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倒産回避コンサルタントからの救命ロープ

倒産回避コンサルタント・中逵努のブログです。
恩師村松謙一弁護士ご本人のブログではないことを予めご了解ください。

信用不安回避の重要性 2

2006年04月14日 | 企業再建について
コラムの著作権は村松弁護士本人に帰属します。
このブログ以外での引用等は固くお断りいたします。


99年7月5日 日刊帝国ニュース
弁護士ウオッチング  弁護士 村松 謙一

信用不安の回避=倒産の回避(上)

第2 信用不安を回避するための資金繰りの
優先順位

1.私が会社を再建する際に、最も苦悩することが、
乏しい資金繰りの中でこの「信用不安」をいかに
回避するかなのです。

 そこで、乏しい資金繰りの中で、金融機関からの
新規借入に頼ることなく、いかに資金ショートをせずに
信用不安を回避するかについては、以下の点を考慮
する必要があります。

 第1に、決済日の支払いをしなくても、信用不安に
ならない相手先はどこか。

 第2に、その支払いを受けられないことで、直ちに
経営危機や生活に支障が生ずる相手先か否か。

 第3に、法律上の優先債権的扱いをされている支払い
はどれか。

 第4に、その支払いをしないと、立ち所に会社自身、
息の根を止められてしまうような支払いか否か。

 第5に、担保により保全されている相手方、或いは
保護されている相手方か否か。

 このような5つの視点を考慮して、毎月の支払内容に
ついて吟味し直すと、各支払先におのずと優先順位が
出てくるのです。

 私が自主再建をするにあたり、考慮する支払いの
優先順位は、次の通りです。
(1)従業員の給料
(2)支払手形の決済
(3)買掛金の支払い
(4)社内経費
(5)借入金の利息
(6)租税公課
(7)借入金の元本

2.ところが、多くの経営者は、むしろこの順序とは全く
逆の(7) → (1)に向かって、支払っているのでは
ないでしょうか。

 乏しい資金を金融機関等の借入金の元利返済に
あてがい、いよいよ手形決済日には、資金がショートし、
手形不渡りにより事実上倒産し、倒産現場には、
従業員の給料が未払いとして残っているという
パターンです。

3.ここで特に注意していただきたいのは、はじめにも
申し上げた通り、この資金繰りの優先順位は、
「あくまで資金ショートを発見した際の会社延命の
ための緊急避難的な一時措置だ」ということです。

 この延命措置を使う大前提は、損益ベースで
営業利益が黒字化する見込みが十分に見込まれる
ことが大前提です。

 黒字化が見込まれてこそ初めて会社再建を
債権者の積極・消極の支援を仰ぎながら目指せる
からです。

 黒字化の見込みがないにもかかわらず、単に
資金繰りを操作しても一時の延命に過ぎず、
結局は、損害を拡大して、かえって債権者の方々
に迷惑をかけることになってしまうからです。
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