INTRODUCTION―違和感
BODY―拒否か経年劣化か
CONCLUSION―ループの構築
アレルギーに注目して記述と分析をおこなわない限り、時計について語ったことにはならない。時計の装着を諦めないのか諦めるのか。時計そのものに少々こだわった言い方になるかもしれないが、時計をしたという事実には『目的』があること、換言すれば装着以前の『葛藤』があることを前提にしている。突然、自身で構築したアレルギーの無い完璧なループが壊れる。初めて露になる金属や革のベルトのアレルギー物質にぶつかったのである。腕時計を着用するという状態は、一定の質量と材質上の特徴、形態や色彩をもった物質的なモノを自身の皮膚に覆い、何らかの違和感、圧力にさらされ、その違和感によって身体が窮屈に感じることもあり得る。当り前のことであるが、時計がモノである以上、それは製作され、社会の中で流通し、保管され、また時として補修される。人間が使用するモノとしてのライフ・サイクルがあり、しかもそれは、他の物質文化とは異なるモノ特有の性質を帯びている。これらの一連の過程においても、人間の五感との間の直接的な相互作用は数え切れないほど存在する。物質性という用語は厳密にいえば、例えば空気や紫外線、放射能など、人間が目にしたり、直接触れていることを実感しにくいようなものも科学的には物質と呼べるわけであり過去には放射性物質の蓄光塗料や、金属も多数使われてきた。そんな物を安易に肌に巻いてはいけない。何度も試着できないので知識の構築する時間を増やし拒否反応なのか経年劣化によるものなのかを見極める。
肌に接する部分…素材はチタン合金、金属以外のセラミックス、カーボン、プラスチック、純チタンとタンタル、100%のプラチナ、ロレックス、316L以上のステンレススチールが良い。
革ベルトの時計…劣化した革ベルトは替える、3価クロムの処理をした革のベルト。紫外線や汗などの影響により、長期間革ベルトを使っていると、3価クロムが6価クロムへと変化し、アレルギーを起こす場合があるので交換。
人間が何か普段とは別の存在になる(変身する)ということに対する思考を、そうでない思考と区別して考えるうえで、大変示唆的である。これらを時計という物質性の議論に引きつけるなら、その閒の線を引くのがまさにアレルギーの無い材質を探すという行動であり、ここで論じる人間と材質の間でやりとりされる物理的な相互交渉であり、物質的な関与なのである。物質性を帯びた存在としての材質、すなわち一定の質量、質感をもち、自身の五感との間で特有の相互交渉を繰り広げるモノとしての材質で表現した。人が通常と異なる特別な1日を演じるとき、時計を装着したなら必ずそのつけ心地も重視される。その過程に枠づけを与え、アレルギーの無い材質というitemを用いることも有効であるとする思考は、じつに的を射たものにみえる。諦めずに探す事で、新たに構築したアレルギーの無い完璧なループを過ごせるのである。もとより自身も劣化によるアレルギー反応に出くわし、アレルギーの物質性に注目して論を展開することで、自身と時計、またそれらに関連して展開されるアレルギー材質問題などについても、より焦点化して論じることができた。令和においてはアレルギー対策のマスクという語の辞書的な意味として詳細な検討も今後必要である。
あなたも“歴史を調べる“を習慣にしてみてはいかかでしょうか?
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