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毎日新聞に見てみた:クローズアップ2009首相偽装献金問題 鳩山マネー、転用常態化

2009-10-28 | 産経新聞に見る:故人献金
 <世の中ナビ NEWS NAVIGATOR>

 ◇原資の解明、不可欠
 28日の衆院代表質問を皮切りに、国会論戦で鳩山由紀夫首相の偽装献金問題に野党側が集中砲火を浴びせるのは必至の情勢だ。首相は「捜査中」として多くを語らないが、疑問は残る。6月の会見では虚偽記載と認めた2177万円余の原資を「秘書に預けていた自分の金」と説明したが、その後偽装が明らかになった匿名献金を含めると億単位に上る。巨額とされる「鳩山マネー」からの資金移転の常態化を示すが、果たしてすべてが首相個人の金だったのか。元公設第1秘書が虚偽記載した動機は何か。東京地検特捜部の判断も注目される。【政治資金問題取材班】

 6月30日の会見によると、首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」(友政懇)は05~08年の政治資金収支報告書に記載された約90人(その後の毎日新聞調べでは94人)、計193件、計2177万8000円分について、既に死亡したり実際には献金をしていない人から寄付を受けたと虚偽記載していた。告発対象に含まれる04年分について首相側は明らかにしていないが、同年にも「故人献金」があったことが既に判明している。

 その後、寄付者名を記載する必要のない5万円以下の小口の匿名献金でも虚偽記載が判明。04~08年の匿名献金は計1億7717万円に達し、その多くは虚偽記載だったとみられる。ただし、匿名分は会計帳簿にも正確な記載はないとされ、虚偽記載額を確定するには原資の解明が不可欠となる。

 このため特捜部は、首相を含む鳩山家の資産管理会社「六幸商会」(東京都港区)の経理資料を入手した。首相の実母はタイヤメーカー「ブリヂストン」創業者の長女で同社の大株主、首相も同社の350万株を保有し、六幸商会はこうした巨額資産を管理しているとされる。偽装献金の原資はここから引き出された疑いがある。

 この場合、原資が誰に帰属するかによって、政治資金規正法や税法上で異なる問題が生じる。

 まず、首相側の説明通りすべて自己資金だった場合(図(1))、規正法上の虚偽記載や量的制限違反(政治家本人による寄付の上限は年1000万円)に触れる可能性がある。ただし首相は、修正した2177万円余を寄付ではなく「貸付金」として処理しており、その場合は量的制限違反には当たらない。

 原資が親族の資金だった場合(図(2))も、虚偽記載と量的制限違反(本人以外の個人寄付の上限は年150万円)の疑いがある。ただ政治団体への入金は課税対象とならない。

 親族から首相が受領した上で入金した場合(図(3))には、虚偽記載や量的制限違反のほか、贈与税(最大税率50%)の問題も浮上する。贈与については互いの合意があるかないかなどを基に税務署が判断するため、口座から引き出された時点ではなく、親族名義の資金を本人が管理できるようになった時点で贈与とみなされる可能性もある。贈与税の課税逃れに対する時効は通常5年、不正がある場合は最大7年。仮に「本人以外の鳩山家の財産」だったとしても、7年以上前に首相が贈与されていれば、税法上の責任は問えないことになる。

 ◇量的制限違反、隠ぺいか
 ◇「内輪の金のごまかし」 検察、悪質性どう判断
 「(元公設第1秘書は)『金ない、金ない』って机に向かってぶつぶつ言っていた。うちは事務所関係者が20人と多く、経費がかかる。普通の事務所は選挙の後、みんなで旅行に行くとかあるのに、うちは全くない」。同僚だった元秘書は鳩山事務所の「懐具合」について証言する。

 友政懇の08年の収入総額は1億3821万円。しかし、このうち前年繰越金が4903万円▽パーティー収入4224万円▽大半が虚偽記載の疑いがある小口の匿名献金2668万円▽民主党本部から166万円▽実母と実姉の個人献金が上限いっぱいの各150万円(計300万円)▽首相自身の個人献金150万円▽虚偽記載を訂正した首相からの貸付金406万円。個人名での献金は1000万円に過ぎない。

 これに対し、匿名献金の大半が偽装なら04~08年の虚偽記載の総額は1億数千万円以上となる。不足分を首相側の資金から繰り入れることが常態化したうえ量的制限違反を隠すため偽装していたことをうかがわせる。

 こうした実態は、検察の判断にも影響を与えそうだ。「西松事件のように業者からの献金を偽装したのではない」(検察幹部)からだ。従来、検察が立件した虚偽記載事件は、西松事件の約3500万円を例外とすると「1億円」が目安とされ、首相のケースも当てはまる。だが、ある検察幹部は「額の問題ではなく、内輪の金をごまかしたことの悪質性をどう判断するかだ」と指摘する。

 虚偽記載については元公設第1秘書も認めているため、在宅起訴か略式起訴(罰金)での処理が有力だ。仮に悪質性が低いと判断して起訴猶予としても告発者側が検察審査会に申し立てる可能性が強く、その結果、起訴相当となることも考えられる。ずさんな会計処理解明の困難さに加え、11月末まで開かれる臨時国会での審議への影響も考慮し特捜部は12月になって刑事処分について判断するとみられる。

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 ■友愛政経懇話会の献金額

    削除された献金 個人記載の献金 首相個人の献金 匿名献金

04年 削除なし    2151万円  1000万円  4617万円

05年 708万円   1200万円   900万円  3969万円

06年 541万円   1110万円   900万円  3682万円

07年 522万円   1313万円   900万円  2779万円

08年 406万円   1300万円   150万円  2668万円

 ※個人記載の献金は首相個人の献金を除く。1万円未満は切り捨て

毎日新聞 2009年10月28日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20091028ddm003010110000c.html

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