クリストとジャンヌ=クロード夫妻の大きな展覧会が開かれて何年か経ちましたが、いま、そのときと同じ東京デザインサイトで彼らの新しいプロジェクトが紹介されていて素晴らしいです。10月1日まで。
それは色々な人のプロジェクトを紹介する展覧会『そこまでやるか・壮大なプロジェクト展』の冒頭展示で、展示品そのものは少ないのですが、やはり感動的で、僕にとっては非常に尊敬する人だということもありましたが、そこで長い時間を過ごしました。
クリストとジャンヌ=クロードというと、やはり茨城で行われた「アンブレラプロジェクト」それは無数の巨大な傘を地形に関係してインスタレートされ広大な地域の風景を変貌する、という作品。そして、ベルリンの国会議事堂を丸ごと布で梱包することに成功した「ライヒスタークプロジェクト」が生々しく記憶に残っています。まさに言葉が出ない、凄かったとしか言えなかった。
今回紹介されているのは現在アラブ首長国連邦で進行中の計画「マスタバ・プロジェクト」のインタビュー映像と設計のドローイング数点、それから、昨年実現した「フローティング・ピアーズ」(イタリア・イセオ湖、2016年)のドキュメンタリー映像の三面スクリーン映写(50分強)です。
「マスタバ」は41万個のドラム缶をつかった彫刻というか大構造物で、砂漠のなかに立ち上がる姿はピラミッドのようでもあり巨大な壁のようでもあり階段のようでもあり、と、いかに形容しても多分ちがう未出現物体とでも言うのでしょうか。その実行計画には度肝をぬかれます。
「フローティング・ピアーズ(The Floating Piers)」は2016年6月に16日間行われたイタリア・イゼオ湖での大規模なインスタレーション。
湖の中洲と対岸を3㎞に及ぶ人が歩くことのできる布製の長大な桟橋で繋げるプロジェクトで、プラスチックなのでしょうか特別な浮きを無数に繋げて橋をつくり、それを鮮やかな色の布で覆うのですが、岸辺の街路までもが同じ布で覆われ、ある地域そのものが美術作品となるのです。
長年構想され、途中に東京での実行計画もあったそうですが、様々な条件をクリアして、ついにイタリアで実現したときの映像ですが、かなり感動的でした。
クリストとジャンヌ=クロードの夫婦が考え実行してきた、そしてジャンヌ=クロードが亡くなってからもクリストが継続しているこれらの「作品」は、いずれもが想像をはるかに超える規模の計画であり、実現したとき初めて認識可能な、それそのもの自体であり風景であり環境です。さらに、全てのプロジェクトを彼らは彼ら自身の個人の責任で実施してきたという歴史がある。
特別な敬意を感じてなりません。
直感から始まる人間の意志の力とは驚異的なものだと、心底から感じ入ります。
そして、この先何があったとしても生きて何かを試みることへの、試み続けることへの希望というか、あるいは、目の前にある一刻一刻に対して少しでも力を注ぐということが決して虚しくは無いのだと、無言のうちに、激しく背を押してくれる、そのようなものが、個人の力によって、この世に実際に実現されてある、ということ自体が、僕にとっては生きて考えて行動する励ましになります。
クリストとジャンヌ=クロードのHP
The Floating Piers
※写真は上記展覧会に展示されている画集から。
それは色々な人のプロジェクトを紹介する展覧会『そこまでやるか・壮大なプロジェクト展』の冒頭展示で、展示品そのものは少ないのですが、やはり感動的で、僕にとっては非常に尊敬する人だということもありましたが、そこで長い時間を過ごしました。
クリストとジャンヌ=クロードというと、やはり茨城で行われた「アンブレラプロジェクト」それは無数の巨大な傘を地形に関係してインスタレートされ広大な地域の風景を変貌する、という作品。そして、ベルリンの国会議事堂を丸ごと布で梱包することに成功した「ライヒスタークプロジェクト」が生々しく記憶に残っています。まさに言葉が出ない、凄かったとしか言えなかった。
今回紹介されているのは現在アラブ首長国連邦で進行中の計画「マスタバ・プロジェクト」のインタビュー映像と設計のドローイング数点、それから、昨年実現した「フローティング・ピアーズ」(イタリア・イセオ湖、2016年)のドキュメンタリー映像の三面スクリーン映写(50分強)です。
「マスタバ」は41万個のドラム缶をつかった彫刻というか大構造物で、砂漠のなかに立ち上がる姿はピラミッドのようでもあり巨大な壁のようでもあり階段のようでもあり、と、いかに形容しても多分ちがう未出現物体とでも言うのでしょうか。その実行計画には度肝をぬかれます。
「フローティング・ピアーズ(The Floating Piers)」は2016年6月に16日間行われたイタリア・イゼオ湖での大規模なインスタレーション。
湖の中洲と対岸を3㎞に及ぶ人が歩くことのできる布製の長大な桟橋で繋げるプロジェクトで、プラスチックなのでしょうか特別な浮きを無数に繋げて橋をつくり、それを鮮やかな色の布で覆うのですが、岸辺の街路までもが同じ布で覆われ、ある地域そのものが美術作品となるのです。
長年構想され、途中に東京での実行計画もあったそうですが、様々な条件をクリアして、ついにイタリアで実現したときの映像ですが、かなり感動的でした。
クリストとジャンヌ=クロードの夫婦が考え実行してきた、そしてジャンヌ=クロードが亡くなってからもクリストが継続しているこれらの「作品」は、いずれもが想像をはるかに超える規模の計画であり、実現したとき初めて認識可能な、それそのもの自体であり風景であり環境です。さらに、全てのプロジェクトを彼らは彼ら自身の個人の責任で実施してきたという歴史がある。
特別な敬意を感じてなりません。
直感から始まる人間の意志の力とは驚異的なものだと、心底から感じ入ります。
そして、この先何があったとしても生きて何かを試みることへの、試み続けることへの希望というか、あるいは、目の前にある一刻一刻に対して少しでも力を注ぐということが決して虚しくは無いのだと、無言のうちに、激しく背を押してくれる、そのようなものが、個人の力によって、この世に実際に実現されてある、ということ自体が、僕にとっては生きて考えて行動する励ましになります。
クリストとジャンヌ=クロードのHP
The Floating Piers
※写真は上記展覧会に展示されている画集から。