「スザク。」
クラブハウスの中にある自室に本日の宿泊者の名を呼びながら入室していく。
「ルルーシュ。ナナリーは眠ったの?」
シャワー上がりだったのか、ベットに腰掛け、濡れた髪をタオルで拭いながら、
振り返ったスザクは、このクラブハウスの主である幼なじみの少女の名を呼ぶ。
「ああ、今日は色々あって疲れたようだから。すぐに寝ついちゃったよ。」
「そっか。」
スザクが腰掛けているベットへと歩み寄る。
「ごめんな?無理言って泊まってもらって。」
「ううん。構わないよ。あんなことがあった後じゃ、さすがに女の人だけじゃ怖いだろうし。僕でよければ、ボディーガードになりますよ。お姫さま。」
おどけたように、言うスザクに、ルルーシュも笑いながら、礼をいう。
今日、ルルーシュと同じギアス能力者のマオによって、ナナリーが攫われる事件が起こった。学園内を走り回り、途中からルルーシュの異変に気付いたスザクと合流し、ナナリーを発見し、どうにかナナリーを助け出すことに成功した。
そして、マオは意外な真実を暴露し、彼にとって最愛のC.C.の手によって、死を迎えた。
「放せよ。この父親殺しが!!」
「-っ!」
マオのギアスで知らされたのは、7年前のあの時、スザクが犯した罪だった。
C.C.とマオの最期を見せ、教会の扉は大きな音をたてて、閉ざされる。
残されたのは、事態を呆然と見守っていた、自分と、祭壇に蹲るスザク。
「僕は・・・・、俺は・・・・・。」
壊れたように、一人称が入れ替わる。過去のスザクと今のスザクが交差する。
その姿を見ていられなくて、自分の困惑を押し隠して、冷静にスザクを現実に引き戻す。
「必要だったんだよ。物語は日本にも、ブリタニアにも。」
「・・・・ありがとう。ルルーシュ。」
どうにか、現実にスザクの意識は戻ったが、抉られた傷は、まだ覆い隠せていないのが、分かりきっていた。
そんなスザクを独りにしたくなくて、あんな事件の後で、クラブハウスに女だけでは不安だからと言って、無理にスザクにクラブハウスに泊まってもらうように仕向けた。
それが、俺達の関係をどう変えてしまうかも知らずに。