★車中泊旅行に出てようやく1週間近く経ちました。どのようなペースで行程を進めば1日どれくらいの距離を移動できるかがつかめてきました。
9月7日。泊めてくれた友人とご両親には厚くお礼を申し上げて遠軽を後にしました。この近辺も知っている地名や観光名所が目白押しでしたので、駆け足で移動することにしました。
サロマ湖を臨み、北見市に抜け、網走教務所に立ち寄りました。そこから山道をとおり美幌峠に到着しました。この峠は高校のときに修学旅行に来た際、おいしいジャガイモの天ぷらを食べてすごく感動したことを覚えていました。
しかもその先にある屈斜路湖でわたしは強烈な思い出となる出来事に遭遇しました。
修学旅行は高校2年のときでした。屈斜路湖についたところ、バス移動であったため体を動かさないでいた鬱憤が爆発し、ボートを借りて友人たち数名で湖上ボートレースに興じることとなりました。時間もかなりあったため岸からかなりの距離まで漕ぎ出していました。おかげで遊覧船に衝突しそうになるのをようやくのことで避けたかと思うと船の通り過ぎた後の大きな波で湖上に身を投げ出しそうになったりしました。
その直後のことです。徐々に岸辺に近寄っていっる最中、わたしの乗っていたボートに向かって学生服を着た女子学生が3人、こちらに向かって一生懸命手をふっているのです。
わたしの通っていた学校は男女共学でしたが、なぜだか修学旅行は男女別日程にて行なわれましたので、北海道の地で女子学生の知り合いはいないのです。はじめは何かの間違いかと思いましたが、明らかにわたしに向かって手を振っているのです。
何が起こったのかと不思議に思っていたところ、その3人の女子生徒のうちの一人がわたしにむかって大きな声で叫んだのです。
その叫んだ単語は、わたしが中学3年のときにクラスメートに付けられたニックネームだったのです。
何が起こったのかわからずとにかく岸にたどり着きましたが、叫んだ女子生徒の姿はもうそこにはありませんでした。岸辺にいた友人に確認したところ、声の主はわたしが中学3年のころに好きだった同級生だったようです。
飛行機で着た修学旅行の地に、同じ時間に居合わせたらしいのです。彼女は駐車場で自分の乗っていたバスを降り立ったところ、わたしが入学した学校のネームプレーとを付けたバスがそこにあるのを見つけ、わたしがその場にいることをわたしの同級生たちに尋ねて確認してくれたようです。
やっとわたしがどこにいるかがわかったときには、彼女はもう出発しなければならない時間になったようです。そして、わたしの友人が「あのボートを漕いでるよ」と教えたので、わたしに向かって叫んだようです。彼女はそのままその場を立ち去りました。
あとで友人にそのいきさつを聞いたとき、すごく切ない気持ちになりました。「会いたかった」「なんでボートなんか漕いでたんだろう」
後悔しました。しかたのないことですが。
もしそのとき湖畔で彼女と対面できていたら、ひょっとしたら違う人生を歩んでいたかもしれないといまだに思っています。旅行で再びその土地に立ったときも高校2年のときのある風の強かった日のことを思い出してしんみりとした心持になりました。
その日の夜は川湯温泉の旅館に泊まりました。