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「パート代で夫を風俗に送り出す」北関東で貧困と男尊女卑に苦しむ女性の叫び2-1

2020-12-19 12:52:31 | ニユース

12/19(土) 11:16配信 PRESIDENT Online
引用

地方都市の貧困問題は深刻だ。ノンフィクションライターの中村淳彦氏は「北関東は生活が成り立たないほど世帯収入が低い。地域には男尊女卑文化が根付いているため、一部では生活費を稼ぐための売春が日常化している」という――。(第1回/全3回)

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 ※本稿は、中村淳彦、藤井達夫『日本が壊れる前に 「貧困」の現場から見えるネオリベの構造』(亜紀書房)の一部を再編集したものです。

■売春が日常生活の一環になっている

 【中村淳彦(ノンフィクションライター)】北関東(茨城、栃木、群馬)はつながりがあって取材したのですけど、当然そんな深い話ではなくて、お母さんたちが普通に売春しているという話。PTAとか自治会とか、そういう公的な場所でも買春男の情報交換みたいなことをしていて、それが本当に一般化している。

 ただし、お金があれば、そんなことはしないという大前提はありますね。

 【藤井達夫(政治学者)】配分の問題なんです。世のなかにはお金持ちがたくさんいる。でも彼らがお金持ちになればなるほど、貧しいところには配分が滞り、北関東ではカラダを売らなきゃいけない女性が増えてしまう。

 【中村】旦那の収入と、お母さんたちの最低賃金のパート収入では、貧困まではいかなくても貧乏から抜けだせない。そこに北関東が脈々と受け継いできた長男信仰や男尊女卑文化が重なって、女性たちが自発的な再分配として売春に手を染めているみたいな。

 日常生活の一環に売春がはいっている印象で、悲壮感はまったくないです。

 【藤井】働く場所が少ないのと、十分な生活を送れるだけの賃金を得られていないということですね。とすれば、実質的な賃金を上げるというのはやはり一つの手でしょうね。基本的にお金を持っていない、そのことが原因ですから。

■「岡村発言」は批判されるべきだが一部では常識だった

 【中村】北関東は男性の消費が活発で、一人一台車を所有している。新車文化もあって収入のわりに高額な車を買ってローンを組んで税金も維持費もかかる。

 出費と収入が釣り合ってないのと、ギャンブルとか性風俗も盛んな地域で、お母さんとか子どもに皺寄せがいっている。まさに長男というか男が勝手し放題。

 夫は家族と地元が自慢なんだけど、妻はこっそりと不倫売春しているという歪みがありますね。とくに五月の自動車税の時期には売春が活発になるとか。

 【藤井】少し前にナインティナインの岡村隆史の発言が問題になりました。

 「コロナが終息したら、絶対おもしろいことがあるんですよ。美人さんがお嬢(風俗嬢)やります。短時間でお金を稼がないと苦しいですから」などと言ってむちゃくちゃ叩かれた。

 叩かれてしかるべきではあるけれど、でも、ちょっと北関東の現実に目を向けてほしいと思うんです。五月になると売春が増えるというのは、つまりカラダを売らなければやっていけないということですから。好きで売っているはずはない、売らざるをえない社会の現実がある。

 【中村】岡村発言は風俗に詳しい者からすれば、単なる常識的な事実でした。

 カラダを売らなければならないような状況がある、それだけ。構造的な要因があるということです。北関東は長男だけが優遇される長男信仰が強固に根づいていて、一家で長男だけが大切にされ、長男以外のきょうだいは放っておかれる。

 放っておかれるだけならいいですが、長男以外の子どもは軽い存在なので性虐待みたいなことも頻繁にあるんです。先日も群馬県から逃げてきた女性から話を聞いたのですが、実の父親からひたすら強姦される地獄の日々を話してくれました。

 【藤井】ただただ悲惨ですね。

■妻のパート代で夫を風俗に送り出す異様さ

 【中村】2000年代後半に摘発されてしまったけど、北関東はとにかく性風俗が凄まじかった。

 伊勢崎、太田、小山。あと埼玉の越谷、熊谷などの地域では、高校卒業したばかりくらいの年齢の女の子が続々と裏風俗で働いていた。裏風俗というのは店舗型で本番サービスを提供することで、東京では考えられない業態です。

 北関東の女性たちは全員が口を揃えて「この地域は男尊女卑が酷過ぎる! 」と訴えていましたが、そのような女性の扱いも日常的に売春が行われる要因の一つでしょうね。

 【藤井】北関東では地元民たちの性風俗の利用者が多いということですか。

 【中村】地元の利用者も多いし、それだけでなく、妻が夜の営みを拒否すると親戚一同がでてきて非難をされて、妻が風俗街まで旦那を送迎するって話も聞きました。遊び代は妻が最低賃金で働いたパート代で支払ったとか。

 太田や伊勢崎はあまりに若い普通の女性が働いていたので、男性客が関東全域から集まっていましたね。当時のあの性風俗街は、日本を代表するレベルでしょう。だから北関東は生活のすぐ隣りに売春がある、そういうところでみんなが育っているんです。

■風俗街が生まれる地理的条件

 【藤井】歴史的に言えば、季節労働者や期間労働者、家族を持たない男たちが単身で労働に来る場所には、必ず風俗街ができるものです。群馬県には労働集約型製造業の大きな会社がありますよね。現在の問題はそれだけでは説明できないと思いますが。

 【中村】2000年代後半に風俗街がなくなったことで、不倫売春に移行したっていう仮説も作れますね。

 群馬県は工場が多いので、大企業の一番下っ端や子会社の正社員がいる。正社員は男性で、労働組合にも守られている。女性は非正規で賃金格差も大きい。そういう事情がいくつも重なって、売春が盛んだという状況を生んだ。長男信仰が温存されていて男らしさ、女らしさがすごく守られている地域ですしね。

 【藤井】僕が暮らしている東京根津には江戸時代から明治にかけて、有名な遊廓がありました。根津神社の建設で宮大工が全国から集まる。それに伴い、宮大工の相手をする女性が自然と集まって今でいう風俗街が生まれたと聞いたことがあります。

 しかし、明治に入って東大ができると、東大から坂を下れば根津の遊廓。学生が遊廓に入り浸って勉強しなくなってはいかんということで、根津の風俗街は江東区の洲崎に移されたとか。

 【中村】いまも昔も風俗街ができる背景というのは同じなのですね。

■福祉的な役割も果たす性風俗産業

 売春は江戸時代からありますが、貧困に喘ぐ身分の低い家の娘が売られる人身売買的なものでした。奴隷的な労働を禁止する芸娼妓解放令とか、娼妓取締規則とか、時代によって法規制をしながら育まれてきた。

 前にも言いましたが、いまの風営法の性風俗関連特殊営業の業態は自民党が昭和時代に福祉国家を形成していく過程で作ったものです。リベラルの人は売春反対となるので、風俗産業は政治的には保守的な産業といえる。売春は「自助」枠、「共助」にも近いかもしれません。

 【藤井】性産業の問題は、リベラルには痛いところ。なぜならリベラルは女性の権利や決定権を常に重視しますが、性産業に従事することだって、自己決定権の行使だと言えちゃいますから。

 生活費が一〇万円足りないとして、それを補うのにはいろいろな方法があるけれど、もっとも手っ取り早い方法を選択しているだけ、とも言える。自己責任論と自己決定論は紙一重。本人がやると決めて売春しているわけですから、選択権の行使であり、悪いことではない、という論理が成り立ちます。

 【中村】自己決定といっても、環境が影響するじゃないですか。

 地元や中学・高校の友だちから誘われたり、スカウトマンやAVプロダクションからアダルトビデオ出演を肯定するように洗脳されるとか、いろいろ想定できますね。

 しかも根本に、貧困がある。そこから抜けだすための売春は自己決定で、口を挟む余地はないと感じますね。自己決定を否定しないで別の選択を与えるのはいいと思いますが。

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