今日の出来事

一生懸命に毎日を生きる子どもの姿。そして、そんな子ども達に寄り添う、先生たちの思いを綴ります。

血湧き、肉躍る

2023年01月29日 | 今日の出来事
およそ2メートル。
前後列を作ってならぶ3歳から5歳児クラスの子達。
それを見ている1歳児クラスの子との距離です。

発表会当日まで、1か月を切った午前。
練習に勤しむ幼児クラスは、お客さんを前に少し表情が強張っています。

お呼ばれの1歳児クラスは、いつもと違う場所にいる緊張感。
整列したお兄さんお姉さんとの距離感を詰められずにいます。
そこに透明な壁があるみたい。

周りの大人が動くたびに、そっちへ意識を向ける。
なにが始まるんだろう…。


曲が流れて、整列していた幼児クラスが一斉に踊り始めました。
張りつめていたものが一気に破られます。

すぐさま理解したというよりは、身体が勝手に動いた。
お客さんである1歳児クラスの女の子。
一緒に踊り始めています。

たまに「まぐせんせ!」と振り返る。
やっとこさ自分の現在地をつかんでいるかのよう。

意識をそこにつなぎとめておかなくては。
でも勝手に体が動いちゃうの!
そんな叫びのようにも聞こえました。


続けて歌が始まると、別の子は黙って向き合っています。
横顔をのぞき込んでも気付かない。
文字通り、目が離せない。
歌声にまっすぐ対峙しているのは、それだけの力を感じているから。

踊っていた子は「いいね!いいね!」とありったけの賛辞を送っていました。
最後まで真顔で歌を聴いていた子は「かっこいい」
とても小さな声でした。
絞り出したような声は、大人がごちゃごちゃ言うよりも届いたはず。

小さな小さな観客が、誰よりもまっすぐに受け止めていました。
日々の練習を、何よりも肯定していました。

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