産経新聞
2024年3月3日
【北京=三塚聖平】中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)が5日に北京で開幕する。中国では「ゼロコロナ」政策が終了してから1年以上が過ぎたが、不動産不況の長期化により景気低迷が続いている。経済回復に向けた道筋を打ち出すことができるか国内外で注目される。
3日昼、北京中心部では通常より多くの警官ら治安要員が配置されていた。全人代開幕を控えて警備が強化されている。今年は新型コロナウイルス禍の影響が完全になくなったことから、5年ぶりに国外からの記者の全人代取材も可能となった。
開幕日の5日には、昨年就任した李強(り・きょう)首相が初となる政府活動報告の読み上げに臨み、この中で2024年の実質経済成長率目標を公表する。昨年の成長率は5・2%増で、目標の「5%前後」をクリアした。今年の目標は昨年と同じ「5%前後」という見方が市場関係者の間で根強い。
達成の難度はゼロコロナ政策終了による反動増という特殊要因があった昨年よりも上がる。不況が続く不動産業はGDPの2〜3割を占めるとされるため景気への影響が大きく、ゼロコロナの後遺症もあり消費が振るわない状態が続く。国際通貨基金(IMF)は中国の24年成長率を4・6%と見込む。
実質的にハードルが高くなった目標達成に向け、政府活動報告で景気対策が打ち出される見通し。ただ、昨秋の開催が予想されていた中国共産党の重要会議、第20期中央委員会第3回総会(3中総会)がいまだに開かれておらず、抜本的な経済方針の転換は打ち出されないとみられる。
また、台湾の総統選で勝利した民主進歩党の頼清徳(らい・せいとく)氏が5月に就任するのを前に、政府活動報告で台湾側へのメッセージを発することが見込まれる。全人代で審議する24年予算案に盛り込む国防費についても、伸び率拡大がどこまで続くかも注視される。
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全国人民代表大会(全人代)
中国の立法機関で、各省や自治区、直轄市、人民解放軍などからなる約3千人の代表で構成する。毎年1回、全体会議を開く。法律制定のほか、国家予算の承認、国家主席の選出などを行う。憲法では最高の国家権力機関と規定されているが、実際は中国共産党の指導下にある。
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