日刊 2007年(平成19年)6月4日 月曜日 発行
2007年の風景 ・・・ 新開ボクシングジム 戦う理由<4>
経営苦しい 「平成の丹下ジム」
夢を買うには金が掛かる。 とりわけボクシングは、そうである。 新開ボクシングの経営は苦しい。 「いつだって何とかなるのが、オレの人生よ」とうそぶくジム会長、新開徳幸(60)だが、今度ばかりはタイトルマッチを目前に、具体的な金を用意しなければならなくなった。
ジムの壁にはこんなポスターが、証書を入れる安っぽい額におさめられている。
「練習生入会規定
一、入会金 18,000円
一、会費 12,000円
このたび申し合わせにより右の通り実施します。
プロ、アマ選手も会費を納入すること。
平成11年1月
全日本ボクシング協会」
現在の新開ジムの陣容を明らかにしたい。 「選手はA級ライセンスが数人、B、C級を含め、プロが10人だな。 ほかは練習生で、合わせて20人くらいだよ」。
付け加えるならば、同じ壁には、新開の直筆で、黄ばんだ紙切れにこう、書いてある。
「郵便局から(会費の)引き落としができなかった人は、月謝に消費税600円がかかり、1万2600円になります。 会長」。
「今週は月謝週間です」。
よほど会費納入が悪いのか、催促を兼ねての「案内」である。 このジムの家賃が月20万円だが、「そのほかにガス、水道、電気代を支払えば、完全に赤字。 特にここの練習生は金の払いが悪くってな、ワハハハ。 貧乏ジムだよ、貧乏ジム! 別名『丹下ジム』って呼んでるよ、人は」。
漫画「あしたのジョー」に出てくるアルコール依存症の元ボクサー、丹下段平が泪橋(なみだばし=台東区)に起こしたジム、話はフィクションだが、もし実在したら、確かにトタン屋根の、窓には下りるはずのシャッターが壊れ、巻き込みがむき出しになっている、この「貧乏ジム」が「丹下ジム」と呼ばれても納得できそうである。
比較しても意味はないが、新開ジムと同じ神奈川にあり、横浜駅近くの「大橋ボクシングジム」(大橋秀行会長、横浜市中区)は新築7階建て、ガラス張りの1~3階部分がジムで、延べ面積は新開ジムの100平方㍍(約30坪)に対して、600平方㍍(約180坪)、公式リングを備え、サンドバッグ8、パンチングボール3、ダブルパンチングボール3、エアロバイク3、男女フィットネス施設… これで入会金、会費は新開ジムと同額である。
「ほんと、よそのジムはすごいよ。 とりわけ大橋ジムは。 何で選手がここへ通って来るかって? こっちが聞きたいくらいだ。 自宅から近いからじゃないの、みんなこの辺りの人間ばっかりだよ」。
いずれにしてもこの新開ジムではプロ、アマ合わせても選手20人が、たとえ順調に会費を支払ったとしても月収入は24万円しかない。 「あとはカミさんの働き、稼ぎで補ってる。 ヒモだな。 いや、ヒモじゃきかないな、ロープだよ。 もっとぶっとい、ワイヤーロープか、オレは。 ワハハハ」 と新開は冗談を飛ばすが、財政難のジム経営の実情はそんなものだろう。
「金の工面がな」。 新開がそうつぶやいたのは、そんな背景があったからだ。
(敬称略)
【石井秀一】
でもなんとなく伝わって来る心情があります。
この状況でも続けて行き次代を育てていこうという情熱。
それしかない生き方。それを支える「かみさん」!
その方は断じて「奥さん」じゃないですよね。
その会長の下で黙々とチャンピオンを目指して練習する若者たち。
感動です。
一応行ってみました・・・!
ばーばさんへ
どんな方なんでしょうねぇ? かみさん・・・。
会長さん がんばってほしいですね!
若者たちの 活躍も 楽しみです♪
だって、ここでは 自分の努力だけが 上達へつながるのですから・・・。
って 思いますね。
逆に言えば、
手を抜けば 手を抜いただけの 成果しかない・・・?
はじめまして!! コメントありがとうございます!!
OBさんなんですね♪
ボクシングの話題で 怖くない内容でうれしかったです。
23日に 後楽園ホールで試合があります。
そのことも 本当は書きたいのですが・・・。
以前 ちょっと脅しみたいな コメントがあったので 怖くて自由に書けなくなりました。
スポーツとしての ボクシングは 本当に 素晴らしいと思います。
(最初は 見ているのが 怖かったですけど・・・)
鷹さんも その中で 闘っていたんですね!?
同じ会費で 設備が整っていたら 確かに 今の若者は そちらへ行くでしょうね・・・。
なんだか うれしすぎて 長くなってしまいました。