重ねた唇をそっと放しながら、吐息で名を呼ばれる。
「・・・ルルーシュ」
縋るように、抱き締められた。
そして、そのままベットに倒されていく。
自分の長い黒髪が舞うのを視界の片隅で見ながら、目の前の存在に腕を伸ばした。
『そばにいる』
そう告げた。ただ、言葉どおりにそばにいるだけだなんて、思えるほど、子どもじゃない。
今まで誰かとそういう行為をしたことなどない。
けれど、不思議と怖くなどなかった。
スザクなら、かまわない。
例え、彼がただ、ぬくもりを求めているだけなのだとしても。
そこに、恋や愛などの感情がなくても。
スザクの背に腕を回せば、まるで存在を確かめるように、スザクの腕の力が強くなった。
「そばにいるよ。スザク。」
優しく背を撫でてやる。肩口に埋められていたスザクの顔は、その言葉に誘われるようにゆっくりとルルーシュへと視線を向ける。
安心させるように、微笑む。
「・・・ルル」
もう一度、重ねるだけのキスをする。
スザクは何度も何度もキスをした。
徐々に荒々しく、重ねられた唇。貪られる呼吸。
激しいキスの合間に囁かれる自分の名前。
いつの間にか、額に、瞼に、頬に、耳元に、首筋に、キスの雨が降り注ぎ、スザクの手がそっと自分の身体をなぞる。
その手に、その吐息に、ビクッと反応する自分の身体に、スザクが一度顔を上げる。
見上げた先にある、泣きだしそうな表情のスザクに、両手を伸ばした。
「いいよ。スザクなら。おいで?」
スザクの頬を撫でて、そう笑いかける。
スザクは頬を撫でるルルーシュの手を取り、瞳を閉じて、祈るように、愛しそうに、その掌に口付けを落とした。
掌の上のキスは懇願のキス。
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(手の上なら尊敬のキス、額の上なら友情のキス。頬の上なら厚情のキス。
唇の上なら愛情のキス。閉じた目の上なら憧憬のキス。掌の上なら懇願のキス。
腕と首なら欲望のキス。さてほかは、みな狂気の沙汰。byグリル・パルツァー)
君のキスは、どのキスだったの?