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山岳ガイド赤沼千史のブログ

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安曇野は霧の季節

2013年11月11日 | 安曇野の暮らし

 

霧にかすむ有明山


 安曇野の11月は霧のシーズンだ。雨が降った翌日、朝冷え込んだりすると霧は発生しやすいのだが、ここ安曇野、特に僕の家のある有明や明科辺りはこの時期川霧が良く発生するの。それが深いときは太陽の光を遮ってしまうほどで、朝は寒く暗い。午前10時頃になって昇った太陽が霧の表を暖める頃にならないとなかなか晴れては来ないのだ。

 明科は、安曇野や松本平の水が全て集まるところだ。奈良井川を集めた梓川、槍ヶ岳や木崎湖から来る高瀬川、北アルプスの前山の水を集める穂高川、その三河が合流する。合流した後は、犀川となって安曇野を離れ、やがて川中島で千曲川に注いでいる。そんな明科を中心に川霧が発生するのが11月だ。この時期、川の水は冷たいとは言えまだ夏の余韻をわずか残して、外気温よりかなり温かい状態にある。それが朝方の冷え込みによって冷やされ霧が発生するのだ。今朝はどんよりとして暗く、天気が悪いのだとばかり思っていると、実はそれはそうではなく、霧が晴れてみれば快晴の一日だったりするのだ。周辺の山に登ればそれは雲海となる。安曇野全体に雲海が入り、山々は島のように浮かぶ。そんな霧の朝を散歩する。その晴れ行く様は実に美しくすがすががしいものだ。

 

夜露に濡れて


大きくなるよ ↓

   

 

 犬の散歩に出かけた時のこと。愛犬に導かれるままにあぜ道を行くと、何故か刈り取られないままの田んぼに出くわした。見れば立ち枯れた稲の穂にはあちこち何かキラキラ光るものが見える。よく見ればそれは赤とんぼだった。何匹もの赤とんぼが、稲の穂にしがみついている。その翼はびっしりと夜露に濡れ、それが水玉となって淡くなってきた霧の向こうから差す朝日に輝いていた。こんなになっても彼らは必死に夜を耐えているんだなあと感動してしまった。見れば、その羽は破れてボロボロになっていたり。だが、陽の光がその翼を乾かせば、彼らはまた恋を求めて結構元気に田園地帯を彷徨うのだ。