増田カイロプラクティックセンターの近況レポート

筋骨格・神経・アレルギー(NAET)・感情の統合療法。
増田裕D.Cのブログ

2006年12月23日  インテリジェンス

2006-12-23 23:21:43 | 本の紹介・感想
たまたま本屋で手にした一冊の本「インテリジェンス武器なき戦争」(幻冬舎新書、手嶋龍一・佐藤優)が非常に面白かった。手嶋氏は元NHKのワシントン特派員、佐藤氏は鈴木宗男議員とバッシングを受けて背任・偽計業務妨害で逮捕起訴され、現在控訴審を闘っている。外交官である。

私は多忙の身で不明を恥じるしかないのだが、佐藤氏がこれだけ知的に優れ、真の愛国心があり、外交官として類稀な資質を持っている人だと知らなかった。佐藤氏の言う検察の「国策捜査」に踊らされていたのである。マスコミを含めた世間の鈴木宗男議員のバッシングに私も迂闊にも載せられていたのである。鈴木議員も立派な議員であることがわかった。

先の戦争で日本の外交および海軍の暗号がすべて米国に解読され、負けるべくして負けたことが今ではわかっている。以前読んだことのある「真珠湾の真実 ルーズベルト欺瞞の日々」(ロバート・スティネット、文藝春秋)は、山本五十六連合艦隊司令長官の指揮する真珠湾の奇襲攻撃の一尾始終がアメリカ側に事前に捕捉されていた。日本に先に手を出させて、アメリカを参戦させる世論形成の謀略だった。それが情報自由法を駆使して、解読暗号の資料を公文書館から探してこれを裏付けた。連合艦隊がアリューシャン列島のヒトカップ湾に集結したときからずっと電波を捕捉してその位置を克明に追っていた。しかもその機密情報はワシントンは把握していたが、ハワイの太平洋艦隊の司令部には届けられなかった。

米ソ冷戦が終焉し、各国の国益が入り乱れるポスト冷戦期には、秘密情報とか諜報とか訳されるインテリジェンスが非常に重要になる。外交、軍事、経済の戦略的展開を図る上でインテリジェンスが欠かせない。インテリジェンスはインフォメーション(生情報)からの情報のエキスである。文脈とか行間を読む力である。

「国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて」「自壊する帝国」「獄中記」「国家の自縛」「北方領土特命交渉」(鈴木宗男氏との共著)、「ナショナリズムという迷宮」(魚住昭氏との共著)と言う一連の佐藤氏の本を一気に読んでしまった。鈴木議員が逮捕されたときには獄中で抗議のハンストを敢行するなどなかなか感動てきなところもある。

小泉政権の悪しきポピュリズムの影響が外交に現れたのが鈴木宗男・佐藤優バッシングであった。これらの本から学ぶことは多い。特に人間の弱さ、人間としての矜持について教えられた。
インテリジェンス 武器なき戦争

幻冬舎

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真珠湾の真実 ― ルーズベルト欺瞞の日々
文藝春秋
国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて
新潮社
自壊する帝国
新潮社
獄中記
岩波書店
国家の自縛
産経新聞出版
北方領土「特命交渉」
講談社
ナショナリズムという迷宮―ラスプーチンかく語りき
朝日新聞社


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