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映像と文化通信『記者クラブは変わるか(3) あなたとは違うんです』ケイ・イシカワ

2008年09月22日 09時47分11秒 | マスメディア
  20年くらい前のことだった。
親しい知人のジャーナリストが今晩北新地へのみに行こうと誘ってくれたことがる。
 或る記者クラブを訪ねて会う約束だった。
 そこで彼らは花札をやっている。
 おそらくその企業のOLたちとおぼしき綺麗どころがお茶やビールをサービスしているように見えた。 彼はしばらくして勝負をやめて出て行くことに。おもむろに言う。”今日は5万円くらい儲かったからおごる”と気前が好い。
 北新地のXというクラブに行った。北で5本の指に入る高級クラブである。
 彼は電力の前は金融担当で財界のトップクラスに誘われて、このクラブにも取材がてらよく来ていたそうだ。
 彼が言うにはクラブでの取材の翌日には某銀行の頭取が車を自宅まで廻してくれ、その車で有名なゴルフ場へ行き、生命保険会社の重役たちも交えてゴルフをする。
 こういう付き合いがあるから取材がうまく行く。
 これが自分の手腕だといわんばっかりだった。彼の自慢なのだ。
 実は新聞社の仕事の絡みで尊重されているだけで、辣腕記者だから誘われているのだろうか?疑問だ。
 むしろ、こういう接待を受けていて真実を追求する記事が書けるのだろうか?
 踏み込んだ交際こそが取材に必要なのだと主張するが、結局華やかで高級なクラブで楽しむ、有名ゴルフ場で財界のトップたちとゴルフ楽しむという一種、魂を売っている行為だと気がつかないのだろうか?筆者はあきれるばかりであった。
 高級クラブXで長居したその晩の支払い、彼は20,000円だった。記者料金でひとり最高1万円という格安相場なのだ。記者は優遇されている。そのあと仕事で同じクラブXで飲むことがあった。前に会った外人女性ともゆっくり飲んだ。同じく二人だったが8万円余りの請求がきた。
 朝日、サンケイ、毎日ほか新聞社は北新地のすぐそばにあり、新地に遊びに頻繁に行き、肩で風切る勢いをみせびらかすべく飲みまわり、支払いを溜め込んで、最後には踏み倒すことが格好良いという時代があったようだ。
 会社や上司のボトルがあるところで飲む人もいる。退職間際になるとさすがに心得ていて自前の金でショットバーで飲むのだ。
 筆者もマスコミの知人たちと徹夜で飲み明かし、朝方タクシーで帰るということはしばしばであった。そういうケースでも気の利く知人はタクシーチケットを1・2万円分渡してくれた。 証券記者クラブ(大阪証券記者クラブ)では40年位前は新規上場企業が記者発表する際、ご祝儀で取材に来た記者たちに株券を配る習慣があったそうで、今は禁止されている。 
 近畿電鉄記者クラブでは私鉄等のフリーパスや余分な乗車チケットを支給されて来たようだ。家族旅行にも使えるわけだ。取材に必要だという言い訳ができるからありがたいのだろう。
 洋酒会社のイベントや新製品期記者発表の際はその新製品がお土産に出る。書くために必要だと言い訳はできるからこれもありがたい。  
 証券関係・株のことでは、いわゆるちょうちん記事をかいて、投資家をまどわすことは昔からよくあったようだ。最近でもインサイダー取引がしばしば問題になる。
 数年前だがX経済紙はトップクラスまで問題を抱かえ苦しんだと報道された。
 昔は記者はブン屋といわれ軽んじられた面もあった。ブン屋には嫁をやるなとも言われた。ごろつき見たいにさえ思う人がいた。
 しかし時代が大きく変わった。
 今や最高の権威機関で”泣く子も黙る地頭ならぬ”皆が羨むマスコミ界に変貌している。
 特にテレビの権威はすごいものがある。
 テレビに出ている、映っているということが値打ちで、テレビで見たといって信じてしまうひとも多い。
 選挙でもマスコミが小泉劇場に殺到したら自民党は3分の2の議席を得たのが前回の衆議院選挙である。 記者からブン屋へ(評判が悪いと新聞ごろ)そして、今や時代の寵児となっているという具合に飛躍してきたわけだ。

 今ではあらゆる業界と比べて高給取りであり、特にテレビ局で働くと特別高収入が得られるという。
 日本人の平均給与の2倍から4倍くらいの高給を食んでいる。

  これでは弱者や底辺の人の気持ちがわからないのでは?
 舞い上がり、思い上がったマスコミ人が生まれやすく、悪くすると体制べったりで無批判なひとが増えてしまう。
 年収2000万円近い給与をもらいながら、子供の教育費が掛かってしんどいとのたまう人さえいるのだ。
 余談だが、こういう人に限ってけちでマスコミ人は義務があるのに、安い(英国BBCの半額といわれる)NHKの視聴料も払わない傾向がある。      
 NHK以外は特に電通など大手広告代理店に弱い、まだまだか書きたいことはある。       つづく   


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