お互いあの夜のことがなかったように振舞った。
スザクは軍の仕事、ルルーシュは黒の騎士団と忙しかったこともあり、
ふたりっきりで落ち着いて話す時間がなかったためだ。
ただ、頭の片隅に、それは消えない記憶として染み付いていた。
そこへ向かう感情は意識的に排除していただけで。
けれど、否応なく、それを考える事態はやってきた。
「おい。調べろ。」
いきなり、そのひと言とともに、CCは小さな箱をルルーシュに放り投げてきた。
「は?なんだ、これは。」
傍若無人なC.C.はいつものことだが、投げて渡された箱は問題だった。
いわゆる妊娠検査薬。
「おい、これはなんの嫌がらせだ。」
顔しかめて、ルルーシュは箱をC.C.に投げ返す。
「馬鹿か、お前。自覚がないのか?」
「自覚?大体お前これどうやって手に入れた。」
ルルーシュの質問をキレイに無視して、C.C.はカレンダーを指差す。
「生理きてないだろうが。」
「ああ、そういえば。」
カレンダーをめくり、確かめると、確かに生理が遅れている。
「どうせ、生理不順だろ。ここのところ忙しかったからな。」
「・・・このあいだは、ピザの匂いに吐いただろう。」
「あれだけ、ピザの匂いをさせられたら、胸焼けも起こす。」
「・・・・・どうあっても否定したいのか。」
「お前の考えすぎだ。」
一蹴して、PCのモニターに向き直るルルーシュを無理やり、引きずる。
「おい。なにする。」
「いいから、確かめて来い!すぐ終わる。それで私の懸念からも解放される。そのほうがお互いすっきりするだろう。」
「ああ、もう、わかった。調べればいいんだろう。貸せ。」
めんどくさそうに検査薬を奪って、ルルーシュはトイレへと消える。
数分後、ルルーシュが蒼白な顔をして、トイレから戻ってきた。
「どうだった、と聞く必要もないな。その顔だと。」
「・・・・・。」
「ほらみろ。私の懸念は正しかったんだ。だいたい、お前は・・・」
「・・・・・・・・。」
何もいい返さないルルーシュにC.C.は、大きく溜め息を吐いて、手を引いて、ベットに座らせる。そして、部屋に備えられているティーセットへと向かう。
「ほら、とりあえず暖かいものでも飲んで落ち着け。」
適度な温度で淹れられた紅茶のカップをルルーシュに手渡す。
言われるままに、それを飲んだルルーシュは、ぽつりと呟く。
「陽性・・・・だった。」
「そうか。お前のここにいるんだな。」
ルルーシュの隣に腰掛け、C.C.は、そっとルルーシュの下腹部に手を当てて、そう
告げる。
それにつられるように、ルルーシュも視線を落とし、そっと手を伸ばす。
「ここに、いる。」
「ああ、お前の子だ。」
「ここに。」
常にいくつものパターンを考える優秀なルルーシュの頭脳は今はたったひとつのことしか考えられなかった。
ここに命が在る。自分の中に。
それを認識するだけで精一杯だった。
スザクは軍の仕事、ルルーシュは黒の騎士団と忙しかったこともあり、
ふたりっきりで落ち着いて話す時間がなかったためだ。
ただ、頭の片隅に、それは消えない記憶として染み付いていた。
そこへ向かう感情は意識的に排除していただけで。
けれど、否応なく、それを考える事態はやってきた。
「おい。調べろ。」
いきなり、そのひと言とともに、CCは小さな箱をルルーシュに放り投げてきた。
「は?なんだ、これは。」
傍若無人なC.C.はいつものことだが、投げて渡された箱は問題だった。
いわゆる妊娠検査薬。
「おい、これはなんの嫌がらせだ。」
顔しかめて、ルルーシュは箱をC.C.に投げ返す。
「馬鹿か、お前。自覚がないのか?」
「自覚?大体お前これどうやって手に入れた。」
ルルーシュの質問をキレイに無視して、C.C.はカレンダーを指差す。
「生理きてないだろうが。」
「ああ、そういえば。」
カレンダーをめくり、確かめると、確かに生理が遅れている。
「どうせ、生理不順だろ。ここのところ忙しかったからな。」
「・・・このあいだは、ピザの匂いに吐いただろう。」
「あれだけ、ピザの匂いをさせられたら、胸焼けも起こす。」
「・・・・・どうあっても否定したいのか。」
「お前の考えすぎだ。」
一蹴して、PCのモニターに向き直るルルーシュを無理やり、引きずる。
「おい。なにする。」
「いいから、確かめて来い!すぐ終わる。それで私の懸念からも解放される。そのほうがお互いすっきりするだろう。」
「ああ、もう、わかった。調べればいいんだろう。貸せ。」
めんどくさそうに検査薬を奪って、ルルーシュはトイレへと消える。
数分後、ルルーシュが蒼白な顔をして、トイレから戻ってきた。
「どうだった、と聞く必要もないな。その顔だと。」
「・・・・・。」
「ほらみろ。私の懸念は正しかったんだ。だいたい、お前は・・・」
「・・・・・・・・。」
何もいい返さないルルーシュにC.C.は、大きく溜め息を吐いて、手を引いて、ベットに座らせる。そして、部屋に備えられているティーセットへと向かう。
「ほら、とりあえず暖かいものでも飲んで落ち着け。」
適度な温度で淹れられた紅茶のカップをルルーシュに手渡す。
言われるままに、それを飲んだルルーシュは、ぽつりと呟く。
「陽性・・・・だった。」
「そうか。お前のここにいるんだな。」
ルルーシュの隣に腰掛け、C.C.は、そっとルルーシュの下腹部に手を当てて、そう
告げる。
それにつられるように、ルルーシュも視線を落とし、そっと手を伸ばす。
「ここに、いる。」
「ああ、お前の子だ。」
「ここに。」
常にいくつものパターンを考える優秀なルルーシュの頭脳は今はたったひとつのことしか考えられなかった。
ここに命が在る。自分の中に。
それを認識するだけで精一杯だった。