北海道方言では今「なまら」が有名だけど、あれは方言じゃなく昭和30年代からヤンチャ系が使い始めた若者言葉じゃないのかな? 私の父親世代が使っているのは聞いた事が無いし…私が育った太平洋岸はそうでも、内陸では普通に使われていたのかも知れませんが。
明治の開拓当時は全国から様々な方言が持ち込まれ、当初は意思の疎通もままならなかったそうで、泥棒に入られた家が、隣りではなく離れた場所にある同郷の人の所に助けを求めて走った、などという話が当時の新聞に載っていたそうで。
それがやがて漁が上手な人、雪の生活に慣れた人、そうした人達の仕事を見習ってゆくうちに、その人達のお国言葉を軸にピジン語(奴隷船言葉)的に北海道方言となったのだろうから、浜と内陸の言葉とでは違いがあって当然で、私の育った地域の漁師言葉(浜言葉)は、東北や北陸からの言葉が軸になっているようです。
同じ浜言葉でも函館など道南は東北の言葉に近く、その中でも特に旧亀田郡の言葉は、より個性があるのは、北海道・北東北の縄文遺跡群でも知られるように、古くからの交流があったからなのかも知れませんが
その亀田の出身だそうで、お国訛り(?)を前面に、コミカルに歌った曲を出してくれたのが、本業寺山音(Hongyouji-Yamane=本業ジャーマネー)で、名の通り歌手のマネージャーが本職だそうですが、曲によってシャンソン風、デュエット歌謡曲風、フォーク弾き語り風と、タイプを変え、達者な歌で楽しませてくれました。
中でも好きなのが「AIDOKU-SAY」という曲で、これはヒットした(?)「ごめん」のB面曲ですが、歌詞は、あいてくさいとか、ごんぼほる、はんかくせぇ、いいふりこき、かちゃっぺねぇ…など、これでもかと方言がてんこ盛り。
よくこれだけの方言を無理なく(?)並べたなと感心するばかりですが。因みに標準語的には、相手にならない、駄々をこねる、ばからしい、見栄っ張り、頼りない、などの意味になります。 またここで「AIDOKU-SAY」と表記される言葉、私の田舎では「AITE-KUSAI」と濁らないのが一般的でした。
もう一つ付け加えると、冒頭の "おあだきゃ" は "わだきゃ" と聞こえますが、これはわ=吾=我でしょう。方言はいにしえの都言葉が、波紋のように全国に拡がって行き、それが地方に残ったと言いますね。
過日のケンミンSHOWで、青森と宮崎の言葉に似た所があると言う事で、津軽弁と西諸弁の類似点を挙げていて興味深く、宮崎県は行った事が無いけれど小林市には親近感を覚え、行ってみたくなりました。※ 小林市の移住促進PRムービー “ンダモシタン小林” ではその素敵な言葉が聞けます。
その中で、津軽が酔ってクダを巻く事を「ごんぼほり」と言い、西諸弁では「山芋ほり」となるのも面白く、どちらも長くて骨が折れるという類似点?がありましたが、北海道でも「ごんぼほり」は使うのですがニュアンスが多少違い、主に駄々をこねる等の意味で使い、「AIDOKU-SAY」の三行目の歌詞での使われ方などがそうですね。
そして番組の中で津軽弁と西諸弁、どちらの言葉もフランス語のように聞こえるとありましたが、「AIDOKU-SAY」もまったくそのような感じで歌られれていて、ネットに音源が無くてご紹介出来なかったのは残念ですが。
本業寺山根が最初にユピテル・レコードで出した曲で、「せめて今夜は」と言う歌がありますが、これはは当時流行ったダリダ&アラン・ドロンの「甘い囁き」を、中村晃子と細川俊之でカバーした物のパロディと言った感じで仕上げてあり、シャンソン風の亀田方言が楽しめ、おもわず笑みがこぼれます。
これはネットに音源がありましたので、こちらからどうぞ。⇒ せめて今夜は 本業寺山音
以上、【聞きたい365日 第356話】でした。
追記 AIDOKU-SAIの音楽をUPしましたので、文中の青文字をクリックしお聞き下さい。