「資格検定情報センター」準備事務局より

各種資格・検定の情報を分析し、信頼性の高さや疑問点の有無を報告します。

検定:気楽に、花盛り 趣味や雑学、ご当地など150(毎日新聞)

2008-01-19 23:39:44 | Weblog
毎日新聞の2008年1月19日西部夕刊に、ご当地検定についての記事がありました。
ご当地検定の過半数は各地の商工会議所が関与していますが、検定も2年目、3年目にもなると話題性が低下し、運営が苦しくなる場合も少なくありません。
NTTドコモの社内ベンチャーもご当地検定の創設に関与しているようですが、長期的視野を持って取り組んでいただきたいと思います。

http://mainichi.jp/seibu/shakai/news/20080119ddg041040011000c.html
■検定:気楽に、花盛り 趣味や雑学、ご当地など150
 さまざまなテーマや分野の知識を問う「検定」のブームがとどまるところを知らない。観光振興や地方活性化を目指す「ご当地検定」やユニークなテーマの「おもしろ検定」も次々に登場し、百花繚乱(りょうらん)の様相だ。最近の検定を検定?してみる。【田中義宏】

 ◇知名度高める狙い--マンネリ化、募集定員不足も

 「全員合格です。どうぞ越前ガニの味をご堪能ください」。12日、東京都港区の福井県の施設で行われた「越前カニ検定」(福井商工会議所主催)。「日本一高額な検定料」(3万円)とPRし、定員30人を募集したところ、首都圏などから20人が応募した。全20問は「教材をみればできる程度」(主催者)の簡単なもので、メーンは終了後に行われたパーティーだ。福井産ズワイガニのフルコース。採算はあわないが、野村有三・同商工会議所専務理事は「マーケットが大きい東京で情報発信するのが目的。これをきっかけに福井に来てもらえれば」と期待をかける。

 横浜市の会社員、井上一希さん(26)と妻梓さん(26)は「ネットで見ておもしろそうだから受けた。3万円でもいい思い出に」と話し、パーティーでは「最高」とゆでガニにしゃぶりついていた。

 こうしたご当地検定は、04年開始の「京都・観光文化検定」が毎年1万人以上受検するほどに成功したのをきっかけに地方都市関係団体が続々と参戦。日本商工会議所によると、昨年12月現在で各地の商工会議所が主催・共催するご当地検定だけで54。他に非営利組織(NPO)などによるものは推定で100以上になるが、競争激化でマンネリ化し、募集定員に満たないものも出ている。

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 趣味や娯楽、生活や雑学に関するテーマの検定も急増中。▽阪神タイガース▽歌舞伎▽アニメ▽子育てパパ力--などだ。中には検定会場を設けず、インターネットや携帯サイト上で実施するお手軽方式も目立つ。

 07年からの団塊世代の大量退職を背景に創設された「定年力検定」(日本定年力検定協会主催)は第二の人生設計に必要な年金、保険などを問う。過去3回で計約510人が受け約360人が合格。昨年4月に合格した神戸市の横山春夫さん(58)は日用品メーカーを退職後、陶芸品販売を始めた。「長寿社会で人の世話にならないよう元気なうちに転職した。そのため老後に備えて知識を身につけたかった」と語る。

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 検定の制作、実施を請け負う企業も出始めた。昨年8月に創立したNTTドコモ社内のベンチャー企業「ダイナステップ」(東京)。同社によると、受検者のキャリアアップにつながる従来型検定は敷居が高く、より気軽に受検できる形式が好まれ、目的も娯楽・趣味、企業の人材育成、ブランド・商品宣伝用など多様化しているという。寺崎元治社長は「今後はブランドを普及させる場合にイベント的に1~数回で終わらせるものも増えるだろう。市場はまだまだ拡大する」と話す。

 同社の横山達也副社長は自らが「食品生活アドバイザー」など24種に合格した「検定マニア」。受検者の心理について「合格認定カードを他人に見せる時が一番うれしい。つまりは自己顕示欲なんです」と分析する。

 ◇九州でも各地で開催

 佐賀県唐津市呼子町には「唐津・呼子イカ検定」がある。唐津観光協会や市内の飲食業組合、旅館、漁協などでつくる検定委員会が実施し、ブランド力を高めるのが狙い。昨年2月の試験は313人が受験し、「イカの心臓の数は?」(答え・三つ)などの100問に挑んだ。

 また、幕末から明治維新の町で知られる山口県萩市の「萩ものしり博士検定」▽熊本県の「熊本・観光文化検定」▽長崎県の「長崎歴史文化観光検定」▽鹿児島県の「かごしま検定」--など「ご当地検定」も九州各地で開催されている。

 「環境首都」を目指す北九州市は「北九州環境学検定」を今年6月にも実施する。市内の自然や公害対策など幅広く問う予定で、市民に環境意識を高めてもらうユニークな取り組みとして注目される。【松本光央】

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 ◇ご当地・おもしろ検定の例題や過去問題◇

 (1)阪神タイガース検定

 昭和11年に佐藤惣之助作詞、古関裕而作曲、現在「六甲おろし」で親しまれている歌が発表されたが、発表時の正式曲名は。

1頑張れタイガース 2大阪タイガースの歌 3フレーフレータイガース 4タイガース応援歌

 (2)江戸文化歴史検定2級

 商品などを買う気もなく、見るだけの客を「ひやかし」といいます。言葉の由来は、あるものをつくる職人が、工程の合間をぬって吉原をぶらぶらしたことにあります。その職人がつくっていたものは?

い今戸焼 ろ佃煮 は浅草紙 に浅草海苔

 (3)明石・タコ検定

 タコの好きな貝は?

1クボガイ 2イソシジミ 3アサリ 4ウチムラサキ

 (4)香住!カニ検定

 童話「サルカニ合戦」で、サルがカニのおにぎりと交換したものはどれか。

ア小判 イ柿の種 ウ栗 エまんじゅう

 ◇解答

 (1)2 (2)は (3)4 (4)イ

毎日新聞 2008年1月19日 西部夕刊






売られる博士号(朝日新聞2008年1月6日朝刊)

2008-01-09 09:00:56 | Weblog
静岡県立大学の小島先生の健闘もあり、非認定大学の問題が広く認識されるようになってきました。
非認定大学の学位は、健康食品販売、整体、カウンセリング、講演、等々で箔付けのためによく利用されています。
朝日新聞の記事は抑え気味ですが、この記事の裏には下記のような現実もあるということを認識しておきたいと思います。

●非認定大学の学位を持っている者には詐欺的な商売に関わっている人も少なくない。
●非認定大学の学位は、高度な研究結果が評価されたものではない。
●非認定大学の学位を示して大学教員の公募に応募し採用されても、採用を取り消される可能性が高い。

また、小島先生は学位商法の業者と全面対立をされていますが、どこかに学位商法業者の逃げ道も作ってあげたほうがよいかと思います。
逃げ道を失った業者が暴発しないとも限りませんから。


90年代はまだそれほどネットも普及しておらず、学位商法に対しての報道もほとんどなく、大学教員の募集も多かったので学位商法の需要もありました。
しかし最近は学位商法に対しての情報も増え、博士号を取得しても大学教員になることは難しくなり、偽博士号に対する需要も減りました。
このままの状態で行けば、放っておいてもイオンド大学は経営難に陥るかと思います。


<参考>
朝日新聞2008年1月6日朝刊26面
ニセモノ社会>5<
■売られる博士号
 文部科学省が昨年末、奇妙な調査結果を発表した。
 実態の伴わない博士号や修士号を発行する機関があり、そこから得た「ニセ学位」をもとに04~06年度に採用されたり昇進したりした教員が、全国4大学に4人いたという。

 社会的に通用しない学位を発行するビジネスを「学位商法」と名付けて研究してきた静岡県立大の小島茂教授によると、発行機関は少なくとも数十ヵ所ある。一つの例はイオンド大学だという。
 その日本校のホームページには「文科省の所管する大学ではない」とある。総合学部や国際関係学部のほか、未知現象研究学部や催眠学部を置く。 
 日本校を訪ねると、本部は、東京都杉並区の環状7号線沿いの雑居ビル内にあった。4階が事務所で、5階に応接室があった。
 「小島教授から誹謗中傷を浴びせられ、迷惑しているんだ」。高橋斎代表は激しい口調で切り出した。
 高橋代表らによると、日本校は99年に株式会社として設立し、籍を置く学生約100人の大半は働きながら学ぶ社会人だという。「キャリアアップを目指す社会人に門戸を開くのが狙いだ」
 学生が社会で培った経験を査定評価し、単位に置き換える。名誉学士号や名誉修士号、名誉博士号を与えているという。
 「学位商法」との非難に対し、高橋代表は「非認定校と知ったうえで学位を受けて何が悪いのか。いろんな大学の形があっていい」と話した。

 「非認定校」。この言葉には解説が必要だ。
 日本では、学位は基本的に文科省の認可した大学が発行する。米国では原則として、州当局から認証された民間団体が、学位を保証する。日米ともに、公式の認証を受けていない大学は「非認定校」として扱われ、学位に疑わしい点があるとされる。
 小島教授によると、非認定校は米国には300近くある。州が認証していない団体による「認定」をホンモノと信用させ、学位を売りさばくことが社会問題化した。「ディプロマ・ミル」「ディグリー・ミル」などと呼ばれる。「学位工場」といった意味だ。 
 日本の教育界では数年前から問題視されるようになった。
 たとえば九州産業大では昨年、博士号などを与える立場にある商学部の教授(64)が、非認定校のひとつで学位を取得していた疑いが浮上し、内部調査をした。
 大学の説明によると、この教授は、農協流通研究所主任研究員だった89年、雑誌広告で通信教育制の「クレイトン大学」を知った。3年間週1回程度、都内の日本人教官のもとへ通い、日本語で経営学の論文を書いた。授業料は年60万円。学位を得るまでに資料代を含め240万円かかった。
 農協流通研の同僚の多くが博士号を持ち、大学などの教員に転職していた。この教授は「将来に備え自分も博士号を取っておいた方がよいと思った」と説明している。
 しかし、九州産業大が米国大使館などに確かめたところ、クレイトン大学は米国で非認定校として扱われていた。
 考古学が専門の早大客員教授(64)の場合、同大の助教授だった1995年、パシフィック・ウエスタン大学」の博士号を取得した。長く非認定校と気づかなかったという。「当時は英語の論文力を試したかった。学費を30万円ほど納め、論文審査を受けた。インチキとか学位を金で買ったとか疑いもしなかった」

 米国では、学位論文やリポート類に他人の書いたものを盗用する「ニセ論文」も横行している。
 盗用の有無を自動探知する事業を始めたジョン・ベリー氏によると、盗用かどうかの問い合わせは、日本を含む約90カ国から1日平均12万5千件寄せられる。
 全文の25%以上に「他人の文章」を含むものをニセ論文とすると、その数は約3割に上るという。「学位を勝手にプリントアウトしているようなものだよ」とベリー氏は話す。
 学位は、中世ヨーロッパの大学における教授職の資格が起源とされる。
 「日本では90年代、大学院の充実を図ろうとしたことから、学位の氾濫が始まった。
 学位を持っていることが当然になり、学位を出す側の教員が博士号や修士号を持っていないと、周囲は認めてくれなくなった」
 札幌学院大の佐々木冠准教授は、学位商法の横行をそう分析する。佐々木氏は昨年、この問題をゼミで取り上げた。安易に学位が取れることがどういうことか学生たちに考えてほしかった。
 「カタカナ名だと外国のちゃんとした大学と思われがちで、人物を見ない傾向がある」「ニセ学位は、何でもお金で買える風潮を反映している」。学生からはそんな反応が返ってきた。(松永住伸、田中久稔)