INTRODUCTION…アーリーシリンダーとは
BODY… 技術者の作品
CONCLUSION… 内部の美
無彩色のモノトーン世界に、1色だけ鮮やかなゴールドでアクセントを加えれば、とても大きな効果が得られる。色1つでも完結するその芸術性。風景のように計算されて構成されているのであろうか。そういう所から芸術性への道にのめり込む。18世紀半ば頃に製作された懐中時計の比較的初期のシリンダウォッチ構造を通称して『アーリーシリンダー』と分類する。懐中時計はふるい時代のものになるとのいわゆるリューズ位置の部分の考察から始まる。リピーターというベル音を鳴らす機能がついているからである。古時計ではこのリューズを押し込む形式の物が多い。特殊なものでは鍵でまいて稼働用のスイッチとしたものもある。ベルメタル合金の厚型caseであったからこそ良い音色とcase背面の装飾の芸術性が活かされ、風防ガラスを平にしてエナメルの装飾を痛めないように工夫したのだ。本来時間を見るのは一瞬であったので時間を知らせる音と背面の作品を大切にしたのである。もちろん手作業であり、このような精密な細工に投入した合金原料や素材の量に対して、生産効率は低かったに違いない。ベルをハンマーで叩く形式は、時計自体が厚型であったからこそできたともいえる。ベルに使われる金属の材質、透かし彫りされたテンプ受け、中央のガーネット色の伏せ石、リピーターのラックの起動にもチェーンと滑車が採用される点など細部にまで時計師のこだわりがある。さてテンプの天真の修復方法は円盤の径が1.5ミリ、肩の部分にアールをつけて回転軸の太さは0.15ミリくらい…磨きを掛けて表面硬度…厄介である。金属の本当の美しさは統一された部屋の薄明かりに照らされぼわーっとした中にある。夜の航海の途中でふと懐中時計を眺めるのが良い。
あなたも“歴史を調べる“を習慣にしてみてはいかかでしょうか?
最後まで見ていただき、ありがとうございました!
今日の話題…PMSFS鍵巻き鎖引き 懐中時計 鎖引きイングリッシュレバー リピーター機構無し
今日のお役立ち時計… 1865年頃の時計師による手作りの時計。文字盤は中央部に彫金がほどこされておりインデックスのローマ数字は手で切り抜いたと思われる。ケースは裏蓋にギョーシェ状の模様。機械はダストカバー付きでバランスコックには細かな彫金がほどこされ機械の内部にチェーンが使われており力の伝達は鎖によって行われるのでコレクション向き。
次回演目『あ行 アンティーク』
登場語録…時計