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山岳ガイド赤沼千史のブログ

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北鎌尾根撤退8月22~24日

2013年08月29日 | ツアー日記

 

 北鎌尾根でのテント泊を諦め、僕らがヒュッテ大槍に入ってしばらくすると、近くで雷が鳴り始め、断続的な激しい雨が小屋を襲った。太平洋高気圧が南に下がって秋雨前線がこの付近を南下中なのだ。その雨はまるで滝のようで、里の雨ではなかなか経験の出来ない程のすごさだった。風も唸りを上げている。同宿のお客さんたちも次々に土間に出てニコニコ記念写真を撮ったりしてる。安全な場所から見るこんな自然現象は、なんか心躍るものがある。これが、予定通りの北鎌尾根のテントサイトであったら、僕らは今絶望の淵に立っているだろう。だが「対岸の火事」ってやつは、人の心を高揚させる。全く不謹慎だが、大雨でも火山の噴火でも、そして東日本大震災でも、それは間違いなく僕を高揚させる。この不埒な心模様。そして、結局はショックで打ちのめされる。震災後の復旧が全く進まなくて苦しんでいる方々に全く申し訳無いことだ。

 この日、島根県では「過去に経験のない大雨」に見舞われた。それにしても雷まで鳴るとは、今までの秋雨前線ではあまり経験のないことだが、最近はそんな事も普通になってしまった気がする。翌朝早朝発で一日での北鎌尾根踏破を目論んでいた僕らだが、暴風雨は明るくなるまで続き、僕らは上高地への撤退を決めた。北鎌沢は今頃滝のようになっているに違いない。

 次第に回復しつつある空が恨めしい。

 

雲が上がりつつある。

マスタケ(味のない鶏ささみのような食感のキノコ、色がマスの肉色に似るのでこの名がある)

静かな水面に緑