「若葉」は映画「櫻の園」(2008年11月公開)の主題歌として書き下ろされ、
2008年11月にシングルが発売されました。
アルバムは「とげまる」(2010年10月発売)に収録されています。
残念ながらこの映画は見ていませんし、この曲も「とげまる」を聞くまで
知りませんでした。
学園ものという映画の内容に沿って、かけがえのない学生時代の楽しさ、
そして社会へ旅立っていく若者の心の揺れと決意を、優しいメロディーで
歌っている名曲です。
イントロはマンドリンとアコースティックギターのアルペジオで、
まずこのシンプルな音が心に染みいります。
さらに歌が始まっても、生ギターの音が全体を
包むように演奏されており、何度聞いても新鮮さが失われることはありません。
サビはスライドギターが加わり、美しくて深遠な響き聞くことができます。
「花咲き誇る頃」 「若葉の繁る頃」は、実際の季節とともに、人の一生を四季に
見立てたときの春、まさに青春と呼ぶべき時代をあらわしています。
また、
優しい光 と 深い霧
無邪気 と マジメ
にぎやかな時 と 「怖い」というつぶやき
晴れた街の空 と 予測できない雨
などの対比が、この楽しい季節にもいつか終わりが来ること、そして
未来への漠然とした不安を暗示します。
「暖めるための ~ 燃やすところだった」のところは、聞く人それぞれが
自分も知らないうちにこういうことをしていないだろうかと、はっとさせられる
のではないでしょうか。
これほど短いフレーズで深い内容を言いあらわせるなんて、ほんとうに
すごいと思います。才能ですね。
そして、卒業がこの楽しい時間に終りをもたらし、
思い出に「ひとまずカギをかけて」、自分の夢を実現するために
みんなそれぞれに別の道を歩き出します。
この歌で何よりも好きなところは最後のところです。
「バカげた夢」 「君の知らない道」
将来の夢について君といろいろと話したけど、僕はそのときの夢とは違う夢へ、
無茶かもしれない道へ向かうことにしたんだ。
さようなら、僕は今までの僕じゃないよ。
新たに見つけた自分のやりたいこと、決意、そして旅立ち。
一回り大きくなった青年が目に浮かびます。
おしまい