アジア映画巡礼

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ムンバイ再び<1日目>映画記者ナンディニーさんと会いました

2024-03-09 | 旅行

ムンバイに戻ってきました。20日ほど前のこちらの記事にも書いたように、後半に滞在するのはシティと呼ばれる旧市街にある、その名もレジデンシー・ホテル・フォート。「フォート」は砦ですが、シティの中でも南部一帯をこう呼びます。チェンナイもレジデンシーだったので、同じ系統かと思われがちですが、全然関係ありません。今回のレジデンシーでは、前述の記事の中でラフー(布のほころび直し)を頼んであげる、と言ってくれたボーイのラージェーシュさん(下写真)が、首を長くして私を待っていました。

「マダム、ラフーできたよ」「本当? ありがとう!」「職人を探して、グラント・ロードまで行って頼んだんだ。定まった所に店を開いている訳じゃないんで、つかまえるのが大変だったけど、全部やってくれたよ」「苦労掛けてごめんね。それで、いくらかかったの?」「3,000ルピー(5,400円)と言われたけど、バカ言うな、と言って2,500ルピーに負けさせたから」「お金の支払いは?」「僕が代わって支払ったけど、何せ薄給だから、お金がなくて困った」「ええっ、それは申し訳なかったわ。でも、薄給だなんてそんなことないでしょ?」「本当だよ。基本月給は14,000ルピー(25,200円)なんだ」というような話が続き、その合間にサリー等をチェックしてみたら、それはそれは丁寧に”掛け接ぎ”(英語ではdarning)という感じに穴や切れ目がつくろってあります。なるほど、これが「ラフー」のワザかぁ、と感心しました。というわけでチップをはずんで御礼にしましたが、ボーイさんの基本給がそんなに安いとは。お子さんも3人いる、とのことで、チップで稼がなくちゃ生活がやっていけませんよね。思わぬ所でボーイさんの基本給を知ってしまいました。

前にも書いたように、このホテルはフロントの人からボーイさん、コックさんまでほぼみんな顔なじみ。ヒンディー語をしゃべり、サリーを着ては外出する”変なマダム”の相手をいやがらずにしてくれます。この間、紅茶とビスケットを出してくれたボーイさんにも、しっかり御礼を言いました。今回は、Agodaでうまく広い目の部屋をゲットでき、ツインベッドのなかなかいい部屋になりました。とは言っても、チェンナイのレジデンシー・ホテルから見ると半分ぐらいの広さなんですが、WiFiも最初からさくさく通じるし、部屋掃除に来てくれた新顔ボーイさんに「ハンガーをあと5つちょうだい」と言ったら、飛んでいって取ってきてくれるし、まだ少年みたいなボーイのサーヒル君(下写真)もなかなか気が利きます。チップでしっかり稼いで、がんばってね。

今日の午後は、友人が紹介してくれた映画記者、ナンディニー・ラームナートさんと会うために、すぐ近所にある本屋「キターブカーナー」まで行ってきました。ヒンディー語を勉強している方なら、「キターブ(kitaab)」は「本」、「カーナー(khaanaa)」は「~のある所、~である所」という意味だとご存じですね。ヒンディー語の単語で「食べる、食べ物」という意味の「カーナー」もあるのですが、「キターブカーナー」は語源はアラビア語なので、別の単語です。このキターブカーナーという本屋さん、ホテルから徒歩15分ぐらいなのに、その存在を知りませんでした。中にはカフェも併設されており、若い人がたくさん来ていました。

で、ナンディニーさん、紹介してくれた友人と同じ年代のアラフィフという感じで、とても聡明な感じの人でした。英語ができない人の相手も慣れているのか、いろんなジェスチャーもまじえて、わかりやすい英語で話してくれます。しかし、今回こんな風に会うとは思っていなかったので、日本におけるインド映画の諸資料を何も持ってきておらず、説明に四苦八苦。ああ、あの時のインド映画祭のパンフがあればなあ、とか、『RRR』のチラシがあればなあ、とか、日本での宣伝とかをまったくイメージしてもらえなかったと思うので、説明不足だったと思います。せめて、日本での公開インド映画一覧でもあればよかったんですが。今回、USBに最近の原稿とかは入れてきたものの、前の資料は入れてないし...。

で、最近の映画の話になって、実は私がこれまでに見たヒンディー語映画で、ブログに紹介を書いていない作品があるのですが、そのことを持ち出すと、「ああ、あのプロパガンダ映画ね」と彼女はバッサリ。おお、よかった、そういう見方でいいんだな、とホッとしました。チェンナイで見たのですが、随所で客が沸いていて、ええー、それでいいのか、インド??? と思ったりしたのです。さっき、彼女の映画評を見つけ読んでみたのですが、そうか、『URI/サージカル・ストライク』(2019)もこれも、国政選挙前に公開されて、BJPの勝利を導く一要因という役目を担ったわけか(今回の選挙はまだ終わっていませんが)、と、彼女がこの点を書いていてくれていたのでさらに明確になった感じです。後日もう一度しっかり見て、紹介を書くことにします。ナンディニーはこの「スクロール」というサイトにいろいろ映画批評記事を書いているので、あとで全部見てみようと思います。

上は、キターブカーナーの入り口の荷物置き場です。これで、利用者層がおわかりになると思いますが、若い人が圧倒的に多く、床に座り込んで本を読んでいる人もいたりしました。本屋好きの私は、台北の誠品書店みたい、と大感激。インドではあちこちの書店を、例えばデリーのカーン・マーケットの書店とか、チェーン展開していたランドマークとか、オーム・ブックスやムンバイのジュフーにある書店グラント(これも「本」の意味)とかいろいろ見てきましたが、これほどまでに開放的な雰囲気の書店はなかったように思います。いい店を教えてもらいました、ありがとう、ナンディニー。

その後ナンディニーと別れて行ったのは、そこからまた徒歩15分ぐらいの所にある写真屋さん「Shiv Studio」。行きたい人のために住所を書いておくと、「Bhagwan Bhavan, 42, Kumtha Street 71, Mint Road, Fort, Mumbai」です。こんな小さなスタジオで顔写真を撮ってくれ、表のカウンターのところで丁寧に輪郭に修正をかけて、持参したUSBに大小2サイズを入れてくれます。今回は、近頃お気に入りのピンクのサリーを着ていったので、2ポーズ撮ってもらいました。これで計100ルピー(180円)。

なぜかここで撮った写真は、いつもお気に入りの顔になってくれて、コロナ禍で来られなかった4年間、どれほど恋い焦がれたことか。また、昨年は風邪引きヨレヨレ顔だったので撮ってもらえず、その向かいのお茶屋さんで買い物をしただけで涙を呑んだのでした。向かいのお茶屋さんが、こちらで紹介したこれまた絶品のスイートと無料の飲料水を提供してくれる「ナーゴーリー・サーガル」です。今調べたら、結構有名カフェみたいで、この右側の小さなお店なんですが、ファンは多いようです。

ケーサリー・ラッシー、ストロベリー・ラッシーにバターミルクにプリン、どれもリッチなお味ですのでぜひ一度お試しを。去年も風邪で咳がひどく、喉が腫れ上がって声が出なかった時、このお店の品々に助けられました。

というわけで、やっぱり大好きなムンバイ! なのでした。

 


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