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つれづれなるまゝに日ぐらしPCに向かひて心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつづっていきます

おいしいで~(OECD)

2017年06月11日 | 随想

レシピ(処方箋)が必要かも

 

2017年 6月7日に、各紙は一斉に、「経済協力開発機構(OECD)日、世界経済見通しを発表し、日本の2017年の実質国内総生産(GDP)伸び率を前年比1.4%、18年は同1.0%と見込んだ。いずれも3月時点より0.2ポイント上方修正。」などと伝えた。(産経ニュースなど)

一方、ロイターでは「日本は消費増税など健全化実行を」などという寝言を紹介している。寝言は・・・・・・ネティエ、というところだが、まぁ、その本心というのは、消費増税で日本が沈下していくことをほのぼのと見守りたい、というもので、それが欧米諸国の一致した見解なのだ、ということなのだろう。

もともとが、サーベイランスというだけあって、OECDとは各国の経済活動や経済政策が「適切に」行われているかどうか、ということを第3者の国際機関として「国際協調の観点」から監視するという組織なので、偉そうな口を叩くのが商売なのである。特に日本に対しては必要以上に叩く、それがヨーロッパ諸国の凋落を招いた張本人への「仕打ち」であり、叩けるだけ叩いとかにゃ、溜飲も下がらぬ、といったところなのだろう。

これは相当に根深いものがあり、大英帝国ではインドが独立するなんてことは悪夢だったし、フランスはベトナム・ラオス・カンボジャから、オランダはインドネシアから、それぞれ数百年もの長きにわたって資源という資源を喰いあさり、現地民を奴隷としてこき使い、その経済力を背景に左うちわで多種多様な文化を開花させていたものだったのだが、根底からごっそりと御破算になってしまった。この、白人支配の終焉と独立国家の増加というのは、たぶん、人類の歴史上でも最大の事件と言って良いできごとだったであろう。ぶっちゃけて言えば、ユニオンジャックがはためく大英帝国は、大日本帝国によって、国民のほとんど全てが貴族から一介の労働者、あるいはルンペンにまで落ちぶれさせられた訳だ。もともと、聖書のアダムが「」を受けて始まったとされる労働を、貴族だった者がしなければならなくなった訳であり、これは屈辱以外の何者でもなかっただろう。

そういうことをしなかった、いゃ、できもしなかった中国は加害者ではないので、ヨーロッパでは意外と受けがいい。当時の中国は西洋列強による国土の分割や主要な港湾の租借が行なわれ、半植民地化となっていたという美味しい場所だったので、いわば「ういやつ」じゃのぅ・・・ですらあった。人間社会は、何が災難で何が幸いになるのかわからないもので、まさしく人間万事塞翁が馬、である。

 

OECDの報告書だが、Economic Survey of Japan 2017(2017年OECD対日経済審査報告)が公開されている。

~上図は全36ページのうち33ページ目の図だが、上部に「日本の消費税率はOECD諸国の中で最も低い水準である」というタイトルが掲げられ、下の注釈では日本よりも税率が低くなっているカナダにふれ、「カナダでは、州は連邦税の上に消費税を課税できることから、税率は日本の8%より高くなる。」という言い訳めいたコメントが載っている。

いや、税率の比較が問題ではないでしょぅ? 今は8%にまで跳ね上がっているが、5%時代(うち1%は地方自治体分)でさえ、税収全体に占める割合の国際比較を見てみてもイギリスやスウェーデンといった20%超の税率の国よりも多くの税収があった、という実績がある(下図)。

見方によっては、如何に日本の一般消費税というのは底引き網みたいに、ごっそりとかっさらっているのかということが窺えるというものだ。

 

上記OECDの報告書を一見してわかるのは、右側に日本語での解説と同じ内容が左側に展開されていて、これは要するに、財務省が省益の目的として都合のいいように資料を作成し、「ほら、国際的にも指摘されてますよ。」と、虎の威を借るキツネよろしく、周りを欺いているだけの話だ、ということである。多くの資料(Selected indicators for Japan)も出ているのだが、この資料を使えば、周りをだませまっせ、いゃ、だまらせまっせ、というところなのだろう。

 

ちょっと、いゃ、かなり重いようだが、OECD経済見通し(PDF)も公開されている。

 

で、たとえば、その51ページの下段の部分には、こういう記載がある。

Raising the consumption tax

The consumption tax is a relatively stable revenue source and is less harmful for economic growth (Arnold et al., 2011). Moreover, greater reliance on the consumption tax(a value-added tax) would improve intergenerational equity, as the elderly would bear a larger share of the burden. In short, a VAT is the most appropriate tax for raising additional revenue. Japan’s VAT rate is the second lowest in the OECD at 8% and the planned hike to 10% has been delayed twice. If the 7½ per cent of GDP improvement in the primary balance were to be achieved solely through the consumption tax, it would have to rise to the European average of around 22%.

消費税を上げること

消費税は比較的安定した財源であり、経済成長(アーノルドほか、2011)にも、それほど有害ではない。また、年輩者がより大きな負担をすることで、消費税(付加価値税)へのより大きな依存は世代間の資産を改善する。要するに、付加価値税は、追加収益を集めるための最適な税だ。日本の付加価値税率は8%でOECDで2番目に低く、10%への増税実施は回遅れた。プライマリーバランス(基礎的財政収支)の中でGDP改善の7.5%が消費税でできるのならば、消費税をヨーロッパの平均の22%まで上がらなければならないだろう。

 

ツッコミどころが全編を通して満ち溢れているのだが、まず、ヨーロッパの「付加価値税(value added tax)」と日本の「一般消費税(consumption tax)」を同列で論ずるな、と言いたい。両者は似て非なるものである。このあたりは上述の税収全体に占める割合を見れば、内容はわからなくとも何か違うぞ?という感覚は持つはずである。

また、あるときは付加価値税のことを論じ、都合が悪くなれば一般消費税のことを論じて話の焦点をぼかすような、手品師の目くらましみたいな論調はするな、とも言いたい。

「経済成長にも、それほど有害ではない。」という部分は明らかに間違っていたということが何度も何度も歴史的に証明されている。プライマリーバランス云々は何を言っているのか不明だが、要するに増税ありき、から出ている論調である。

 

ところで、日本政府が5度目となる経済財政運営と改革の基本方針2017(「骨太の方針」)を閣議決定したとのことだが、「消費税10%」の記載が無い、ということで騒がれているらしい。

ロイターでは「財政健全化に懸念の声」と大騒ぎだし、国営放送局でも揺らぐ? 財政健全化の「旗印」ということで異変を報じている。

ただ、その中では「ご存じのように日本の財政状況はG7=主要7か国の中で最悪です。」と、さり気なくお得意の左巻き洗脳記事が掲載されているが、「ご存知」というものの内容は借金が1000兆円あるということだけで、それと「財政状況が世界最悪」ということは違う、っちゅうのが昨今の基本的な認識となっている。(日本の借金ウンヌンは増税するための詭弁 日本のバランスシートは世界一健全

また、情報速報ドットコムでは、「骨太の方針」から消費税率10%に関するコメントが削除されたことの背景として、今年から財政再建よりも経済成長を重視する姿勢となったこと、衆議院解散総選挙が近づいているので選挙直前に消費税の延期(凍結)を打ち出すことで支持率を激増させようとする狙いがあるから、という観測もしている。

希望的観測を言えば、10%の増税は廃棄し、8%の増税は撤回して5%の消費税体制に戻し、それをずっと維持していく。8%にしたがために発生した3%分については、既に払い過ぎてしまっているので、例のテレビCMのように「過払い金請求」ということで、国民1人あたり100万円を国が返却する(たとえば、のお話。実施の際はきちんとした計算と根拠が示される。)。国民は、それを元手に様々な消費活動を展開することで、消費税全体としての税収も増え、GDPもV字回復して借金比率も改善され、法人税・所得税の税収も増えていく。結果的に大幅な税収増が実現される。

と、まぁ夢物語なのだが、それに近いことを、かつてリビアのカダフィ大佐(ヒラリー・クリントンが殺害)が実施していたとのこと。先見性と手腕に驚くと同時に、独裁者というレッテルを押しつけられてマスコミから洗脳されていたことについても、あらためて嫌悪感を催すし、また一方、リビアでやれた政策なら、工夫次第ではどの国でもできることなのではないか、ということも思う。ユートピアとか夢物語などではなく、実際に実行されていたのだから。

これこそが、OECDならぬ、お~い~しぃで~っという戯れ事。