その日の朝は、むち打ち症のように 首にギブスをしている男の子が、二車線道路の真ん中に立ちすくんでいる場面に出くわした・・・。
「あんなところにいたら 危ないじゃん!!」
そう思いながら 交差点に入ると、警察の事故調査中だった。 その横に座り込んでいるおばさん。
「あの人が 加害者かな? なんだか 怖いな・・・」
このときはまだ、これから自分に起こることを 予想もしていなかった。
FMラジオから、映画「自虐の詩」の主題歌が・・・。 映画では、阿部寛さんの パンチパーマが印象強くて あまり似合わない歌だと思ったけど、あらためて聞くと すごくいい。
「抱きしめて~ そしてキスをして~・・・」
サビの部分 そこばかり口ずさんでいた。
配達も終わり、 家へ向かうその通りは 住宅街で よく飛び出しがあって危ないと思っていて、 実際に事故も見ているし、ヒヤッとする場面も何度も見ている。
「こちらが優先道路なのに なんで いちいちブレーキを踏むんだ!!」
と 旦那はいつも前の車に イライラするような道路。 でも、私もそのブレーキをいちいち踏むひとりである。
その時も あの朝の光景を見たせいか 交差点手前からいつも以上に徐行・・・
「あっ!!!」 思いっきりブレーキペダルをそのまま強く踏んだ・・・。
でも、 衝突は避けられなかった・・・。
相手の自転車が接触して 車と平行になって止まった。 普通に走っていたら・・・
きっと 彼は 飛ばされていたにちがいない・・・。 そして、大変なことになっただろう・・・。
頭の中が 真っ白になりながらも、 そうならなかったことに 安心している自分がいた。 そして この場面は スローで頭の中に 焼きついた。
車を交差点から 邪魔にならない場所へ少し移動させ、 彼の元へ・・・。
彼は 自転車を隅に寄せて 腰を痛そうにさすっていたが、 自転車の不具合を確かめ、 たいしたことがないので そのまま 出掛けると言う。 近くにいた マンションの掃除のおばさんが見ていて、様子をうかがいに来てくれた。
「後で症状が悪化することもあるので、 一応 病院で見てもらったほうがいい」と言う。
彼は 大丈夫だと言っていたが、将来のある身、 やはり 119番に電話をすることにした。
初めて 119番に電話した。
「火事ですか? 救急ですか?」
住所は すぐ近くの電信柱で 番地がわかった。 近くのマンション名も確認した。
「警察にも連絡してください」 と言われ、 110番にも電話した。 これも初めてだった。 同じように 場所を伝えた。
すぐに 家族に電話をしたかった。 ものすごく不安だった。 でも、とても動揺していたので 電話をする余裕がなかった・・・。
救急車はすぐにサイレンを鳴らして来るのがわかった。 見えるところで 手を上げて場所を合図した。 なんか 意外と落ち着いてるな? 自分・・・ と 思った。
隊員さんに簡単に説明を求められ、彼は救急車の中へ。
それから 間もなく 警察(ミニパト)が来て、 免許証と車検証の提示を求められた。 じいちゃん(父)の車だ・・・。 古いいろんな証書が入っていて、 どれがなんだか 焦って見つけられない。 仕方がないので ファイルごと おまわりさんに預けた。
ひとりがそれを書き写している間、 もうひとりのおまわりさんに 事情を聞かれた。
ほどなくして もう一台、 『事故』と看板をしょった警察車が来た。 そして 色々道路を調べ始めた。 その間 最初に来たおまわりさんは 交通整理。 ・・・
「・・・あの・・・、 私は あと 何をすれば・・・」 そう思うくらい ほったらかしだった。
「もう一度 事故の状況を あの調査の人に話してください。 その後 調書を作るので」
捜査係の人に呼ばれ、 事故の再現を話し 確かめる。
「あなたは向こうから走ってきて、 ここらへんから徐行したのかな? そして、ここでミラーを見て左を確認、もう一度右を見たら 自転車が見えたのでブレーキ。 でも 間に合わずここで接触。 この辺で 停止したと」
道路に チョークで印をつけていく。 交差点の真ん中辺りに 細い小さな新しいブレーキ痕があった。
「これ その時のじゃない?」 ・・・ 「わかりません」と答えた。
もうひとりのおまわりさんが 近くにいた人たちに 聞き込みをしている。
知り合いのママさんが通りかかって、 口真似で 「大丈夫?」と 聞いてくれた。 私は笑顔をつくってうなづいた。 (ぜんぜん大丈夫ではない・・・)
そうそう 救急車の彼は 調べている間に いつの間にか サイレンを鳴らして病院へ行ってしまった。
おまわりさんに言われた・・・
「今 走って行った自転車(ママチャリ) あれで だいたい10キロだよ。 早いでしょ!? たぶん あなたは ○○キロくらいだったと思うよ。 それでもブレーキしてすぐに止まらないのは、 やっぱり もっと 速度を落とさなければ この事故は防げなかったよね? 徐行って言うのは すぐに止まれるスピードのことだからね?」
そんなこと言ったら 後ろの車に怒鳴られるよ・・・。 と 思いながらも うなづくことしかできなかった。
とにかく 彼の命が 無事であったことに 感謝をした・・・。
起こらなくてもいい事故が ひとつでも 起こりませんように・・・
「あんなところにいたら 危ないじゃん!!」
そう思いながら 交差点に入ると、警察の事故調査中だった。 その横に座り込んでいるおばさん。
「あの人が 加害者かな? なんだか 怖いな・・・」
このときはまだ、これから自分に起こることを 予想もしていなかった。
FMラジオから、映画「自虐の詩」の主題歌が・・・。 映画では、阿部寛さんの パンチパーマが印象強くて あまり似合わない歌だと思ったけど、あらためて聞くと すごくいい。
「抱きしめて~ そしてキスをして~・・・」
サビの部分 そこばかり口ずさんでいた。
配達も終わり、 家へ向かうその通りは 住宅街で よく飛び出しがあって危ないと思っていて、 実際に事故も見ているし、ヒヤッとする場面も何度も見ている。
「こちらが優先道路なのに なんで いちいちブレーキを踏むんだ!!」
と 旦那はいつも前の車に イライラするような道路。 でも、私もそのブレーキをいちいち踏むひとりである。
その時も あの朝の光景を見たせいか 交差点手前からいつも以上に徐行・・・
「あっ!!!」 思いっきりブレーキペダルをそのまま強く踏んだ・・・。
でも、 衝突は避けられなかった・・・。
相手の自転車が接触して 車と平行になって止まった。 普通に走っていたら・・・
きっと 彼は 飛ばされていたにちがいない・・・。 そして、大変なことになっただろう・・・。
頭の中が 真っ白になりながらも、 そうならなかったことに 安心している自分がいた。 そして この場面は スローで頭の中に 焼きついた。
車を交差点から 邪魔にならない場所へ少し移動させ、 彼の元へ・・・。
彼は 自転車を隅に寄せて 腰を痛そうにさすっていたが、 自転車の不具合を確かめ、 たいしたことがないので そのまま 出掛けると言う。 近くにいた マンションの掃除のおばさんが見ていて、様子をうかがいに来てくれた。
「後で症状が悪化することもあるので、 一応 病院で見てもらったほうがいい」と言う。
彼は 大丈夫だと言っていたが、将来のある身、 やはり 119番に電話をすることにした。
初めて 119番に電話した。
「火事ですか? 救急ですか?」
住所は すぐ近くの電信柱で 番地がわかった。 近くのマンション名も確認した。
「警察にも連絡してください」 と言われ、 110番にも電話した。 これも初めてだった。 同じように 場所を伝えた。
すぐに 家族に電話をしたかった。 ものすごく不安だった。 でも、とても動揺していたので 電話をする余裕がなかった・・・。
救急車はすぐにサイレンを鳴らして来るのがわかった。 見えるところで 手を上げて場所を合図した。 なんか 意外と落ち着いてるな? 自分・・・ と 思った。
隊員さんに簡単に説明を求められ、彼は救急車の中へ。
それから 間もなく 警察(ミニパト)が来て、 免許証と車検証の提示を求められた。 じいちゃん(父)の車だ・・・。 古いいろんな証書が入っていて、 どれがなんだか 焦って見つけられない。 仕方がないので ファイルごと おまわりさんに預けた。
ひとりがそれを書き写している間、 もうひとりのおまわりさんに 事情を聞かれた。
ほどなくして もう一台、 『事故』と看板をしょった警察車が来た。 そして 色々道路を調べ始めた。 その間 最初に来たおまわりさんは 交通整理。 ・・・
「・・・あの・・・、 私は あと 何をすれば・・・」 そう思うくらい ほったらかしだった。
「もう一度 事故の状況を あの調査の人に話してください。 その後 調書を作るので」
捜査係の人に呼ばれ、 事故の再現を話し 確かめる。
「あなたは向こうから走ってきて、 ここらへんから徐行したのかな? そして、ここでミラーを見て左を確認、もう一度右を見たら 自転車が見えたのでブレーキ。 でも 間に合わずここで接触。 この辺で 停止したと」
道路に チョークで印をつけていく。 交差点の真ん中辺りに 細い小さな新しいブレーキ痕があった。
「これ その時のじゃない?」 ・・・ 「わかりません」と答えた。
もうひとりのおまわりさんが 近くにいた人たちに 聞き込みをしている。
知り合いのママさんが通りかかって、 口真似で 「大丈夫?」と 聞いてくれた。 私は笑顔をつくってうなづいた。 (ぜんぜん大丈夫ではない・・・)
そうそう 救急車の彼は 調べている間に いつの間にか サイレンを鳴らして病院へ行ってしまった。
おまわりさんに言われた・・・
「今 走って行った自転車(ママチャリ) あれで だいたい10キロだよ。 早いでしょ!? たぶん あなたは ○○キロくらいだったと思うよ。 それでもブレーキしてすぐに止まらないのは、 やっぱり もっと 速度を落とさなければ この事故は防げなかったよね? 徐行って言うのは すぐに止まれるスピードのことだからね?」
そんなこと言ったら 後ろの車に怒鳴られるよ・・・。 と 思いながらも うなづくことしかできなかった。
とにかく 彼の命が 無事であったことに 感謝をした・・・。
