「ルキンフォー」は2007年4月発売のシングル。
アルバムは「さざなみCD」に収録されています。
look for ~ → さがす、求める と辞書にあります。
いったい何をさがしているのでしょうか。
「疲れた目 こすった先に 探し求めていた 灯りを見た」とあります。
では「灯り」とは何なのでしょうか。
歌い出しが「それじゃダマされない」ということですが、
振り込め詐欺には気をつけなさい、とか
この壺は御利益がありますよなんて言われて、ついふらふらと大金を払ってはいけませんと、
注意を呼びかけている歌ではないようです。
また、ラブソングかというと、そう読み取れないこともありませんが、
どうも恋愛をテーマにしているわけでもないようです。
Wikiには「応援歌」とありましたが、そう考えると、歌詞に出てくる「君」は
女性とは限らず、男性と考えてもいいようですし、
さらに広げて、同時代を生きる人々みんなに歌いかけているようにも思えます。
「どこまでも つづくデコボコの/道をずっと歩いていこう」
「ダメなことばかりで 折れそうになるけれど/
風向きはいきなり 変わることもある ひとりで起き上がる」
「めずらしい 生き方でもいいよ/誰にもまねできないような」
「燃えカス時代でも まだ燃えそうなこの/モロく強い心」
抜粋が多くなって恐縮ですが、普通に生きていくことさえも難しくなったこの時代に、
自分の生き方をしっかり持って、経験したことのない難問にもたじろがずに対処していく。
そういう強い心は「君」にも届いて、「君」ももっと強くなれるはず。
そして、それは次へ次へと連鎖して、世界中のみんなが……。
ジョン・レノンの「イマジン」にも相通じるような壮大な思いが歌われています。
これこそが「疲れた目 こすった先に」見えた、まさに天啓というべき「灯り」ではないでしょうか。
歌の最後に「不器用なこの腕で 届きそうな気がしてる」と繰り返すところは、
声を振り絞り、祈りにも似た切なさに満ち満ちていて、心を打たれます。
おしまい