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御伽噺ロジック

コードギアス中心に色々やらかします。

ぬくもりの証7

2007-04-13 19:07:12 | ぬくもりの証 第1部
お互いあの夜のことがなかったように振舞った。
スザクは軍の仕事、ルルーシュは黒の騎士団と忙しかったこともあり、
ふたりっきりで落ち着いて話す時間がなかったためだ。
ただ、頭の片隅に、それは消えない記憶として染み付いていた。
そこへ向かう感情は意識的に排除していただけで。

けれど、否応なく、それを考える事態はやってきた。





「おい。調べろ。」

いきなり、そのひと言とともに、CCは小さな箱をルルーシュに放り投げてきた。

「は?なんだ、これは。」

傍若無人なC.C.はいつものことだが、投げて渡された箱は問題だった。
いわゆる妊娠検査薬。

「おい、これはなんの嫌がらせだ。」

顔しかめて、ルルーシュは箱をC.C.に投げ返す。

「馬鹿か、お前。自覚がないのか?」
「自覚?大体お前これどうやって手に入れた。」

ルルーシュの質問をキレイに無視して、C.C.はカレンダーを指差す。

「生理きてないだろうが。」
「ああ、そういえば。」

カレンダーをめくり、確かめると、確かに生理が遅れている。

「どうせ、生理不順だろ。ここのところ忙しかったからな。」
「・・・このあいだは、ピザの匂いに吐いただろう。」
「あれだけ、ピザの匂いをさせられたら、胸焼けも起こす。」
「・・・・・どうあっても否定したいのか。」
「お前の考えすぎだ。」

一蹴して、PCのモニターに向き直るルルーシュを無理やり、引きずる。

「おい。なにする。」
「いいから、確かめて来い!すぐ終わる。それで私の懸念からも解放される。そのほうがお互いすっきりするだろう。」
「ああ、もう、わかった。調べればいいんだろう。貸せ。」

めんどくさそうに検査薬を奪って、ルルーシュはトイレへと消える。




数分後、ルルーシュが蒼白な顔をして、トイレから戻ってきた。

「どうだった、と聞く必要もないな。その顔だと。」
「・・・・・。」
「ほらみろ。私の懸念は正しかったんだ。だいたい、お前は・・・」
「・・・・・・・・。」

何もいい返さないルルーシュにC.C.は、大きく溜め息を吐いて、手を引いて、ベットに座らせる。そして、部屋に備えられているティーセットへと向かう。

「ほら、とりあえず暖かいものでも飲んで落ち着け。」

適度な温度で淹れられた紅茶のカップをルルーシュに手渡す。
言われるままに、それを飲んだルルーシュは、ぽつりと呟く。

「陽性・・・・だった。」
「そうか。お前のここにいるんだな。」

ルルーシュの隣に腰掛け、C.C.は、そっとルルーシュの下腹部に手を当てて、そう
告げる。
それにつられるように、ルルーシュも視線を落とし、そっと手を伸ばす。

「ここに、いる。」
「ああ、お前の子だ。」
「ここに。」

常にいくつものパターンを考える優秀なルルーシュの頭脳は今はたったひとつのことしか考えられなかった。


ここに命が在る。自分の中に。
それを認識するだけで精一杯だった。