【今週末はどこに行こう?】今週末行きたい 展覧会・イベント

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(関東地方・現代アート中心です。)

オノ・ヨーコ|私の窓から @東京都現代美術館。

2016年01月11日 | アート●オススメ展覧会●

ジョン・レノンは、かつてオノ・ヨーコさんのことを
「世界で最も有名な無名アーティスト。誰もが彼女の名前を知っているが誰も彼女のしていることを知らない」
と語っていたとのこと。

オノ・ヨーコさん。
ジョン・レノンの奥さんで、有名だし顔も分かるけれど、確かに実際の作品を観たことはあまりない…

一度ちゃんと見ておかなきゃ、と、東京と現代美術館で開催中の「オノ・ヨーコ|私の窓から」に伺いました。

オノ・ヨーコさんの作品は、平和運動や女性解放運動などを政治色の強いテーマの衝撃的な作品が有名で、少し怖いイメージもありました。

ところが、実際に会場に入ってみると、そこには「クリケット・メモリーズ」「穴」、そして展覧会のタイトルにもなっている「私の窓から」と、一見美しい作品に見えて、その裏側に暴力や悲しい事件への抵抗が隠されているような作品が並んでいました。

(「FROM MY WINDOW: Salem 1692」/ オノ・ヨーコ
東京都現代美術館「オノ・ヨーコ|私の窓から」展ページより)

特に「穴 (A HOLE)」は、一見照明にきらきらと乱反射するガラスがとても美しい作品なのですが、実はそれが銃弾で打ち抜かれたガラス(粉々になっていないので、耐衝撃性のものでしょうか?)であることに気づきます。

「A HOLE GO TO THE OTHER SIDE OF THE HOLE」
といった指示のとおりにガラスの裏側に回ると、厚さ1.5cmほどのガラスを貫通して自分の方に突き刺さってくる弾丸のエネルギーを感じ、はじめに感じた美しさから一転、静かに恐怖感を感じるような作品でした。

 

(「A HOLE」/ オノ・ヨーコ
TOKYO ART BEAT より)

これらの作品は1990年以降の比較的最近に制作されたもの。(今回の展覧会では時代を逆行する形で作品が紹介されています。)このような近年の作品を見て、これまでに抱いていた”過激な”イメージは偏見だったな…と反省したのですが…

 

続く1960-70年代のエリアでは、「日本男性沈没」「Freedom」「カット・ピース」といった、”女性解放”を想起させる過激な作品が続きます。今見ても衝撃的な作品ばかりなので、当時はよりセンセーショナルだったんじゃないでしょうか。

一方で、後に書籍「グレープフルーツ」の元になる「絵のためのインストラクション」という作品は、テキストの指示のとおりに行動すると作品が完成する作品ですが、例えば
 「任意の種を入れた袋に穴をあけ 風の吹くところに置く」
と、その言葉を目にした後に、頭の中にとても美しい風景が構成されるようでした。

(こういった作品が「Music」「Painting」「Event」「Poetry」「Object」と様々な分野で制作され、多く展示されていました。英語のテキストをひとつずつ読んで行くとなかなかのボリュームです…)

 

アトリウムスペースでは、「ソプラノのためのヴォイス・ピース」「握手をする絵」などの作品を実際に体験したり、写真撮影もできるようになっていました。

(「ソプラノのためのヴォイス・ピース」は、指示に従って実際に”叫ぶ”ことができます。美術館の中で叫ぶのはなかなか勇気がいりますが、オノ・ヨーコさんがこちらでパフォーマンスされた映像も流れていました。)

(「クラウド・ピース」は中庭の隅にひっそりと展示されています。
この日は快晴すぎて雲が捉えられませんでしたが…(^_^; )

今回の展示で幼少期から近年までの様々な作品を拝見し、過激だったイメージは少し変わりました。
ただ、非常に解説が少なく、時代の違いもあってか全く理解できないままも作品もいくつかあったのは残念でした。(アーティストの意向なのか、図録にも解説はなく…図書室では資料が読めるようになっているようです。)

あと、英語で書かれた作品も多かったので、読めなかった作品もいくつか…(展示室で携帯で調べものをするのって、撮影しているのと間違われそうでちょっと難しいですね…(-_-; )

少しの予習&必要に応じて電子辞書などを持って行った方が良さそうです。(東京都現代美術館のブログや、Wikipwdiaだけでも(それだけでも結構なボリュームがありますが…)目を通して行けば良かったなぁと思っています。)

(今回の展覧会の入場券)

作品に込められた意思が強いのと、理解の難しい作品も多かったので「オススメ!」とは言えませんが、60年間の作品の変遷が見られ、個人的には少しイメージが変わったので行って良かったなと思う展覧会でした。

2月14日(日)までです。

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■DATA■

オノ・ヨーコ|私の窓から @東京都現代美術館(清澄白河)

会期:2015年11月8日(日)〜2016年2月14日(日)
開館時間:10:00〜18:00(入場は17:30まで)
休館日:月曜日(11月23日、2016年1月11日は開館)、11月24日、12月28日〜2016年1月1日、1月12日
観覧料:一般 1200円 / 大学生・65歳以上 900円 / 中高生 700円 / 小学生以下 無料
60年にわたり様々な分野で活動を続けてきたオノ・ヨーコ。本展は、これまで主に戦後アメリカ美術のなかで語られてきた彼女の活動を、出身地である東京という都市の文脈で振り返るものだ。作家活動を開始するまでの関連資料や創作、また1950〜70年代の東京での活動、そして近年の作品までを一挙に公開する。

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