某ギターメーカー社長室

ギターメーカー社長の色々な出来事

弦を張ったままで良いのか?

2005-10-13 23:39:09 | 楽器
お~、今日はもう家に着いてしまいました(喜)ケツが横浜だったので早かった!物凄く得した気分ですね~♪
すごく得した気分なので今日はよく頂くご質問にお答えしようかな~。

実は今日も会社のBBSで質問されたんで『今日のねたはこれじゃ!』と決めてました。
その質問とは『ギターやベースを保管する際弦を緩めるのか否か?』と言うものです。

楽器店や書籍によって書いてある事がまちまちな上、一般的には弦を緩める神話があるようで、どうしたら良いかわからない人も多いみたいね。

これは『緩めてはいけません!』が答えです。
まぁ物によっては多少緩めた方が良さそうな物もありますが基本的には緩めなくても大丈夫!と言うか緩めない方が正解ですね。

ギターのネックはほぼ確実に反る物なのです、反らないネックと言う物はハッキリ言って稀ですね。

『俺のギターは反っていない!』と思われる方もいらっしゃると思いますが、現実問題修理でネック調整以外でお預かりしたギターやベースでネックが反っていない良い状態の物は殆どありません!

ネックを調整したと言ってお預かりした物でもキチンとしているのはハッキリ言って無いです、ネック反りの見方って難しいんですよ。
ストレートエッジを使用しても素人の方にはちょっと無理でしょうね。

話が逸れましたが『ネックは必ず動く』と言う風にお考え頂いたほうが良いです!
なのでネックが動く前提で弦を緩めるか否かを考えましょうね。

ネックが動くのは避けられない、ならば動いた時に直せるように動かしましょう。
動いてしまったら直せば良いのです、ですから簡単に直るように動きを導くのですよ。

ネックの反りには順・逆・浪打・ネジレ・ハイ跳ねと大きく分けるとしたらこの5種類でしょう。

で浪打は昨日も書いたようなスカーフジョイントが原因だったり節が原因だったりしますので今回は省略!節に関しては後日お話しますね。

次にハイ跳ね。
これはネックジョイント部分のポケットに問題ありが殆どですのでこれも次の機会に説明。

ネジレは正直防ぎようが無い物で『当たり外れ』の域なんです。
確実ではないけど統計的に予測する方法はありますのでこれも後日。

本題の弦を緩めるか否かは順・逆に反りに関係致します。
一部の極端なケースを除き順反りの方が逆反りよりも簡単に直るものなんですね。

かなり酷い順反りでトラスロッドを一杯まで締めたがまだ直らない!こんなケースよくありますよね。

トラスロッドはネックの中に弓なりに入っており、ロッド本体にネジが切られ、ナットを締め付けることにより手前側にロッドが引っ張られる訳です。

そうなりますと弓なりに湾曲しているロッドが真っ直ぐに伸びますので順反りが修正されます。

ロッドがこれ以上締められない状態で考えられる事はロッドが真っ直ぐに伸びきってしまったかネジきりの部分目一杯ナットを締めてしまったかのどちらかとなります。

実のところロッドは結構余裕を見て湾曲させて仕込んであるので、締め切った状態の殆どは後者のネジきりが一杯という状況なんです。

この状況ですとトラスロッドキャップを外し『スペーサー』を挟む事によって、その厚み分さらに締め込む事が出来る様になります。

ですから順反りはかなり酷い状態でも綺麗に反っていればかなりの確立で直す事が可能なんですな。

それと反対に逆反りは順反りの締め込むのとは反対に緩める事となります。
この緩めると言う作業はネジ切り部分を緩めきるとキャップが外れてしまうので調整範囲がロッド本体のネジ切りの距離と『=』となってしまい、締め込む作業よりも調整の幅が極端に狭い物なんです。

ですから『弦を張ったままが良い』と言うのはネックを反らさない為と言うよりも『逆反りさせず順反りするように』と言う意味合いが強いんですヨン♪

今日はちょっと長くなりましたね、明日は何が良いでしょうか(笑)

最近の安いギター

2005-10-13 01:59:29 | 楽器
ただいま無事に帰宅、明日も早いのでとっとと寝なければいけないのだが今日更新せんと1日坊主と非常に恐ろしい事になってしまうので頑張ろう。

さてさて、最近では我々がギターやベースを始めた頃ではありえない様な金額でギターやべーすを買う事が出来るようになりやや驚き!

一部、国産のビザール系の物は当時から安かったがストラトやLP等は結構な値段だったもんね。

ある意味買い易くなり『すそが広がった』と言う点では良いのであろうが、当時とは貨幣価値が違うにもかかわらず現在では¥10,000程度から購入できると言うのは
いくらなんでも無理があり、それがリペアをしていると良くわかるのよ。

ここのところ連続して泣かされたのはギブソンスタイルのギターにもかかわらずスカーフジョイントになっているギター・・・。ありえないだろう・・・。
ちなみにネック材はマホガニー?(怪しい・・・・汗)

ちなみにスカーフジョイントとはヘッド角度の部分でネックが継いであるものでコストの関係で安価な物に多く採用されているネック製作の方法。

これが曲者で継いである部分から逆反りするケースが多く、我々が最も手を焼く代物なんだよね。

ネック全体で見ると順反りなんだけど1フレットから3フレットまでは逆反りと言うとんでもない反り方になっちゃうのさ。

ネックを調整する際にトラスロッドで調整するのだが、これは構造上全体が綺麗に弓形に順・逆反りになった場合しか利かないので、途中から逆向きに反っちまうと順反り部分を真っ直ぐにすると逆反り部分が悪化(汗)

逆反り部分を調整すると順反り部分が悪化してしまうと言う∞ループ状態に突入してしまう。

程度にもよるが直す方法はあるのだがリフレット&指板調整と言う非常に大掛かりなリペアになる為、費用的には最低でも¥40,000程度は掛かっちゃう。

高額ギターならこの位費用を掛けても直す価値ありなのだが、当然高価な物はこのような状況を想定しているので一部の某メーカーを除いて、まずスカーフジョイントを採用していない。

ちゃんとしている物は1ピースもしくは3ピース以上となっている。
結果この手の困った修理は安価な物に集中・・・・。

安価とは言えアルバイトの人だとフル勤で3日分位の値段はするので修理不能だと可哀想だと思い何とか調整しようとするのだが∞地獄。

こう言う物を作っているメーカーが知らん顔で我々が悪戦苦闘すると言うのはいくら商売と言っても不思議な感じすらしちゃいますな。

もうちょっと考えて作って欲しいもんです(涙)