昨年末から今年2月にかけて週刊ダイヤモンド以外のビジネス誌3誌が下記のようなパチンコ業界の特集をしており、その中で貸金業法の改正による影響が取り上げられていました。
●日経ビジネス2007年12月24日・31日号
「パチンコ大異変:シャープ、オムロン、メガバンクも身構える日本発もう一つのサブプライム」
「パチンコ店ショックはこうして起きた;貸金業法改正、細るファンの軍資金」
●週刊エコノミスト2008年2月12日号
「27兆円パチンコ市場の縮小-官製不況という病」、
●週刊東洋経済2008年2月23日号
「ヒット機登場でホールは活況だが・・・規制に振り回されるパチンコ業界の明暗」
パチンコ&パチスロの市場規模ですが、06年で27兆円(レジャー白書)と大きく、30万人に近い雇用人口、そして関連業界は多岐に渡っています。
このように巨大産業になったパチンコ業界ですが、このように伸びたのは最先端の技術をパチンコ機に導入することで、遊技人口や消費金額を増やしたためでした。
1980年に「フィーバー」が導入され、89年には初の液晶搭載機が登場し、91年にはカラー化になり、その後液晶は大型になり、LEDの搭載数も増え演出が派手になりました。
そのため、高性能の半導体を使うなどハイテクそのものになってしまったため、パチンコ機1台35万円もするようになり、その運営のためには莫大なお金がかかるようになりました。
このような新型機の導入があり、そして1997年ごろから、電通の多大な努力により消費者金融がCMを流せるようになり、大量にCMを流し始め、そのため簡単にお金が借りられるようになり、借金をしてまでパチンコをする人が出現し、借金を返せないので、数社からお金を借りるため多重債務者が増え、その結果悪質な取立てが起きたことから社会問題にまで発展してしまいました。
そのため、行政も重い腰を挙げ、まず遊技機規則の改正で射幸心を煽る機種を撤去・入れ替えすることになり、改正風俗営業法により営業時間が短くなるなどパチンコに関する法律を厳しく変えてきました。
そして、遊技資金の資金源である消費者金融にも手がつけられ、消費者金融業者は、かなり強く反対したのですが、総量規制を盛り込んだ改正化資金業法が成立したことにより、消費者金融は稼ぎの無い人にはお金を貸せなくなり、借金をしてまでパチンコホールに通っていたマニアは減少しました。
経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によれば、パチンコ店の売上高の伸び率は2007年1月から毎月マイナス幅が拡大し、10月には前年同月比18.1%減と2001年の調査開始以来最低の水準になってしまったそうです。
しかもパチンコ店の倒産も増えているということで、ビジネス誌は「パチンコ店ショック」を取上げていたわけです。
しかしながら、週刊東洋経済2008年2月23日号によると、07年後半あたりから、人気キャラクターを使ったパチンコ機を導入し、CMを大量に流し始めたことにより、07年12月あたりから客足が戻ってきたとのことです。
とはいうものの、大量のCMや新型機の導入に支えられているわけで、マニアたちの収入はふえていないわけですから、客足が戻ったといってもいつまで続くかは不明です。
早い話、電通が苦労して消費者金融のCMを大量に流さなければこのような問題が起きなかったと思うのですが?