倒産回避コンサルタントからの救命ロープ

倒産回避コンサルタント・中逵努のブログです。
恩師村松謙一弁護士ご本人のブログではないことを予めご了解ください。

連鎖倒産回避方法5

2007年02月12日 | 企業再建について
コラムの著作権は村松弁護士本人に帰属します。
このブログ以外での引用等は固くお断りいたします。


日刊帝国ニュース 1999年9月27日
弁護士ウォッチング  弁護士 村松謙一

危険な会社の見分け方(実践編)

第2 人的面から読み取れる危険信号

①金融機関の方が会社に頻繁に顔を出すようになる。

②逆に経営者が銀行ほか取引金融機関に頻繁に顔を
出すようになる。

③弁護士、会計士が頻繁に電話連絡を入れるようになる。
(土、日に弁護士が会社に顔を出す)

④社内に特別室が設けられ、束になった書類が置かれ
始める。(夜遅くまで灯りがついている)

⑤不動産登記簿謄本のコピーや取り寄せが多くなる。

⑥会社に普段見慣れない顔の業者が頻繁に出入りする
ようになる。

⑦幹部社員、幹部役員(特に経理関係)の辞職が目立つ
ようになる。

設備面

⑧賞与が大幅に減額された。

⑨在庫が急減している。

⑩本社を新設する。

⑪設備を新設するもリースでなく割賦の買取方式。

⑫当該取引先自身が別の取引先の倒産で売掛金が
焦げ付く。

⑬受取手形の金額が急に大きくなる。
(仕事が急に増える)

連鎖倒産の渦に巻き込まれないための事前予防策

言わずもがな、前述した危険な会社(その予兆を
察知して)との取引を減少していくか、一時的に
取引を停止することが予防策の第一義であるが、
取引の性質上、取引を一気に停止できないような
業種の企業もあることも事実である。

1.「取引依存度」の分散化
そこで、まず普段から「取引依存度」に注意をしておく
必要がある。

自社の売上高を100%とするならば、取引先一社
当たりの売上をせめて30%前後以下にとどめておく
べきである。

逆に、自社の売上100%に対し、50%を超える
ような取引先(依存度50%以上)が倒産した場合には、
そのダメージは相当に激しく、依存度70%前後にまで
取引高が膨らむと、その取引先が倒産(破産)した場合、
連鎖倒産の確率は相当高くなる。

但し、倒産した取引先が会社更生法等の再建型の法的
手続きを選択してくれれば、依存度70%前後の取引先
に対しては、弁済停止の一部解除などにより、棚上げ
した売掛金を資金繰り不足にあわせて支払うといった
救済措置があるので、連鎖倒産の危険は減殺される
ものの、破産等の法的手続きでは、もはや売掛金の
早期弁済という救済措置もなく、将来における今後の
売上も急減し、且つ、既に販売した売掛金の回収も
不可能となり、直ちに資金ショート倒産という事態に
陥ってしまう確率がかなり高い。

然るに、取引依存度が30%程度の取引先会社の倒産
ならば、確かに自社の売上30%減に匹敵するものの、
営業利益率3%前後の会社ならば、営業利益に影響
するものは、売上高のわずか0.9%である。(例えば、
取引高年10億円の会社が、うち、3億円の取引先が
倒産、本来ならば3000万円の営業利益が900万円減の
2100万円の営業利益となる)

確かに、返済原資がそれだけ減少して、資金繰りには
影響するものの、何とか資金繰りをやりくりすれば
立ち直れないほどのダメージではないからである。
従って、もし、あなたの会社が普段からある1社の
取引に頼る「1社依存型」の取引形態であるなら、
時間をかけてでも、各取引先の依存度を分散する
ように心掛けなければならない。

そのためには、与信枠を減少するか、新たな取引先を
開拓するかである。

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連鎖倒産回避方法4

2007年02月05日 | 企業再建について
先週から本格的な寒さが到来し、インフルエンザが流行り
始めているようなので、読者の方々におかれましてはどうぞ
ご自愛ください。

村松先生の語録の中で、特に感銘を受けた言葉があります。
倒産回避という究極の修羅場の中で、最も大切な村松イズムを
これからも心に深く刻み続けたいと思います。

「どんなに法律に詳しくても、法律論の言葉をもっては、
その本質は見えない。声なき声を感ずることだ。
葉を見るだけでは、木は見えない。心で感じれば、
言葉を用いずとも、本質は見えてくるものだ。」


コラムの著作権は村松弁護士本人に帰属します。
このブログ以外での引用等は固くお断りいたします。


日刊帝国ニュース 1999年9月20日
弁護士ウォッチング  弁護士 村松謙一

危険な会社の見分け方(実践編)

自分の会社は、営業利益を出し、黒字体質で営業を続けて
いるのに、ある日突然、取引先企業が倒産し、売掛金の
回収が不能となって、その結果、自分の会社の資金繰りに
行き詰まる、いわゆる「連鎖型倒産」が急増している。

他人のせいで会社がつぶれてしまう無念さ、悔しさ、
残念さは、せっかく、会社は順調に利益を出して活動
していただけに、自己の怠慢による「放漫経営型倒産」と
違って、相当なものがあろう。

「連鎖型倒産」は、表面的には、ある日突然襲ってきて、
防ぎようがないようにも見えるが、倒産事件を多数扱って
いると、必ずその予兆はあるものであり、全く手に
負えないというものでもなく、少なくともいくつかの
予防方法はあると断言できるのである。

本項では、①危険な会社の見分け方、②連鎖倒産の渦に
巻き込まれないための予防策、③仮にその渦に巻き込まれて
しまったとして、その渦からの脱出方法等について、
倒産事件に数多く関与してきた私の体験談から気づいた
ところを説明していくこととする。

「災害は忘れた頃にやってくる」の格言よろしく、これからの
私の説明を頭の片隅にでも記憶しておいてもらいたい。

取引先の経営危機を示す「13の危険信号」
(紙面の都合上、特に注意点を箇条書にします)

第1 計算上の関係から読み取れるもの
①取引先が多く、新規取引銀行が増えている。
②「借入金+割引手形」に対する支払利息の割合が異常に
多い。
③支払手形のジャンプ要請をしている。
④受取手形、支払手形に同一の相手先がある。
⑤借入先の知名度が低く、金融機関以外の借り入れがある。
⑥決算翌月の売上取り消し、返品処理、値引き処理が多い。
⑦決算翌月の仕入れ支払いが多い。
⑧利益に比べて納税割合が少ない。
⑨利益があるのに給与引当金など税法上の引当金が設定
されている。
⑩新しい取引先が急増している。
⑪新しい得意先に対して売り上げが急増している。
⑫関係会社間の取引が急増している。
⑬未清算勘定(仮払金)などが急増している。

(尚、これらについての詳細は、拙著「会社をなんとか
つぶさないですませる本」(オーエス出版)に記して
いるので、興味のある方はご参照ください。)

但し、後述するようにこれらの計数上からの危険の
読み取りは、そもそも相手方取引先の決算書の入手が
困難なことが多いことから、情報が入手できれば大変に
役に立つが、情報が入手できなければあまり実践的でない。

むしろ、取引先社員や社長との人的交流の中で、以下の
人的面や現場面からの危険の読み取りの方が実践向けで
あろう。

~ 以下次回に続く ~
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