Watch paper 2020年

時計知識、技術

2020年4月 生涯時計を作った男

2020-04-21 10:07:31 | コラム 小論文
ブレゲという天才時計師
INTRODUCTION―天才の人生
BODY―生きてるうちに生み出した技術
CONCLUSION―不可能を可能に

雨が止み勘だけを頼りに太平洋を進んでいる。時計の精度が悪く10日以上過ぎた当たりで目的地に到着できなかった時代があった。

それは単なる検討違いな航海であり、民衆は困っていた。時計師ブレゲ(アブラアンルイブレゲ)は不可能に思えることを可能にした。

整えられた写真から想像する人間像はとてもポジティブな見方ができることは想像に難くない。クリエイティブな方法を使って伝えてきた彼の人生最期の言葉に、強く興味を惹かれる。おそらくそれは未知数の知恵だったり、最期のジョークだったり、もしくは家族の絆の確認だったりするのだろうか。

PATEK PHILIPPE・VACHERON CONSTANTIN ・AUDEMARS PIGUET・A.LANGE & SOHNEに並ぶ世界5大時計メーカーへと導いたブレゲは、工房で修行し28歳で独立し、懐中時計の自動巻き機構、渦巻きヒゲ、ショックアブソーバーの原型のパラシュート(耐衝撃装置)、トゥールビヨン脱進機、ギョーシェ、軽量のブレゲ針、ブレゲ数字を生み出し40年生涯を時計に捧げ、自国の国際的な地位・経済力の向上を成功させるなど黄金時代を築いた。

すべての技術は当時の旋盤、工具、材質を採用して今もなおパーツの一つずつ手仕事で仕上げられギョーシェ模様も手作業で彫られているのだから驚きである。

王の時計へと導きだした人物であるブレゲは、イギリス、イタリア、ロシアと世界で愛用された。男性用の腕時計の印象が強いが女性用の腕時計クイーン・オブ・ネイプルズの卵形も現存する。王国海軍時計師の称号を授けられ、姿勢差による精度の差が大きく改善し時計をみて航海ができる日が来たのである。

時計をアクセントに風景を描けただろうか?
あなたも“歴史を調べる“を習慣にしてみてはいかかでしょうか?
最後まで見ていただき、ありがとうございました!

今日の話題…軍用時計
今日のお役立ち時計…ブレゲの「アエロナバル」1950年代の初代から第3世代まで進化し続けるミリタリーウォッチ
次回演目『あ行 赤い宝石』
登場語録…時計 アンクル


2020年4月 耳を澄ませば聴こえる複雑音

2020-04-19 17:54:54 | コラム 小論文
INTRODUCTION―アンクルとは
BODY―狂いを知らせる
CONCLUSION―音で知らせる

傘に当たる雨音は心地良い。チクタク…聴覚で捉えることのできる部品がアンクルである。アンクルが左右に振れるたびに雁木車はちょうど一歯分だけ回転する。アンクルの左右の振れを規制するためにピンがあり「チクタク」音は、アンクルがピンにぶつかる際の衝撃音である。規則正しいと心地よいが、遅れると雑音になる。技術発展によくあるのは、回転を往復運動に変えるpartsである。物理量や慣性モーメントを付け加えてしまうと複雑であるが、ガンギとルビー石でできたアンクル先端がぶつかることで精度が落ちる。等時性が保たれるが精度としては40%程度と完璧でなくなる。昔の手巻き式時計の仕組みはこの部品をシリンダーからアンクルへと部品を薄くするのが限界である。機械式のよさは正確さだけか。揺れの激しい船上で携帯しても正確さを可能にした懐中時計から腕時計へと変貌を遂げた事でcollectionするという考えではあるが今日でも装飾時計に魅了されている。チクタク…聴覚で捉えることのできる部品がピタッと止んだ。雨が止んだように静かである。

時計をアクセントに講読3分間で風景を描けただろうか?
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今日の話題…振り子時計
今日のお役立ち時計…アームスAMS振り子時計 機械式  2663-9 AMS社の掛け時計。世界で最も歴史のあるクロックメーカーから出ている木製の掛け時計である。淡い茶色のチェリーウッドからチクタク音が響く

次回演目『あ行 アブラアン・ルイ・ブレゲ』
登場語録…時計、世界


2020年4月 季節が移ろう中で時計は残る

2020-04-18 18:33:22 | コラム 小論文
アンジェラス
INTRODUCTION―想像で時計をかく
BODY―小さな部品に魅せられる
CONCLUSION―季節を越えてくるアンティーク
アート文入れる
 優雅な樹木に風がはげしく吹いて満開の桜の花が散っているところである。現実の気候を映し出すのではなく、むしろ、高度に美化された理想的な四季を描き、客観的な価値観に合うように四季の最も魅力的な面を選び出した。季節のように移ろわず散らない物を思い描くとしたら外装を構築している要素を引き出すのは、複雑機構を言うよりも効果的だからだ。無機質からは技術者の人工的ではあるが命が吹き込まれていて何十年もの季節を越えてくる。アンジェラス社から1950年代に完成された手巻き機械式時計はケースにきちんと収められて、細かく切り取られた洋白の部品の層の隙間からゴールドの歯車がクロノグラフに伝わり規則正しく動く。ピラーホイール式クロノグラフは高級時計用でも数少ない。こだわった機止め枠の5つの円みや、ステッチ入りの革のベルトまで完璧を自社製造で求めた技術者の、まさに理想的なイメージを描き最も魅力的な形を引き出した。何十年以前の時計の名前は知らなくても時代背景はイメージできる。目の前の桜の種類は明確に考えなくても舞い散る春だとイメージできるのである。

時計をアクセントに風景を描けただろうか?
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今日の話題…桜
今日のお役立ち時計…スカーゲン レオノラ デンマーク語で「光」を意味する「レオノラ(LEONORA)」、ファセットカットを施したベゼルを起用し海面を反射する光を感じる。

次回演目『あ行 アンクル』
登場語録…時計、チクタク音


2020年4月 時計の魅力は内部である

2020-04-17 12:54:31 | コラム 小論文
1950年のアガシスという高級機械式
INTRODUCTION―輝き続けるムーブメント
BODY―外装
CONCLUSION―時計の美しさ

見上げた空はいわゆる地上はるか上方の弧状の外装である。手に触れた部分は、この時計の外装に相当する。外装は何かを、時計はムーブメントを守るために使われ、様々な試練を超えてムーブメントを守り続けたという証拠が残る。つまり傷である。例えばこのアガシスという機械式時計。守られたムーブメントは表示部の針を回す機能にとっての部品にすぎないが、外装に収めて視覚的には内部である。見えない感覚が固体差を有する視覚的性質の知覚になるのである。すなわち修理で裏蓋を開け内部を目の当たりにしたときの圧倒的な美、そして視神経を進んで脳神経に至り、脳内神経に着いたときが,視覚のプロセスの完了である。脳内神経に至った表象によって最終感覚器が視覚対象の表象を知覚する。つまり内部はこの表示部の針を回す機能だけではないと断定するのである。特別な複雑機構は無く、洋白の地板のようなカチッとした部品とは違って柔らかい色合いの黄金色、ルビー石がちりばめられた宝石のようなムーブメントが内部にきちんと収められていた。手に取った時計の外装の傷は守り続けた証拠である。今、頭上に広がっていた青空からは冴えた輝きが消え、空は継ぎ目ひとつない灰色に覆われている。

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今日の話題…黄金色の雫石
今日のお役立ち時計…Pierceの自動巻。1940年代の極初期に開発された自社製自動巻キャリバーを搭載。可動モジュールが上下運動を行う機械構造のため、時計を振ると「トントントン」と音が響きます。回らない自動巻きは機構開発の難しさを物語っている。

次回演目『あ行 アンジェラス』
登場語録…時計、マニファクチュール、機械式時計、1950年頃


2020年4月赤っぽいオレンジ色の色合いの店

2020-04-16 13:27:27 | コラム 小論文
INTRODUCTION― アンティークを調べる
BODY―  複雑機構を包むアート
CONCLUSION―個人差のある尺度

トップレベルのアンティークはロシアである。収集を始めとする思想は視覚的情報が先である。つまり,アンティークは機械式を芸術性で包んだ対極的な色層の物である。時計に向かう視線の先に映りこむ赤みのある光色も同時に目に戻るとき,その情報が脳内を巡る。対象からの色調、1960年未満の物であるか瞬時に目に入ればそれでよい。ここで,目はただ時計のエナメルの彩色、赤みのある光を感受する。目から対象の距離や大きさは直接の興味の対象ではなく,何らかの尺度に基づく推量が必要である。ここで,外観の世界を見ながらゴールドに覆われた内部の機構を脳内で想像する。見えない内部構造が目を通して脳までとどくとき,その内部世界の対象を照らし合わせて視覚的に見るのである。内部機構とは伝統的な機械式時計における複雑機構の最高峰とされ、トゥールビヨン、永久カレンダー、ミニッツリピーターである。これにスプリットセコンドクロノグラフを加える場合もあるが、歴史的な時系列で言えば、この中で起源が最も古いのはミニッツリピーターになる。現在アンティークとして扱われているものの多くは、19世紀(西暦1801年から西暦1900年までの100年間)末期から大量生産された物である、と調べている前提である。視線の先にある対象は、アンティークであると瞬時に自身の現在の尺度で推量する。時計に関してはCal.Ref情報だけでなく、目の前に広がる圧倒しすぎない、やや彩度を落としたレンガ色の中の穏やかなゴールドの時計を置くアンティーク店には色彩知識もないと店主の尺度は判断できないのである。

時計をアクセントに風景を描けただろうか?
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今日の話題…海洋探検家
今日のお役立ち時計…ユリスナルダン クラシコ エナメル アメリゴヴェスプッチ 限定30本 8156-111-2/AVエナメルの文字盤で黄色と青のコントラストが美しい。
次回演目『あ行 アガシス』
登場語録…時