計画性の乏しい筆者、imbécile だけで4つも記事を重ねてしまい、反省しています。
imbécile が重ーくなってしまったので、あとの「お嬢さまにふさわしくないお言葉」 は、あっさりまとめたいと思います。
単語、文法事項など細かくやっていると、また長くなりそうなので、今回も深入りしません。
伯爵令嬢(ご令息??)オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ のお言葉の数々です。
2. bête (nf)(ベット) 「ばか」
Rosalie ! Tu es bête... Tu aurais dû revenir chez nous...
(ロザリー! テュ エ ベット… テュ オレ デュ ルヴニール シェ ヌー…)
(Tome 1)
「ロザリー! おばかさんだね。私たちの屋敷に戻ってくればよかったのに…」
OT:「ロザリー! ばかだね なぜすぐに わたしのところに もどってこなかった」
(集英社文庫第2巻)
黒い騎士を追う途中、何者かに襲われ、負傷したオスカル・フランソワが、偶然にもポリニャック家から出奔していたロザリーと再会し、再会を喜ぶ場面。
bête は、「 動物、けだもの 」 などの意味があり、日本語で言う 「 畜生 」 (!)にあたるのかもしれません。しかし、フランス人の方に聞いてみたところ、この類の言葉の中では、程度としてはましな方の言葉だそうです。
かわいいロザリーに対してオスカル・フランソワが使うくらいですから、「 おばかさん 」 くらいととらえて良いのではないでしょうか。
ロザリーが嫌いな皆さまが多いようですが、筆者はロザリーに特に反感は感じていません。初めてベルばらを読んだ時、既にロザリーがベルナール・シャトレと結婚した以後のところから読み始めたからでしょうか。
3. salaud (nm) (サロー) 「下劣なやつ、汚い男、卑劣漢、畜生、ばかやろう」
Le salaud !!
(ル サロー !!)
Il me demande à moi
(イル ム ドマンド ア ムワ
de donner un ordre pareil à mes soldats !? (Tome 2)
ドゥ ドネ アン ノルドル パレイユ ア メ ソルダ!?)
「ちくしょう!!」
「私に、兵士たちへそんな命令をあたえろというのか!?」
OT:「こんちきしょう!!」
「兵士たちに わたしから そんな命令を あたえろというのか!?」
(集英社文庫第4巻)
会議場を閉鎖して平民議員を閉め出すように命令したブイエ将軍に対しての、怒りの言葉。ブイエ将軍に、直接申し上げているわけではありません。
「 すまじきものは、宮仕え 」 でございます。
salaud は sale (a) 「 汚い、汚れた、不潔な、みだらな 」 から派生した言葉です。 フランス語にシフトしていると、バーゲンの時期など、お店でよく見かける 「 SALE 」 が妙に感じられて仕方ないことがあります。
「 SALE!!」 が 「 汚い!!」 「 不潔!!」 「 エロい!!」 ( … )等に見える方も、広い世界には、少なからずいらっしゃることでございましょう…。
…会議場から閉め出されたことで、平民議員はポーム場(ポーム=テニスの前身といわれる球技)に集い、有名なジュー・ド・ポームの誓い Le Serment du Jeu de Paume (ル セルマン デュ ジュー ドゥ ポーム ) が交わされます。
4. zut (interj)(ズュット) 「ちくしょう、ちぇっ、なんだ、ふん」
Lâchez-moi !! Et zut !!!.. (Tome 2)
(ラッシェ ムワ!! エ ズュット!!!)
「はなして下さい!! ええい、くそっ!!!」
OT:「はなさないか!! ええい、くそっ!!」 (集英社文庫第4巻)
会議場を閉鎖しろとの命令にはやむなく従ったものの、平民議員たちを会議場から武力で排除しろという命令に従うことを拒否し、逮捕されたオスカル・フランソワ。
しかし、ブイエ将軍の命令に従うことを同じく拒否したアランたち第1班が連行されるのを見たオスカル・フランソワは、制止を振り切って彼らに呼びかけようとします。
zut は筆者も知っていた、結構よく使う軽いののしり言葉です。初学の時に、フランス語のテキストでも目にしたような気もします。
ここで、制止しようとする武官に、オスカル・フランソワは Lâchez-moi !! と vous で話しています。貴族同士、さすがに tu を使ってののしることはおできにならなかったのでしょう。
5. rustre (nm) (リュストル) 「(粗野な)田舎者、無骨者」
rustre !!! (Tome 1)
(リュストル)
「無骨者!!」
OT: 「 下司め!!」 (集英社文庫第3巻)
近衛隊を辞してフランス衛兵隊に転属したものの、隊長としてオスカル・フランソワを受け入れようとしないアランたちは、ある夜、オスカル・フランソワを拉致して、フランス衛兵隊を去るように脅します。そのアランに対して、オスカル・フランソワが言った言葉。
「 下司 」 を、Kana 版では rustre 「田舎者、無骨者」 と訳しています。他にも、「 下司 」 にあたるかな?という語はあるのですが、「 庶民 」 とか 「 身分の低い者 」 のような意味合いが出てしまうので、身分の差別など決してなさらないオスカル・フランソワのお言葉としてはふさわしくないと判断して、rustre としたのでしょう。
以前、ちょっと書きましたが、rustre (リュストル)は lustre (nm)(リュストル) 「シャンデリア、輝き、(文語)名声」 と紛らわしいです。r と l の区別が難しい日本人には、要注意の単語です。
この事件で、オスカル・フランソワは女であることの辛さを思い切り味わうわけですが、ベルばらが1970年代に描かれたおかげで、椅子に縛り付けられてろうそくでチリチリされる程度ですんだのではないかと思われます。
もっと後の時代に描かれていたら、もっととんでもない事態になっていたことは、想像に難くありません。最近、池田理代子氏の大作の一つ、 『 オルフェウスの窓 』 を読んで、しみじみそう思いました。『 オル窓 』 は、女性に対して、いろいろな面で、容赦がありません。
主人公・ユリウスは悲劇的ではあるけれども、その点でだけは、安泰でしたが…
表現の自由の拡大というのは、絶対に尊重しなければならないものですが、両刃の剣であるとも心しなければならないのかもしれません。
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