キリストのあかしびと 公教会の教父たち

公教会(カトリック教会)の諸聖人、教父、神父らの伝記を掲載していきたいと思います。彼らは、クリスチャンの模範です。

身体障害者の聖人 聖ヨゼフ・コトレンゴ 4

2018-10-05 07:54:25 | 聖ヨゼフ・コトレンゴ

『身体障害者の聖人 聖ヨゼフ・コトレンゴ』アロイジオ・デルコル神父、4

 ヨゼフが神父さまになってから16年が過ぎ、町の人たちは、かれのことを"貧乏人の神父さま"と呼んでいます。

 夏の盛りが過ぎようとする9月のはじめでした。ひとりの善良そうな男が、あわただしく教会にかけつけました。

「神父さま、大変です。町によそものがやってきたのでてあてすが、奥さんが重病です。いっこくも早く手当をしないと、もういのちが危いんです」

「じゃ、病院に入れたんですね、どこの病院ですか?すぐ行ってあげます」

「まあ、待ってください。それが、いちもん無しですし、よそものということで、病院も施設も、どこにも入れてもらえないんです。だんなさんは、ただもう、おろおろするひさんばかり、子どもは泣きわめくし、悲惨なことで!」と男は涙をふきました。

 ヨゼフ神父が臨終の床にかけつけたのは、いうまでもありません。病人は罪のゆるしを与えられ、大きな慰めのうちに死んでいきましたが、問題は残された家族です。その涙とひどい苦しみは、ヨゼフ神父に、あまりにも強いショックでした。

「こんなことが、あってはならない」

 かれの心が叫びをあげました。

 ヨゼフ神父の足は、教会にいそいでいます。

「お帰りなさいませ」と玄関に顔を出した香部屋係にただひとこと、

「さあ、早く鐘をならしなさい」

「でも、神父さま、式の時刻ではございません」

「いいから、文句なしにならすのです」

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。