「カイロプラクティック」という言葉を聞いたことのある人は多いのではないでしょうか。
整体に似たものをイメージしている人が多いかもしれませんが、整体と違い、関節を鳴らしたりはしません。マッサージも行いません。
基本的に背骨や股関節などのゆがみを手で直す技術です。
先進国を中心に、カイロプラクティックは少なくとも世界40か国以上で法律で規定されています。
ところが、日本ではカイロプラクティックも、整体も、法律での規定がありません。
治療ともいえる行為を行っているにも関わらず、何の規制もなく、無資格で営業を行っているところが多いのです。
カイロプラクティックに至っては、日本においては90%以上の施術者が、法制化された各国で学ぶ教育水準をクリアしていません。
本来、骨格や神経、生理学などについての知識を得る必要があるのですが、現在の日本では何の資格もない人が、カイロプラクティックや整体の看板を上げて患者の腰の骨や首の骨を動かしてもとがめられないのです。
法律的には、1960年に最高裁で療術行為において「有害のおそれがなければ、禁止処罰の対象とならない」との判決がありました。
この判決においては何をもって有害のおそれがないと判断するのか述べられていませんが、この判例を根拠に、無資格の整体院やカイロプラクティック院が増加していったのです。
もっとも、整体院を運営されている人は、はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師などの国家資格を取得している方が多いようです。
(余談ですが、日本には漢方医という資格もないため、西洋医学を学んで医師の資格を取得した人が、漢方も学んで漢方医を名乗っています)
ただ、カイロプラクティックについては、何の国家資格も持たない人が診療行為を行っているのが実情です。
韓国では医師会やリハビリ協会などがカイロプラクティックの法制化に反対しており、カイロプラクティックを行うことが医療法違反となっています。
日本でも医師(特に整形外科医)はカイロプラクティックの法制化に消極的です。
腰痛治療などを医者が独占すれば医者の利益になりますから。
もう10年以上前からカイロプラクティックの法制化の動きはありましたが、カイロプラクティック業界の内部対立や医師たちの反対により、まだ法制化のめどが立っていません。
ところが、WHO(世界保健機関)は無資格で行われているカイロプラクティックに注目し、WFC(世界カイロプラクティック連合)の協力によって、カイロプラクティックの教育基準と業務内容を明記した「カイロプラクティックの基礎教育と安全性に関するWHOガイドライン」を2005年に発行しました。
2006年に日本語版が発行されましたが、日本語版発行によせて、WFCの会長は次のように記しています。
(略)カイロプラクティックの業務が国際的にいっそう確立され、
業務に関する安全性や有用性のエビデンスがより多く明らかに
なると、特に法律のない国々においてカイロプラクティック教育
を商業的に悪用したり、不適格者によるカイロプラクティック営
業などが問題になってきました。WHO 伝統医学の張博士(Dr.Zhang)
が冒頭文で述べるように、これは、今回 WHO が各国の健康行政
機関向けにガイドラインを作成した理由のひとつであります。(略)
続いて、「はじめに」には次のように書かれています。
(略)カイロプラクティック業務に関する規定は、国によりかなり
異なっている。ある国々、例えば、アメリカ合衆国、カナダ、ヨー
ロッパの何カ国かでは、カイロプラクティックは既に法的に認識さ
れ、公式な大学の学位が確立されている。これらの国々では、この
職業は規制され、所定の教育基準が全般的に定められており、それ
ぞれ承認機関の必要条件を満たしている。
しかし、多くの国々では、いまだにカイロプラクティック教育が
未発達であったり、カイロプラクティックの正規な業務を規定する
法律が確立されていない。さらに、ある国々では、他の資格をもつ
健康専門家や、素人の術者が、認可されたカイロプラクティック
教育を受けていないにもかかわらず、脊椎手技療法のテクニックを
使用し、カイロプラクティックのサービスを提供していると主張
することもある。(略)
WHOが注目していることもあり、厚生労働省も対応を考え始めるかもしれません。
また、無資格の整体やカイロプラクティックで症状が悪化した患者たちが、賠償を求めて治療院や現状を放置した厚生労働省を訴え、対応が検討される可能性もあります。
ただ、すぐ法制化されるというわけではありませんから、安全のために、個人個人が治療院に行く前に、各治療院の実力を見極める必要があります。
日本では整体やカイロプラクティックの学校がありますが、専門学校や大学などの学校法人は1つもありません。
「専門学院」や「学院」を名乗っていても、専門学校ではなく、塾と同じです。
社団法人東京都専修学校各種学校協会の加盟校はありません。
何々協会加盟認定、などと名乗っていても、団体は財団法人や社団法人ではなく、多くは任意団体です。
しかも、1~2年の短期間で発行する資格は、その各種学校や任意団体が自ら認定する民間資格なので、公的に認められたものではありません。
「カイロプラクター」「カイロドクター」「カイロプラクティック師」などの名称は、鍼灸師や指圧師と違い、公的に認められていません。
また、現在しっかりとしたプログラムでカイロプラクティックについて学ぶ外国の大学の日本校がありますが、現在文部科学省から大学とは認められていません。(外国の大学の本校がある国からは大学と認められています)
外国の大学の日本校はカリキュラムが充実しているようですが、実際どれほど学生が習得しているのか確認できていません。
整体やカイロプラクティックに行く時は、事前にある程度情報を集めてください。
インターネットで院長の経歴を公表している治療院も多くあります。
<参考> WHO発行「カイロプラクティックの基礎教育と安全性に関するガイドライン」の主な内容。
1.正式なカイロプラクティック教育は全日4年制4200時間以上の教育(うち臨床実習1000時間)。
2.ただし、医師、歯科医師、理学療法士等の医療有資格者は一部単位が認められ全日2~3年制2200時間以上の教育(うち臨床実習1000時間以上)でも正式に認められる。
3.正式な教育ではないが期限付きの教育(CSC等)においては、医師や他の医療有資格者を対象とした場合、2~3年制1800時間以上の全日もしくはパート教育(うち1000時間以上の臨床実習)が最低必要である。
4.正式な教育ではないが期限付きの教育(CSC等)においては、3.以外の自称「カイロプラクター」を対象とした場合、2500時間以上の全日もしくはパート教育(うち1000時間以上の臨床実習)が最低必要である。
整体に似たものをイメージしている人が多いかもしれませんが、整体と違い、関節を鳴らしたりはしません。マッサージも行いません。
基本的に背骨や股関節などのゆがみを手で直す技術です。
先進国を中心に、カイロプラクティックは少なくとも世界40か国以上で法律で規定されています。
ところが、日本ではカイロプラクティックも、整体も、法律での規定がありません。
治療ともいえる行為を行っているにも関わらず、何の規制もなく、無資格で営業を行っているところが多いのです。
カイロプラクティックに至っては、日本においては90%以上の施術者が、法制化された各国で学ぶ教育水準をクリアしていません。
本来、骨格や神経、生理学などについての知識を得る必要があるのですが、現在の日本では何の資格もない人が、カイロプラクティックや整体の看板を上げて患者の腰の骨や首の骨を動かしてもとがめられないのです。
法律的には、1960年に最高裁で療術行為において「有害のおそれがなければ、禁止処罰の対象とならない」との判決がありました。
この判決においては何をもって有害のおそれがないと判断するのか述べられていませんが、この判例を根拠に、無資格の整体院やカイロプラクティック院が増加していったのです。
もっとも、整体院を運営されている人は、はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師などの国家資格を取得している方が多いようです。
(余談ですが、日本には漢方医という資格もないため、西洋医学を学んで医師の資格を取得した人が、漢方も学んで漢方医を名乗っています)
ただ、カイロプラクティックについては、何の国家資格も持たない人が診療行為を行っているのが実情です。
韓国では医師会やリハビリ協会などがカイロプラクティックの法制化に反対しており、カイロプラクティックを行うことが医療法違反となっています。
日本でも医師(特に整形外科医)はカイロプラクティックの法制化に消極的です。
腰痛治療などを医者が独占すれば医者の利益になりますから。
もう10年以上前からカイロプラクティックの法制化の動きはありましたが、カイロプラクティック業界の内部対立や医師たちの反対により、まだ法制化のめどが立っていません。
ところが、WHO(世界保健機関)は無資格で行われているカイロプラクティックに注目し、WFC(世界カイロプラクティック連合)の協力によって、カイロプラクティックの教育基準と業務内容を明記した「カイロプラクティックの基礎教育と安全性に関するWHOガイドライン」を2005年に発行しました。
2006年に日本語版が発行されましたが、日本語版発行によせて、WFCの会長は次のように記しています。
(略)カイロプラクティックの業務が国際的にいっそう確立され、
業務に関する安全性や有用性のエビデンスがより多く明らかに
なると、特に法律のない国々においてカイロプラクティック教育
を商業的に悪用したり、不適格者によるカイロプラクティック営
業などが問題になってきました。WHO 伝統医学の張博士(Dr.Zhang)
が冒頭文で述べるように、これは、今回 WHO が各国の健康行政
機関向けにガイドラインを作成した理由のひとつであります。(略)
続いて、「はじめに」には次のように書かれています。
(略)カイロプラクティック業務に関する規定は、国によりかなり
異なっている。ある国々、例えば、アメリカ合衆国、カナダ、ヨー
ロッパの何カ国かでは、カイロプラクティックは既に法的に認識さ
れ、公式な大学の学位が確立されている。これらの国々では、この
職業は規制され、所定の教育基準が全般的に定められており、それ
ぞれ承認機関の必要条件を満たしている。
しかし、多くの国々では、いまだにカイロプラクティック教育が
未発達であったり、カイロプラクティックの正規な業務を規定する
法律が確立されていない。さらに、ある国々では、他の資格をもつ
健康専門家や、素人の術者が、認可されたカイロプラクティック
教育を受けていないにもかかわらず、脊椎手技療法のテクニックを
使用し、カイロプラクティックのサービスを提供していると主張
することもある。(略)
WHOが注目していることもあり、厚生労働省も対応を考え始めるかもしれません。
また、無資格の整体やカイロプラクティックで症状が悪化した患者たちが、賠償を求めて治療院や現状を放置した厚生労働省を訴え、対応が検討される可能性もあります。
ただ、すぐ法制化されるというわけではありませんから、安全のために、個人個人が治療院に行く前に、各治療院の実力を見極める必要があります。
日本では整体やカイロプラクティックの学校がありますが、専門学校や大学などの学校法人は1つもありません。
「専門学院」や「学院」を名乗っていても、専門学校ではなく、塾と同じです。
社団法人東京都専修学校各種学校協会の加盟校はありません。
何々協会加盟認定、などと名乗っていても、団体は財団法人や社団法人ではなく、多くは任意団体です。
しかも、1~2年の短期間で発行する資格は、その各種学校や任意団体が自ら認定する民間資格なので、公的に認められたものではありません。
「カイロプラクター」「カイロドクター」「カイロプラクティック師」などの名称は、鍼灸師や指圧師と違い、公的に認められていません。
また、現在しっかりとしたプログラムでカイロプラクティックについて学ぶ外国の大学の日本校がありますが、現在文部科学省から大学とは認められていません。(外国の大学の本校がある国からは大学と認められています)
外国の大学の日本校はカリキュラムが充実しているようですが、実際どれほど学生が習得しているのか確認できていません。
整体やカイロプラクティックに行く時は、事前にある程度情報を集めてください。
インターネットで院長の経歴を公表している治療院も多くあります。
<参考> WHO発行「カイロプラクティックの基礎教育と安全性に関するガイドライン」の主な内容。
1.正式なカイロプラクティック教育は全日4年制4200時間以上の教育(うち臨床実習1000時間)。
2.ただし、医師、歯科医師、理学療法士等の医療有資格者は一部単位が認められ全日2~3年制2200時間以上の教育(うち臨床実習1000時間以上)でも正式に認められる。
3.正式な教育ではないが期限付きの教育(CSC等)においては、医師や他の医療有資格者を対象とした場合、2~3年制1800時間以上の全日もしくはパート教育(うち1000時間以上の臨床実習)が最低必要である。
4.正式な教育ではないが期限付きの教育(CSC等)においては、3.以外の自称「カイロプラクター」を対象とした場合、2500時間以上の全日もしくはパート教育(うち1000時間以上の臨床実習)が最低必要である。