「資格検定情報センター」準備事務局より

各種資格・検定の情報を分析し、信頼性の高さや疑問点の有無を報告します。

カウンセラーの資格について

2007-08-24 19:42:56 | Weblog
カウンセラーに関する資格は国家資格がありません。
臨床心理士の資格は比較的信頼されていますが、何の資格も持たない人がカウンセリングルームを開業しても違法にはなりません。
現在、多くのカウンセラーの技量にかなりばらつきがある状態です。

カウンセラーのことを信頼してカウンセリングルームに足を運ぶ人も多いのですが、そのカウンセラーがどのような学問的背景を持っているのか、確認しておいたほうが良いでしょう。

大学できちんと心理学や精神分析学を学んだカウンセラーは少数派です。
社会人になった後、学校(学校法人ではない、塾や講座のこうなものです)に通って各団体が認定する独自の資格を取得している場合が多いのです。
学校もきちんとカウンセリングを行うレベルに達する教育を行っているのか、疑わしい場合があります。

心の問題に興味がある人がカウンセラーになることが多いわけですが、スピリチュアルなことに関心があるカウンセラーも少なくありません。
心理学や精神医学についての精密な知識が少なく、そのかわりに安易な疑似科学のような一般に認められていない説を持ち出して説明を試みようとする場合があります。

先日少しお話しする機会があったあるカウンセラーは、「産業カウンセラー」「心理療術師」「ホリスティックライフコーディネーター」という資格を名乗っていました。
聞きなれない心理療術師という資格は、東京療術学院という学校(学校法人ではありません)の修了者がもらえる資格です。
このカウンセラーの方も東京療術学院出身で1~2年学んだと思われます。
大学で心理学関係のことは学んでいないはずです。

また、「産業カウンセラー」というと信頼度が高そうですが、産業医と異なり、ある団体の実施する民間資格です。しかも産業カウンセラーは初級資格であり、シニア産業カウンセラーよりも簡単に取得できます。
「ホリスティックライフコーディネーター」という資格は、実態が把握できません。実施団体と思われるNPO法人のサイトを見ても資格についての記述がありません。

このカウンセラーの方はある企業でメンタルヘルスケアに関するセミナーが行われた時、「深層意識は、第三者に影響を及ぼすことがある」というような発言を行いました。
カウンセリングルームの院長レベルの人でも、きちんとした科学的知識を持たず、あやしげな論理を述べることがあります。
「無意識に願ったことが現実世界に影響を及ぼすことがある。目に見えない小さな世界では、そういうこともあるということが量子力学の世界でも解明されている。免疫学の世界でもそうだ」などといったことを言いました。
疑似科学のような内容です。

心理学者や免疫学者がそのように記述した書籍があるなら教えてくれるようにと依頼した人がいましたが、後日そのような書籍はなかったとの返事が来たそうです。
セミナーではちょっと難しそうな言葉でもっともらしく説明しようとしていましたが、少しでも物理学や心理学を学んだ人から見れば明らかに用語の使い方がおかしいとわかります。科学的な理論を正確に把握せず、自分に都合の良いように、何も知らない人を煙に巻くために用語を乱用しています。
ただ、そのような知識のない人は、感心して聴き入ってしまうかもしれません。

カウンセラーは一種、教祖のような立場にもなりかねない人です。
全幅の信頼を寄せてくれる人がいるわけですから。

だからこそ、きちんとカウンセラーを見分けることは大切ですし、カウンセラーに関する資格を整備する必要があるのではないでしょうか。
カイロプラクティックと同じく、さまざまな団体や官公庁などの利害がからみ、なかなか整備されないのですが、まずは自分たちできちんと情報を収集する必要があります。

各カウンセラーの資格の内容や問題点については、また別の機会に述べたいと思います。


カウンセリング関係の主な資格
 認定カウンセラー
 家族相談士
 産業カウンセラー
 教育カウンセラー
 認定心理士
 学校心理士
 臨床心理士
 プロカウンセラー