■営業プロセス設定による効率アップ
1.営業プロセス設定の意義
組織全体で効率的な営業活動を行うためには、営業のプロセスを標準化することが効果的です。
営業プロセスとは、見込み客の発見から代金の回収に至るまでの一連の流れのことを指します。
一般的な営業プロセスは、図のような流れになっています。このように、営業プロセスを明確にすることで、営業担当者は「自分が現在何を目的に活動しているのか」ということを明確に理解することができます。
つまり、たんに見込み客のところに行って世間話を繰り返すだけでは第3段階から先に進めておらず、営業プロセスは進んでいないということを意識できます。そうすると、この営業担当者は上司や先輩に対して、第4段階に進むためには何をすればよいかという具体的なアドバイスを求めることもできるのです。
さらに、プロセスごとの適切な話法や営業ツールを開発することができ、組社全体の効率化につながります。実際、営業担当者がそれぞれ思いのままに営業活動を行っていた組織が、営業プロセスを設定することによって、飛躍的に営業活動が改善された例が数多くあります。
営業活動改善の必要性を感じている場合には、営業プロセスの設定を検討することをお勧めします。
2.営業プロセス活用のポイント
自社、あるいは、営業チームでつくり上げた独自の営業プロセスについては、つねに改善の余地がないか継続して検討することが必要です。
たとえば、前記の営業プロセスの例で考えると、良好な人間関係をつくりながら、上手く顧客ニーズを引き出す手法を開発できれば、第3段階と第4段階をひとつにまとめることが可能です。
また、前記の例では見込み客と面談するまでには2つの段階があります。かりに飛び込み訪問を成功させることができたとすると、1回のアクションで第3段階の「良好な人間関係づくり」に挑戦できることになります。
ただし、実際には飛び込み訪問をしても留守宅が多い、あるいは、門前払いが多いといった問題が生じがちです。こうしたときに、門前払いに遭わないようなツールや話法を発見することができれば、営業プロセスを改善できる可能性があるわけです。
さらに、プロセス自体の改善を検討することも重要ですが、もうひとつ検討すべきことは「いかにプロセスを速く進むか」です。つまり、ひとつの段階で何回も無駄な訪問を繰り返さないようにするということです。「人間関係づくりが大切だ」といっていつまでも訪問を繰り返していては営業成績につながりません。
効果的な営業のためには、次の段階の「自社商品に対するニーズ発見」に進まなければならないのです。このように営業プロセスを改善したり、速く進めるためには、営業マネージャーや優秀な営業担当者の話法を皆で学ぶ、効果的なセールスツールを開発するという努力が必要になります。
営業プロセスに応じた能力開発
営業担当者が営業成績を伸ばすためには自己の能力開発が欠かせません。また、営業マネージャーが自分の担当する組織の営業成績を上げようと思えば、部下の育成について真剣に考えなくてはなりません。ここでは、営業プロセス別の必要能力とその向上策についてご紹介します。
1.営業プロセスと必要能力営業プロセスを中心とした考え方では、営業能力とは営業プロセスを進む能力と言い換えることができます。営業プロセスの段階ごとに必要な能力が求められますので、指導時や能力開発時に留意してください。
2.営業マネージャーの指導方法営業マネージャーが部下を指導するにはいくつかの方法がありますが、その代表的な方法を4種類ご紹介します営業プロセスに応じた必要能力をふまえ、その場にあった方法を用いるようにしてください。
1)指示法
具体的に行動を明示してやらせる方法です。経験が浅く十分に自分で考えることができない新人営業担当者などを指導する方法です。
2)助言法
指示法とは異なり、質問や簡単なヒントを与え、部下に考えさせることを中心としたアドバイス方法です。2年目から3年目の営業担当者を指導する際の指導方法です。
3)説明法
部下が誤った方向に進んでいるときなどに、頭ごなしにストップさせるのではなく、理論的に説明して方向性を変えさせる方法です。十分な経験を積んで独り立ちしている営業マンに指導する際に適した方法です。
4)モデル法
言葉だけでなく実際にやってみせる方法です。代表的な方法としては、同行指導があげられます。言葉では表現しにくい場合や、部下がどうしてもうまくいかない場合などに、実際に上司が見本を示すことによって、理解を深めさせる指導方法です。
3.営業担当者の能力開発
営業担当者の多くは営業能力を高めるために自己啓発に取り組んでいます。営業担当者へのインタビューによると、営業関連の書籍を読むという方法が圧倒的に多くなっています実際、営業関連の書籍は数多く出ており、新入社員でも良書を3~4冊読めば営業担当者としての基本的な知識を身につけることができます。
それ以外にも話し方教室に通うパソコンスクールに通う(営業ツール作成のため)といったものがあります。自己啓発にはこれらの方法以外にもさまざまなものがありますが、目的を明確にして取り組むことが効率的な能力向上につながります。