コラムの著作権は村松弁護士本人に帰属します。
このブログ以外での引用等は固くお断りいたします。
日刊帝国ニュース 1999年9月27日
弁護士ウォッチング 弁護士 村松謙一
危険な会社の見分け方(実践編)
第2 人的面から読み取れる危険信号
①金融機関の方が会社に頻繁に顔を出すようになる。
②逆に経営者が銀行ほか取引金融機関に頻繁に顔を
出すようになる。
③弁護士、会計士が頻繁に電話連絡を入れるようになる。
(土、日に弁護士が会社に顔を出す)
④社内に特別室が設けられ、束になった書類が置かれ
始める。(夜遅くまで灯りがついている)
⑤不動産登記簿謄本のコピーや取り寄せが多くなる。
⑥会社に普段見慣れない顔の業者が頻繁に出入りする
ようになる。
⑦幹部社員、幹部役員(特に経理関係)の辞職が目立つ
ようになる。
設備面
⑧賞与が大幅に減額された。
⑨在庫が急減している。
⑩本社を新設する。
⑪設備を新設するもリースでなく割賦の買取方式。
⑫当該取引先自身が別の取引先の倒産で売掛金が
焦げ付く。
⑬受取手形の金額が急に大きくなる。
(仕事が急に増える)
連鎖倒産の渦に巻き込まれないための事前予防策
言わずもがな、前述した危険な会社(その予兆を
察知して)との取引を減少していくか、一時的に
取引を停止することが予防策の第一義であるが、
取引の性質上、取引を一気に停止できないような
業種の企業もあることも事実である。
1.「取引依存度」の分散化
そこで、まず普段から「取引依存度」に注意をしておく
必要がある。
自社の売上高を100%とするならば、取引先一社
当たりの売上をせめて30%前後以下にとどめておく
べきである。
逆に、自社の売上100%に対し、50%を超える
ような取引先(依存度50%以上)が倒産した場合には、
そのダメージは相当に激しく、依存度70%前後にまで
取引高が膨らむと、その取引先が倒産(破産)した場合、
連鎖倒産の確率は相当高くなる。
但し、倒産した取引先が会社更生法等の再建型の法的
手続きを選択してくれれば、依存度70%前後の取引先
に対しては、弁済停止の一部解除などにより、棚上げ
した売掛金を資金繰り不足にあわせて支払うといった
救済措置があるので、連鎖倒産の危険は減殺される
ものの、破産等の法的手続きでは、もはや売掛金の
早期弁済という救済措置もなく、将来における今後の
売上も急減し、且つ、既に販売した売掛金の回収も
不可能となり、直ちに資金ショート倒産という事態に
陥ってしまう確率がかなり高い。
然るに、取引依存度が30%程度の取引先会社の倒産
ならば、確かに自社の売上30%減に匹敵するものの、
営業利益率3%前後の会社ならば、営業利益に影響
するものは、売上高のわずか0.9%である。(例えば、
取引高年10億円の会社が、うち、3億円の取引先が
倒産、本来ならば3000万円の営業利益が900万円減の
2100万円の営業利益となる)
確かに、返済原資がそれだけ減少して、資金繰りには
影響するものの、何とか資金繰りをやりくりすれば
立ち直れないほどのダメージではないからである。
従って、もし、あなたの会社が普段からある1社の
取引に頼る「1社依存型」の取引形態であるなら、
時間をかけてでも、各取引先の依存度を分散する
ように心掛けなければならない。
そのためには、与信枠を減少するか、新たな取引先を
開拓するかである。
このブログ以外での引用等は固くお断りいたします。
日刊帝国ニュース 1999年9月27日
弁護士ウォッチング 弁護士 村松謙一
危険な会社の見分け方(実践編)
第2 人的面から読み取れる危険信号
①金融機関の方が会社に頻繁に顔を出すようになる。
②逆に経営者が銀行ほか取引金融機関に頻繁に顔を
出すようになる。
③弁護士、会計士が頻繁に電話連絡を入れるようになる。
(土、日に弁護士が会社に顔を出す)
④社内に特別室が設けられ、束になった書類が置かれ
始める。(夜遅くまで灯りがついている)
⑤不動産登記簿謄本のコピーや取り寄せが多くなる。
⑥会社に普段見慣れない顔の業者が頻繁に出入りする
ようになる。
⑦幹部社員、幹部役員(特に経理関係)の辞職が目立つ
ようになる。
設備面
⑧賞与が大幅に減額された。
⑨在庫が急減している。
⑩本社を新設する。
⑪設備を新設するもリースでなく割賦の買取方式。
⑫当該取引先自身が別の取引先の倒産で売掛金が
焦げ付く。
⑬受取手形の金額が急に大きくなる。
(仕事が急に増える)
連鎖倒産の渦に巻き込まれないための事前予防策
言わずもがな、前述した危険な会社(その予兆を
察知して)との取引を減少していくか、一時的に
取引を停止することが予防策の第一義であるが、
取引の性質上、取引を一気に停止できないような
業種の企業もあることも事実である。
1.「取引依存度」の分散化
そこで、まず普段から「取引依存度」に注意をしておく
必要がある。
自社の売上高を100%とするならば、取引先一社
当たりの売上をせめて30%前後以下にとどめておく
べきである。
逆に、自社の売上100%に対し、50%を超える
ような取引先(依存度50%以上)が倒産した場合には、
そのダメージは相当に激しく、依存度70%前後にまで
取引高が膨らむと、その取引先が倒産(破産)した場合、
連鎖倒産の確率は相当高くなる。
但し、倒産した取引先が会社更生法等の再建型の法的
手続きを選択してくれれば、依存度70%前後の取引先
に対しては、弁済停止の一部解除などにより、棚上げ
した売掛金を資金繰り不足にあわせて支払うといった
救済措置があるので、連鎖倒産の危険は減殺される
ものの、破産等の法的手続きでは、もはや売掛金の
早期弁済という救済措置もなく、将来における今後の
売上も急減し、且つ、既に販売した売掛金の回収も
不可能となり、直ちに資金ショート倒産という事態に
陥ってしまう確率がかなり高い。
然るに、取引依存度が30%程度の取引先会社の倒産
ならば、確かに自社の売上30%減に匹敵するものの、
営業利益率3%前後の会社ならば、営業利益に影響
するものは、売上高のわずか0.9%である。(例えば、
取引高年10億円の会社が、うち、3億円の取引先が
倒産、本来ならば3000万円の営業利益が900万円減の
2100万円の営業利益となる)
確かに、返済原資がそれだけ減少して、資金繰りには
影響するものの、何とか資金繰りをやりくりすれば
立ち直れないほどのダメージではないからである。
従って、もし、あなたの会社が普段からある1社の
取引に頼る「1社依存型」の取引形態であるなら、
時間をかけてでも、各取引先の依存度を分散する
ように心掛けなければならない。
そのためには、与信枠を減少するか、新たな取引先を
開拓するかである。