屈な修復作業からスリリングな世界へ飛び込んだ主人公自身に、少しずつ変化が起こってゆく。時を超えて元の持ち主のもとへと戻ってゆく官能的な神々の像、ネットワークに潜む幽霊が導く先に甦る女。

 サブタイトルほどスキャンダラスなものではないのでご安心。ただ、今は珍しくもなんともないけれど10年前の電子メール事情はこんなだったかなと。 (幽霊の正体とPCの組み合わせは当時は斬新なアイデアだったのではないかな)以上うろ覚え!

9月8日
赤い夢の迷宮/勇嶺 薫(はやみね・かおる)
 2007年5月9日 第一刷発行
 講談社ノベルス 303p 新書

 児童向け作品でおなじみのはやみねかおるの「大人向け」小説。テイストは割合そのままで大人向け、いや、うーん、背伸びしたい子にも読めます。いや大人向けっていうのは子供が読んじゃ駄目だっていうニュアンスが微妙に含まれるだけで「コドモには読めない」訳じゃないんだ。うん。
 「迷宮」に相応しく、ぐるんぐるん廻って迷って酔ったような読後感。こういう純粋な悪意は確かに子供向けではないかもしれない。

9月16日
ぼくと未来屋の夏/はやみねかおる
 2003年10月29日 第一刷発行
 ミステリーランドシリーズ
 装画・挿絵/長野ともこ
 装丁/祖父江 慎+阿部聡(cozfish)
 320p 株式会社講談社 単行本

「時間流は、たった一つの未来に向かって収束していく。そのあいだに、たくさんの可能性が切り捨てられていく。その切り捨てられた過去は、いったいどこにいくんだろうね?」

 未来を知りたくないかい?知りたかったら、100円。
 未来を売って旅をしている 「未来屋」 を名乗るあやしいお兄さんと僕の夏休み。神隠しの森、隠され続けた宝もの。
 どうしたら子ども達は本を読んでくれるだろうか、と頭を悩ませ優れた本を探すうちに、自分で児童文学作家になってしまった学校のセンセイ・はやみねかおるの作品。黄色とブルーの装丁も爽やか。

9月16日
届かぬ思い/蘇部 健一(そぶ・けんいち)
 2004年4月5日 第一刷発行
 ブックデザイン/熊谷 博人
 カバーデザイン/岩郷 重力
 カバーイラストレーション/羽住 都
 講談社NOVELS 190p 株式会社講談社 新書

恋時雨 [こいしぐれ]/蘇部 健一
 2006年7月14日 第一刷発行
 羽住 都 画 装丁・城所潤 (Jun Kidokoro Design)
 YA! ENTERTAINMENT
 271p 株式会社講談社 単行本

 上記二冊、タイムスリップもの。勇嶺薫の巻末紹介から講談社NOVELSへ。 「6とん」 こと、 「6枚のとんかつ」 でデビューの蘇部健一、賛否両論あるとどこを見ても書いてあるのだがちょっと気になったので図書館でまとめて借りてみた。 「届かぬ思い」 の中でベストセラー恋愛小説として挙げられていたのが 「恋時雨」 。この順番で読んで正解、かな。

 正直文体が・・・ほかにもいろいろ・・・確かに酷評されるのも解かる。わかりますよ。

9月18日
動かぬ証拠/蘇部 健一
 2001年5月5日 第一刷発行
 ブックデザイン/熊谷 博人
 カバーデザイン/岩郷 重力
 カバーイラストレーション/宇都宮 博
 講談社NOVELS 270p 株式会社講談社 新書

9月19日
木乃伊(ミイラ)男/蘇部 健一
 2002年9月5日 第一刷発行
 ブックデザイン/熊谷 博人
 本文イラストレーション/里中 満智子
 講談社NOVELS 192p 株式会社講談社 新書

 上記二冊、 「ラストページのイラストで犯人がわかる」 シリーズ。そりゃあないよと思いつつ、慣れてしまうと 「そう来たか!」
と思いつつページを捲るのが楽しくなったり。でも、結末ではなくオチでしかない。肝心の描写を書かずに逃げたようにも思える。ううむ。どちらもさらっと読める。電車の中で一日一冊ペース。しかし、とかく文体が・・・読めるけど好みじゃない・・・すんません・・・


ついでに。
湯殿山麓呪い村。ビデオ。レンタル落ち。

 音楽が林光だった!といっても、冒頭+ミイラが出てくるところ+ラストしか音楽は無い。でも聞けば思い出すこのテーマ。昔の映画ってこんなもんか。全体的に舞台劇のようなつくり。
 1984年作品とあっていやはやいろんな人が若い。当たり前か。

 最後まで観て、最初に戻って、冒頭のやりとりがラストに反復されているんだとン十年ぶりに発見。つまり、テーマ曲には意味がある。
「お兄ちゃん」はやっぱり力入ってますね。これが見たかったのよ。ビバ14歳。

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