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映画『テラー博士の恐怖』のこと

2020年08月12日 | アート
子供の頃の怖い思いはいつまでも覚えているもので、私はテレビで放映されたこの映画のシーンがいつまでも記憶に残っています。その映画のタイトルもメインのストーリーも忘れてしまいましたがラストシーンだけは記憶され時々思い出すことがあります。そのたびに何という映画だったのか気になったのですが、その当時は調べる手段もなく想像するだけでした。

最近になって、インターネット時代の恩恵にあずかれるのではないかと考え検索をかけてみました。タイトルはまったく思い出せないので、ラストシーンで覚えていた「幽霊」や「死神」など思いついた単語を入力する他はなく、返ってきた大量の情報に困惑しました。他に検索語が浮かばないので、窮余の一策で検索結果の後ろから拾っていくと奇跡的に求める情報を見つけることができました。1965年公開の『テラー博士の恐怖』というイギリス映画でした。(この映画は、1970年前後から「ゴールデン洋画劇場」などで放映されたようです。)


【以下、ネタバレ警報】
映画のストーリーは、夜行列車のコンパートメントに乗り合わせた建築技師、医師、楽士、評論家ら5人の乗客に、後から乗って来た一人(シュレック博士)がそれぞれの客の悲惨な最後をカードで占っていくというオムニバス形式のホラーになっていて、これがタイトルの由来です。YouTubeで見てみると今からはストーリーにも小道具にもリアリティがなく、いかにも低予算、いかにもB級映画という印象をぬぐえません。が、それだけに想像を働かせることで恐怖が増幅されるような気もします(笑)。

私はそんなメインの恐怖譚は完全に忘れてラストシーンだけを覚えていたのでした。
恐怖譚が終わると不意に列車が停止します。面々は訝りながらも下車します。しかし、駅にしてはどこか雰囲気が変です。暗く人影すらない場所に降ろされて辺りを見回す男たち。そこへ黒いマントに包まれた死神が大きな鎌を持って現れます。どこからともなく飛んできた新聞には「列車事故で死者」の大見出し。面々は初めて自分たちの運命を悟ります。

オムニバスのとってつけたような結末なのですが、実は、これが本当の「恐怖」だったのですね。子供心にも怖かった。お陰でその前の恐怖譚をすっかり忘れたのです。恐怖というよりも、生きながら死んでいるという恐ろしさ。生と死の境い目が分からないという恐怖。

さらに、高齢者となった今では終着駅というのが人生の最後と重なって恐怖は現実味を増します。どことも分からない、いつ停車するかもわからない時刻表にも載っていない人生の終着駅。そこで待っているもののことを考えると…
いやあ、映画って本当に怖いもんですねえ〜(笑)

原 題 Dr. Terror's House of Horrors
制作年 1964年(1965年12月公開)、イギリス、98分
監 督 フレディ・フランシス
キャスト ピーター・カッシング(シュレック博士)、クリストファー・リー(マーシュ)、ドナルド・サザーランド(医師ボブ)、ロイ・キャッスル(楽士ビフ)他


(2020年8月18日、一部加筆)


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