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伊藤忠、豪州で水資源事業 2800億円、南部に淡水化施設

2009-10-24 | 中川氏早期着目:水利権
 伊藤忠商事はオーストラリアで造水事業に参入する。水道運営大手の仏スエズなどと共同出資で9月までに新会社を設立。ビクトリア州に大規模な海水淡水化プラントを建設し、2011年末からメルボルン市向けに日量40万トンの水を供給する。総事業費は2800億円。スエズとの提携でノウハウを吸収し、水資源ビジネスを拡大する。

 新会社は仏スエズグループと伊藤忠のほか、豪ゼネコン最大手ティース、豪投資銀行最大手マッコーリや欧米の年金ファンドなどが出資する。資本構成は協議中だが、伊藤忠は1億豪ドル(約80億円)を出資、事業者としてはスエズに次ぐ2位株主となる見通し。

News Source NIKKEI NET 2009年08月01日07時00分
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20090801AT1D3101N31072009.html

水ビジネス:日中両国で協力合意へ 国際市場参入に弾み

2009-10-24 | 中川氏早期着目:水利権
 11月初旬に北京で開かれる「日中省エネルギー・環境総合フォーラム」(日中両国政府共催)で、水質浄化などに関する協力で両国が合意する見通しとなった。中国は急激な工業化で水需要が増加する一方、湖水の汚染が深刻な社会問題となっている。これに対し、高い水処理技術を持つ日本は、海外での水ビジネスの展開を将来の成長分野と位置づけており、両者の利害が一致した。【赤間清広】

 同フォーラムは、経済産業省や財界幹部が訪中し、海水の淡水化や工場・生活排水の処理などについて、中国政府や地元企業と具体的な協力方法を討議する。

 素材メーカーなど水ビジネスにかかわる日本企業も同行し、日本の高度な水処理技術を売り込む計画だ。政府は、中東・アフリカ地域の22カ国・機関で構成する「アラブ連盟」との関係強化のため12月に東京都内で初開催する「日アラブ経済フォーラム」でも水問題を取り上げる方針で、将来の市場拡大が見込まれる新興国に対する取り組みを本格化する。

 日本は汚れた水をろ過するフィルターなど個別技術では世界トップレベルにあるが、プラントの設計、建設、運用といった一貫したサービスを提供するノウハウに乏しく、海外の水市場に参入できずにいた。人口減少で国内の水需要が頭打ちになる中、政府は水ビジネスの国際展開に向けた体制を早急に整える必要があると判断。民主党政権も「政権交代にかかわらず、(水ビジネスは)前に動かしていく」(前原誠司国土交通相)として引き続き、支援に力を入れる方針だ。

 経産省は7月、企業の水ビジネスを支える専門部署を省内に新設。今月15日には上水道の運用ノウハウを持つ地方自治体もメンバーに加えた「水ビジネス国際展開研究会」の初会合を開き、海外市場の調査や有力事業の絞り込みに入る。

 ◇世界の水ビジネス市場は約60兆円
 水質浄化などの世界の水ビジネス市場は現在約60兆円規模だが、途上国の経済発展と都市化に伴う水需要の急増で、2025年には100兆円超に拡大するとみられている。砂漠化が進むアジア、アフリカ地域では水不足が深刻化しており、貧困国支援の側面からも水ビジネスに対する関心が高まっている。

 海外市場はこれまで、スエズ(仏)、ヴェオリア(同)、テムズ・ウオーター(豪)など「水メジャー」と呼ばれる少数の欧州系企業がシェアを独占してきたが、水ビジネスの成長力に目をつけた米国やドイツ、インドネシアなどの企業が相次ぎ参入。政府の全面的な支援を受けた日本勢も加わり、国際競争が激化している。

毎日新聞 2009年10月10日 2時30分 
http://mainichi.jp/select/biz/news/20091010k0000m020152000c.html

※やってくれたな民主党。

「石油じゃない、水がほしいんだ」

2009-10-24 | 中川氏早期着目:水利権
世界的に水不足の危機がじわじわ広がっているという。「水はただ」と思っている日本人にとっては重大さが認識しにくい状況だろうか。しかし、渇水は食糧危機に結びつき、紛争の火種となりかねない。新たな脅威にどう向き合うのか、国際社会の喫緊の課題に浮上しつつあるようだ。

 ■シーン1

 「掘っても掘っても石油が出てくる。肝心の水が出てこない」。こんな冗談のような話が、深刻な問題として浮上しつつある。「石油の次は水」とまでいわれているそうだ。水は貴重な「資源」として、その確保に各国が火花を散らす。

 中東のイスラエルとヨルダン、パレスチナ自治区をめぐる水の問題も、この地域の関係を複雑化している。国連開発計画(UNDP)がまとめた報告書によれば、ヨルダン川西側の占領地に入植したイスラエル人と比べ、パレスチナ人が1年間に使う水の量は約9分の1に過ぎないのだという。地下水に頼るパレスチナ人に対し、イスラエル人はヨルダン川の水を独占していることが、和平問題にも影を落としているのだ。

水をめぐって紛争に発展しかねない地域はいくつもある。インダス川上流域をめぐるインドとパキスタンの問題はEXでも取り上げた。チグリス・ユーフラテス川流域のトルコとシリアもこじれている。農林水産省は2007年にまとめたリポートで、水の獲得をめぐる紛争が多発する危険性に言及している。

 UNDPは報告書で、世界各地で勃発(ぼっぱつ)している国家間の「水紛争」のうち、大半が中東地域で起きていると指摘。このほか、近い将来に水不足が深刻化すると懸念する国は多い。AFP通信によれば、メキシコは首都圏の水甕(みずがめ)の貯水率が歴史的な低水準となり、過去最悪の水不足に見舞われているという。水道当局は、水不足による損失を150億ペソ(約1092億円)と試算したという。

 地球温暖化による気温の上昇とともに、水不足も世界の食糧生産に深刻なダメージを与える。AFP通信は「食糧生産の限界が国家を破綻(はたん)させ、難民や病気、武器、テロリズムを拡散しかねない。迅速な取り組みが必要だ」との専門家の警告を紹介している。

■シーン2 渇水が衝突と食糧不足を生む

 水不足が暴動に発展するケースもある。アラビア半島南部のイエメンで8月、水を求めてデモが起き、死者までだした。オイルマネーで潤うペルシャ湾岸諸国と異なり、イエメンはアラブ最貧国といわれる。貧困に加え反政府勢力の動きも活発化しており、政情は混迷を深めている。

 イエメン南部アデンでは8月、水を求める市民らの抗議デモがあり、警官隊との衝突で1人が死亡、3人が負傷した。一方、北部ではイスラム教シーア派の民兵組織と政府軍の戦闘が続く。ロイター通信によれば、渇水が衝突の背景にあるとされており、さらなる攻防の激化が懸念されているという。

 イエメンの首都サヌアでは8月下旬、地下水が極度に減少し、当局が管理する井戸のおよそ半分が使用禁止となった。水道を使えるのが9日に1日という地区もあるのが実情だ。

世界自然保護基金(WWF)のリポートによれば、世界の淡水の70%が潅漑(かんがい)で消費されているという。潅漑の井戸は、降雨による補充を上回るスピードで、地下水源から水をくみ上げているのだそうだ。

 イエメンはその代表格で、1970年代から潅漑農業を拡大し、地下水を大量に使ってきた。イエメンは国土のほぼ全域で地下水位が年に2メートル低下したとして、世界銀行が「持続可能なレベル以上の地下水が使われている」と警告したこともある。もとより山岳地帯が多く、サヌアは標高約2000メートルに位置している。ペルシャ湾岸諸国で行われている海水を淡水化する装置の導入も、経済的に実現は困難な状況のようだ。

 イエメンの例を見るまでもなく、水の大半が潅漑用水として使われるのなら、水不足は食糧不足に直結する問題ということになる。日本は食糧の半分以上を輸入に頼る。現状で水に困っていない日本人が、食糧問題を通じて世界の水不足の深刻さに気付く-、そんな日がこないともかぎらない。(文:飯村文紀/SANKEI EXPRESS)

産経新聞 2009.10.14 15:38
http://sankei.jp.msn.com/world/mideast/091014/mds0910141540004-n1.htm

水で日本は世界に貢献できる 中川昭一 FINANCIALJAPAN2008年11月号

2009-10-24 | 中川氏早期着目:水利権
政産学官連携、「チーム水・日本」結成へ

7月に最終報告をとりまとめた自民党の「水の安全保障研究会」で会長を務め、水分野の専門家を交えた幅広い議論をリードしてきた中川昭一議員に、今後「日本の水」を世界でいかに活かすのかについて聞いた。

―― 「水の安全保障研究会」の発足の経緯や意図を教えてください。

 私自身が、3年くらい前に偶然にも水の重要性を知る機会があり、それをきっかけに呼びかけて研究会を始めました。いま世界を見ると、非常に多くの人が水で困っているという事実があります。日本ですら洪水や渇水の問題にとどまらず、水全般の状況は非常にデリケートなものです。

――〝デリケート〟とはどんな状況を指すのでしょうか。

 たとえば、日本の1人当たりの水保有量は世界平均の3分の1しかありません。「日本は水資源だけは潤沢だろう」と思い込んでいたんですが、水資源ですら少ないことがわかった。
 研究会には各方面の水の専門家を招き、勉強を進めました。その中で改めて、水はきわめて重要であり、デリケートであり、そしてまた、生命にも地球そのものにも欠くことのできない、そして現在も将来も不安な状況にあるということを認識させられました。
 ではそんな状況に対してわれわれ政治家、あるいは日本がやれることは何であるか? それをみんなで考え、今年の7月に研究会から最終報告書を出しました。
 これからは政治と行政、学界、産業界が一体となって水問題に取り組んでいこうと、第2段階の作業を始めたところです。

―― 第2段階とはどのようなものになるのでしょうか。

 研究会は発展組織として、「水の安全保障に関する特命委員会」となります。研究という目的は、報告書の提出で達成しました。この報告書や各種の議論に基づき、「今度は政治や行政がやらなければいけないことをやっていこう」という考えで、特命委員会に衣替えして実際の作業に入っているところです。
 経済産業省が日本企業の水ビジネスにおける海外市場開拓の支援を明らかにしていますが、これも研究会の報告書の一部にあります。

オールジャパン体制構築を

―― 日本はODA(政府開発援助)でも「水関連のパーツ貢献だけ」といったケースがあり、水ビジネスの企業が継続的な事業のチャンスを得るに至っていないという声が聞かれます。

 日本は海水淡水化などに使う膜の技術など、技術の面では世界のトップクラス。また自治体が中心となって運営する上下水道に蓄積されたシステムや維持管理のノウハウには素晴らしいものがある。これらをODAだけではなく、ビジネスの大きなチャンスにもなると位置づけ、オールジャパンで世界に出ていきたいところです。

―― 水が持つ公共性を踏まえ、NPO(民間非営利団体)などが、水ビジネスの企業を批判する例もあるようです。

 世界的に水ビジネスはこれから盛んになってくると思います。ただ、条件の厳しい場所で、小規模の水を確保するといったケースでは、日本のNPOにも実績がある。そこは「チーム水・日本」というコンセプトのもと、十分に補完関係を構築できるでしょう。水ビジネスとNPOの活動が対立するのではなく、NPOの皆さんをバックアップする体制をつくることが国際貢献へプラスに働くのではないかと考えています。
 欧米の水メジャーに相当する企業はまだ日本には存在しないと思いますが、たとえば東南アジアのある大都市で数百万人に対する上水ビジネスを日本企業とヨーロッパ系企業2社が担った例があります。ヨーロッパ系は撤退した一方で、日本企業は現在でも安定的に市民に水を供給している。受益者に対してどちらが役立っているかは明らかでしょう。ビジネスとしては利益の問題は避けられませんが、水で日本が果たす役割は、ビジネスに加えてもっと意義深いものがあると考えています。

中国の水問題は日本の問題

―― 世界的な水不足も指摘されていますが、実は日本は水の〝輸入国〟であるとの議論があります。

 大雑把にいって、「穀物を1キログラムつくるのに水2トン、牛肉1キログラムつくるのに水22トン以上必要」といった計算を東京大学生産技術研究所の沖大幹教授が発表していますね。いわゆるバーチャルウォーター(仮想水)という概念で考えると、日本が輸入する農産物を水換算すれば日本の食糧生産に使われているよりはるかに多い量の水を外国から輸入している、言い換えれば〝奪って〟いる。他方、世界の10億人以上が水で不自由をしているわけですから、気候変動の問題と一体のものとして、日本全体で水の重要性を考え直す必要があるでしょう。

―― 日本は高度成長時代、水質汚染を経験しましたが、研究会では中国の水問題をどのように議論したのでしょうか。

 中国は巨大国家であり、めざましく発展しているだけに、汚染といった形で水問題が表れています。南の豊富な水を不足する北へ送るという「南水北調」プロジェクトを見てもわかるように、水不足の面も問題視されています。
 中国の状況は日本に無関係ではありません。日本の気候は、ヒマラヤ、中国とつながっているわけで、経済成長による気候変動は何らかの影響をもたらす。つまり中国の問題であると同時に日本の安心安全に対する大きな問題にもなってくる。
 だからこそ中国もしっかり認識して欲しいし、日本としては協力すべきところはしたい。中国には自国内だけでなく周辺国にも悪影響を及ぼさないよう努力してもらいたいと思います。

――〝水の安全保障〟は世界的な相関性も意識しているのですね。

 そうです。水には境界線がありませんから、一国の問題でもない。北海道洞爺湖サミットでも、水と衛生が地球規模の問題として一つの合意事項になりました。そういう認識のもと、ある意味で日本が世界をリードしていきたいと思っています・・・



フィナンシャルジャパン 水で日本は世界に貢献できる
http://www.financialjapan.co.jp/200811/0811nakagawa.html

※対談の続きはフィナンシャルジャパン2008年11月号で読めます。

「危ない―日本を直視して」 2009年6月11日 中川昭一公式サイトより

2009-10-24 | 中川氏早期着目:水利権
 私の郷土、十勝は農業生産活動も順調に進み、今は一段落。昨秋植えた小麦はだいぶ背が高くなり、穂がつき始め、その他の作物も緑を増している。畜産、特に乳牛は、明け方と夕方の搾乳をはじめ、大量な重作業だ。これから心配なのは、水と温度の不足だ。情報や基盤整備は進化しているが、自然の力はやはり大きい。マチも農村も花や緑で溢れ、晴れた日には十勝中が輝いている。しかし、25度を超える日もあれば、10度前後の肌寒い日もある。気候変動が十勝で鬩ぎ合っている様だ。

 先週、警察官が引ったくりをして、捕まえた高校生が「世も末だな」とコメントした。昨日、帯広で3歳の子供がエスカレーターに指を挟まれ、切断したという事故があった。くらしや経済だけでなく、「核から水まで」日本が危ない。北朝鮮の拉致や核実験、ミサイル実験は我が国にとり極めて危険だが、あわてて「対話」などせず、先方を無視して各国と連携して冷静に「圧力」をかけていくことが大事だ。相手は困っているのだ。エネルギーや食料が極度に不足し、一方で見苦しい権力闘争。困っているから、不自然に動くのだ。先方の動きを肯定的に受け入れようという発言があるが、これは相手の思うツボ。事態の解決に何ら貢献しない。

 水も危ない。十勝は元々降水量が日本平均の半分程しかないが、昨年は更にその半分しか降らなかった。雨が地下水となり、我々が地下水由来の水を飲むまで数十年から数百年かかる。今の降水不足は、数年から数十年後に可視化され、実感される。その時対策を取ろうとしても、既に手遅れなのだ。

水問題は

①気候変動による降水の一層の偏在。
②関わる行政が多数で法的関係も複雑。水行政は指揮者のいないオーケストラ。
③水と外国との関係。
④水問題への国民的理解。

がポイントだ。
 
 ③の外国との関係では、日本の水道ビジネスにヨーロッパの水企業がどんどん入ってきているのに、日本は技術と人材を持ちながら、海外水ビジネスに殆ど進出していないこと、世界的情報企業が世界の水情報を独占しようとしていること、水不足に悩む中国が日本の山等、水源を押えようという動きがあると報道されていること等が憂慮される。

 領土や主権が危ないことも心配だ。北方領土や竹島だけでなく、対馬や与那国島等でも実質的に主権が侵犯されている。外交と安全保障、地域支援等の努力が必要だが、そもそも政府はこの様な主権侵犯問題はもっと迅速に、できる限り国民に情報公開すべきだ。この問題に対処するための根本的基盤は、国民の理解と支持にあるからだ。
 我々は対馬を始めとする領土の主権侵犯や住民の苦難に対応する為、「国境離島対策プロジェクトチーム」(超党派、座長:中川昭一)を発足した。外国人の土地所有の制限(水源問題も同様かもしれない)や地域支援も含め、作業を始めた。

 病死の第1位を占める「ガン」で日本人が危ない。
 ガンは日本が世界一の「ガン大国」であるにも関わらず、早期発見の検診体制、研究や治療、新薬の開発方法においてアメリカ等に大きく遅れを取っている。私の周りでもガンの告知を受けた人のことがよく耳に入る。革新的「がん治療方法」も含め、総合的ガン対策を進めるため、来週発足する「がん対策議員連盟」(自民党、発起人代表:中川昭一)の準備をしている。

 連日多数頂いている国民からのメールで、今圧倒的多数を占めているのが、現在放送中の「NHK・ジャパンデビュー」第一回の戦前の日台関係に関わる番組だ。他の議員達も同様なので、本日「公共放送のあり方について考える議員の会」」(会長:古屋圭司)を発足した。この問題に対する私の考えは、HP最近思ったこと(2009年6月5日)で示している。

 「日本が危ない」
一般マスコミに正確に報道されていることも、いないことも含め、現状を直視して適格な対応をしていかないと、
日本は後悔する


中川昭一公式サイト 「危ない―日本を直視して」 2009年6月11日
http://www.nakagawa-shoichi.jp/talk/detail/20090611_480.html


水の安全保障特命委員会がスタート 2008年8月11日 中川昭一公式サイトより

2009-10-24 | 中川氏早期着目:水利権
 昨年12月にスタートした、自民党「特命委員会水の安全保障研究会」は20回の議論を終え、既述の通り報告書を作成し、その使命を終了しました。
5月に行われたTICAD(アフリカ支援開発会議)への緊急提言、7月の北海道洞爺湖サミットへの提言も行いながら、水を「人の安全保障」ととらえ、世界中の水問題への日本の基本的枠組みを示したものとして自負しています。

 本報告書の特長は、
①20回の会議、10数回の報告書作成作業を通じ、8省庁、数多くの官僚が同席しましたが、一切発言も会議の運営への関与もなかったこと(させなかった)。
②議論が議員と数多くの水の専門家(学界、経済界、NGO、自治体―水の運営、管理者等)によって対等に進められたこと。
③報告書作成は、全体の議論をまとめて3人の専門家(学者、NGO関係者)によって見事に行われたことです。

 しかし、多くの困難が存在することも明らかになりました。

①タテ割、ヨコ割の弊害(役所だけでなく、学界・ビジネス界にも存在)
②水情報の一元化
③どこに「チーム・水日本」の司令塔(仮称「水の安全保障機構」をどういう形態で設置するか)
④緊急課題(災害対策、国際緊急支援、すでに発生している水のインフラの更新問題等)に対応できるか。
⑤水の管理の複雑さに加え、水の所有権の法的位置付け(既に多くの地下水が内外の経済体により、占有されている。海外では裁判になっているケースも多い)
⑥海外への発信(国際水ビジネス支援、日本の水文化の発信-「治水」はWater Safety managementでは不充分で「Chisui」がふさわしい)
⑦世界水機関「WWO;World Water Organization」の早急な設置等々。

 今後、9月の国連総会。洞爺湖サミットの首脳宣言・議長文書をふまえ、来年のイタリア・サミットに向けた水の専門家会合。来年3月の第5回世界水フォーラム(イスタンブール)等、国際的な水の動きも活発だ。
 世界で水で苦しんでいる人々は着実に増加している。日本でも気候変動やヒート・アイランド現象で連日水による犠牲者が発生し、渇水・洪水の被害が広がっている。

 内外の水危機に「チーム・水・日本」がリーダー・シップをもって緊急、適切に対応していかなければならない。次回の特命委員会は「気象」について勉強・議論して行きたいと思います。

中川昭一公式サイト 「水の安全保障特命委員会がスタート」2008年8月11日
http://www.nakagawa-shoichi.jp/talk/detail/20080811_357.html

知っていますか?地球をめぐる、水の問題 2007年2月9日 中川昭一公式サイトより

2009-10-24 | 中川氏早期着目:水利権
 私が政治家として手がけるべきテーマのひとつと考えているものに「水」の問題があります。水道をひねれば出てくる、あの「水」です。

 何をいまさら・・・と言われるかもしれませんが、日本が水の輸入大国であるということをご存知でしょうか? 日本は食糧を輸入に頼っています。その食糧、例えば小麦の場合、1kgの小麦を収穫するのに2tの水が必要とされています。1頭の牛肉には22tもの水が使われています。そう計算していきますと、日本は年間で実に640億tもの水を輸入していることになるのです。

 全地球に存在する水のうち97%が海水で、真水は3%しかありません。その真水の70%は南極大陸の氷で、現実的には利用不可能です。ヒトが生きるのに不可欠な水は、実はこれほどに少ない貴重な資源なのです。日本の日常では不自由を感じることは少ないでしょうが、世界では10億人が慢性的な水不足にさらされ、汚れた水で200万人が死亡する、という現実があるのです。

 半面、水がビジネスと切り離せないものであることも否定できません。おりしもフランスでは、市販のミネラルウォーターと水道水のどちらが環境に優しいか、パリ水道局がメーカーを告訴する騒ぎにまでなっているようですが、日本にしても、これだけの食糧(水)の輸入を続けられるかどうか、経済力を背景にした微妙なバランスで成り立っているのも現実です。

 だからこそ、政治家も水問題にきちんと取り組む必要があると思うのです。ヒトが生きる前提である資源を、利害を語る前にまず世界的に確保する――、それには政治でなければ果たせない役割が、少なからずあるように私は確信しています。国際水フォーラムが繰り返し開催されているのをはじめ、水を守る活動がさまざまな方面で活発に行われています。これらを積極的に支持すべきだと考えます。

中川昭一公式サイト 「知っていますか?地球をめぐる、水の問題」2007年2月9日
http://www.nakagawa-shoichi.jp/talk/detail/20070209_86.html

「水は21世紀の石油だ」水資源の枯渇にヘッジファンドが着目

2009-10-24 | 中川氏早期着目:水利権
 水関連企業の株価は急騰を続けている。2001年以来、世界の大手水関連企業、通称「ウォーター・バロンズ」の株価は平均して150%を超える値上がりを記録している。そしてそのような中、水資源の枯渇に着目したウォーター・ヘッジファンドが続々と誕生している。

■水の希少価値に注目したヘッジファンドの台頭
 水は大きな富を生む希少資源になりつつある。
 そこに注目したウォーター・ファンドが相次いで組成されるようになった。わが国でも野村アセット・マネジメントが「グローバル・ウォーター・ファンド」を募集したところ、瞬く間に1000億円を超えるお金が集まり、募集を早めに切り上げざるを得なくなったほど。この人気にあやかり日興コーディアルや三菱UFJ投信など日本の金融機関も、このところ水に特化した企業を組み合わせたファンドを作る動きを加速させている。

 20世紀には世界の人口は3倍に増えたが、水の需要は6倍に脹らんだ。水と石油はともに経済活動には欠かせない。

 現在、原油価格の高騰が大きな問題となっているが、今後は水の値段も確実に上がるだろう。当然、水をめぐる争奪戦も激化するに違いない。国際商品投資に特化した約350社のヘッジファンドにとっても、まさに「見逃せないチャンス到来」というわけだ。

 とはいえ世界で最も早くウォーター・ファンドを立ち上げたのは、スイスのピクテ銀行であった。すでに30年以上も前の話である。

 石油や天然ガスなど化石燃料に代わる新しい資源として水に着目したのはヨーロッパやアメリカの金融機関が遥かに早い。過去30年以上に渡り、欧米の投資ファンドは顧客からの預かり資金を効果的に運用するターゲットとして、「水」および「水に関する技術」を積極的に組み込んできたのである。

■水関連企業の株価は急騰を続けている
 世界で急成長を遂げているウォーター・ファンドだが、2007年12月の時点で、本数にして27本、総額では2000億ドルを超える規模に膨らんでいる。ウォーター・ファンドの本数も相次いで増えており、当然のことながら投資残高も拡大を続けている。対前年比で53%増という急ピッチである。しかも毎年のように記録を更新している。2007年に世界を金融パニックに陥らせたアメリカ発のサブプライムローン危機や原油高の影響で、より高いリターンを追求する世界のマネーは天然資源や穀物などコモディティー(商品相場)にシフトするようになった。

 そのような流れを受け、水という生命の維持に欠かせない資源にあらためて注目が集まっている。世界的に水資源の枯渇が問題となる中で、いかに安定的な供給を確保するのか。汚染された水の浄化技術やリサイクル、リユースを可能にする技術を有する企業や研究機関に対して、世界の投資マネーが一斉に群がるようになってきた。世界のウォーター・バロンズや水関連企業は、行き場を失った世界の投資マネーの受け皿として過去類を見ないほどの活況ぶりを呈している。

 当然の結果であろうが、水関連企業の株価は急騰を続けている。2001年以来、世界の大手水関連企業、通称「ウォーター・バロンズ」の株価は平均して150%を超える値上がりを記録している。これは同じ期間の一般銘柄と比べると、3倍以上の株価高騰ということになる。代表的なウォーター・バロンズといえばイギリスのテームズ・ウォーター、フランスのスエズやベオリアといったところで、この3社が「ウォーター・バロンズ御三家」と呼ばれている。

■水源地の利権をめぐる争奪戦も
 こういった水関連の企業を過去20年間の株価の推移で見てみると、おおよそ30倍にまで株価が膨張していることが明らかになる。

「何故、水でそれほど儲かるのか」と不思議に思われるかも知れない。まさか“水商売”というわけではあるまいが、実際には株価が急上昇を遂げている企業の場合、水を我々の日常生活にとどまらず農業、工業、健康、医療産業等に欠かせない技術の対象として研究開発を重ねており、その成果が世界の投資家から注目と期待を集めているわけである。

 さらに近年は貴重な水資源を確保する必要性が世界的に高まっており、水源地の利権をめぐる争奪戦の様相すら見られるようになってきた。このような動きに敏感な世界の投資家や投資ファンドが水危機をビジネスチャンスと受け止め、この市場に殺到するのも頷けよう。

■ウォーター・ヘッジファンドが続々と誕生
 テキサスの石油投資家ブーン・ピケンズ氏もその先駆けだ。1999年にメサ・ウォーター社を立ち上げ、アメリカ各地の水源の開発、利用権を買占め、水不足に直面する自治体に売ろうとしている。アメリカ西部では水は石油と同じで、「見つけた者勝ち」の原則が当たり前。環境に優しいエネルギー源としてエタノールへの関心が高まっているが、トウモロコシからバイオ燃料のエタノールを生産するにも大量の水が必要とされる。

 実は、トウモロコシや大豆を生産する時には小麦の時より2倍もの水が欠かせない。そのため、投機筋の間では水に関する注目度が前例のないピッチで高まっている。思い起こせば、アメリカ史上最大のスキャンダル倒産を引き起こしたエンロンも水トレードビジネスを立ち上げようと動いていた。今、再び、水が投機の世界の主役としてスポットライトを浴び始めたのである。そしてウォーター・ヘッジファンドが続々と生まれるようになった。

 一方、多くの日本人にとって水は天から降って当たり前のもので、自然にいくらでも手に入ると受け止められてきたようだ。それどころか台風や長雨が続けば災害の原因にもなりかねないため、水に対しては貴重な資源としての認識が低いようである。けれども、世界全体を見渡せば砂漠化や水不足、そして水の汚染の深刻化がみられるようになり、安全で安心して飲める水が手に入らない地域の方が圧倒的に多いのである。

 そのため、世界銀行や国際通貨基金(IMF)など国際金融機関をはじめ様々な援助機関が発展途上国に対して、水を安定供給できるシステムを援助しようと取り組みを強化し始めた。なかでも水道施設を普及させるためのインフラ整備が大きな課題となっている。資金的にまた技術的に余裕のない貧しい国々にとっては、国際的な援助や支援なくしては国民の生命維持に欠かせない水の供給すら心もとない現状が横たわっている。

■「水テク・パワー」知らぬは日本の投資家だけ
 このような、水の限られた地域に対して、国際金融機関の多額の資金が投入されるという現状からすれば、その資金の受け皿として期待される企業に投資家が先回りをして大きなリターンを得ようとするのも当然のことかもしれない。世界の投資家やファンドにとって、危機的状況を逆手に取りビジネスチャンスに転換させようとするのはお手の物ということである。

 しかし、日本ではそのような発想はこれまでなかった。水関連の企業で大儲けをしたというサクセス・ストーリーは聞いたことがない。冒頭で紹介したが、ようやくこの数年、日本の証券会社や投資信託が水関連や環境重視型のファンドを立ち上げるようになった。この状況を見るにつけても、我々があまり知らないところで日本の水に関する技術といったものが海外からは高く評価されていることが窺える。

 なぜなら、欧米の水関連ファンドが組み込んでいる技術系企業は、その大半が日本の企業で占められているからである。

 スイスのピクテ銀行を筆頭にさまざまなウォーター・ファンドが日本の水技術企業を組み込んだ商品を発売し、大きなリターンを生み出している。たとえば、ピクテの場合はダイセキ、TOTO、水島機械、オルガノの株式を組み込んでいる。ASNミリュー・アンド・ウォーターの場合は堀場を、KBCエコ・ウォーター・ファンドの場合は荏原とオルガノを、そしてクレモア・セキュリティーズは栗田工業をといった具合である。

 近著『ウォーター・マネー「水資源大国」日本の逆襲』(光文社)でも紹介したが、肝心の日本の投資家や一般の国民が自国の「水テク・パワー」に理解が及んでいないのは残念な限りである。

 この機会に我々は日本の水関連企業の実力や将来に向けての技術開発の現状をじっくりと見ていく必要があるだろう。海外の投資家は東レや日東電工の株を買い進めている。その将来性に注目しているからだ。

 他にもこれから大化けするような水関連技術やアイデアを温めている日本の企業がまだまだたくさんある。いずれにせよ、世界的視野でウォーター・ファンドの急成長ぶりを見てみると、やはり基本的には需要と供給の原則が働いていることがよくわかる。水そのものが簡単に手に入らない地域が多くなり、必然的に水が希少資源となっているからである。

 世界の人口は現在の66億人から21世紀末には100億人に増加することが確実視されている。エネルギー資源や食糧と同じく、水そのものがきわめて貴重な資源となることは論を待たない。言い換えれば、最近の原油高を上回る勢いで、水が石油に代わる大きな富をもたらす可能性があるといえよう。

 中国やインドでは、人口の増加が止まらず、経済成長も著しい。そういった国々においては、国家予算に占める水関連の投資額が毎年倍々のペースで増え続けている。たとえば、中国では今後25年間で水の需要が120%は拡大するといわれているほどだ。インドでも今後20年間に都市部を中心にして100%近い増加が見込まれている。

 要は世界全体でみれば、ほぼ10年ごとに水の需要が倍増することになるわけである。中でも中国、インドにロシア、ブラジルを加えた、いわゆるBRICsと呼ばれる新興経済地域での水関連予算の伸びは急激である。日本の国内だけに目を奪われていれば、水道事業の前途は厳しいとか、課題山積といった話が多いようだが、見方を少し世界に広げれば、日本の水道事業が大きな役割を果たす可能性が極めて高いことが明らかになるだろう。

■「水は21世紀の石油」
 先進諸国では、この水道事業の民営化によって一挙にインフラの整備が進み、集金サービスのあり方が変わることになったケースも多い。そのような経験から、水道事業運営のノウハウを蓄積した欧米の民間水道事業会社は、「発展途上国の経済発展を後押しする」という大義名分の下で、アジア、アフリカ、中南米諸国に相次いで進出するようになったのである。その際、世界銀行の融資をバックに、受入国の政府から有利な条件で事業を展開する契約を結ぶのが常であった。

このような民間の水道事業会社は、先に述べたように「ウォーター・バロンズ(水男爵)」と呼ばれ、世界各地で水道事業の民営化を請け負い、高収益を上げている。その背景には、途上国における人口膨張による飲料水の慢性的な供給不足という問題があったことは否めない。言い換えれば、「危機をチャンスと捉える嗅覚が強い」といえよう。

 テームズ・ウォーター社のピーター・スピレッド取締役によれば「水は21世紀の石油である。水産業は今後とも大きく成長するポテンシャルを秘めている。場合によっては近い将来、水をめぐる世界戦争すら起こりかねない。それだけ水は貴重な資源である」。

 同様の観点から、スエズ社のジェラルド・ペイエン海外市場担当取締役は言う。「ウォータービジネスは、世界の需要状況を見れば見るほど、今後の成長が楽しみな分野である。わが社は水を浄化し、各家庭に供給する。この種のサービスにはコストがかかるのは当然であろう。安心して飲める水のために、料金を支払うのは当たり前のこと」。

■世界の水環境の変化に目を向けよ
 スイスに本拠を置く16億ドルの水ファンド、サステイナブル・アセット・マネジメントによれば「水企業への投資リターンは、今後5年間で平均14%が期待される。アジアに限定すれば、50%から100%もの高いリターンが得られるだろう」。

 電力、ガスや電話などが中断しても、人は生きていける。しかし水を止められては、人は生きていけない。であるならば、途上国の政府も国民も、どんな対価を払ってでも自らの生命を維持するために、水道にはお金を惜しまないはずだ。そのような観点から、欧米のウォーター・バロンズ企業は、発展途上国の上下水道事業に狙いを定めているのである。

 日本ではあまり話題になっていないが、水道事業の民営化、また特定民間企業による水の支配体制はこうして秘かに進んでいる。ある意味では、ウォーター・バロンズの暗躍は石油危機以前の石油メジャーのような影響力を感じさせるほどである。われわれも世界の水環境の変化に目を向け、水資源の有効活用に大きく貢献できる日本の水テクパワーを支援すべき時であろう。

MONEYzine 「水は21世紀の石油だ」水資源の枯渇にヘッジファンドが着目 浜田 和幸 2008年08月30日 15:00
http://moneyzine.jp/article/detail/87657


[豪・アフリカの現状]渇く穀倉地帯

2009-10-23 | 中川氏早期着目:水利権
 世界的な穀物価格高騰の震源地となった2006年以来の豪州の干ばつ。最大の被害を受けたのは、国全体の農業生産の41%を占める同国南東部の穀倉地帯「マレー川・ダーリング川流域」だ。6月までの雨で一部で冬小麦の種まきが一斉に始まったが、ダムの貯水量は平年以下にとどまったまま。牧草の生育不良のあおりを受け、羊の“青田刈り”に乗り出す農家も出ている。(豪ニューサウスウェールズ州南部ヘイで 岡崎哲)

■出荷を前倒し
 首都キャンベラから西に約500キロの農村ヘイで牧羊業を営むジェフ・チャップマン氏(48)の農場で6月30日、やせ細った約20頭の羊が毛を刈られ、マトン用に処分された。

 同農場では、2年前に5000頭だった羊は3000頭にまで減った。干ばつによる牧草の生育不良がたたり、「羊毛や羊肉の品質低下が避けられない」として、出荷を前倒しする決断を迫られたのだ。

 羊だけではない。大量のかんがい用水を必要とする、うどん用の小麦、麦焼酎の原料となる大麦、さらにコメも昨年までに生産打ち切りを迫られた。チャップマン氏の収入はこの6年で半減。「農業を始めて20年以上になるが、こんな干ばつは経験したことがない」と天を仰いだ。

 豪州の干ばつで、農作物生産への悪影響や穀物価格の高騰とともに危惧(きぐ)されているのが、ラムサール条約に登録されているマレー川河口湿地帯の水位低下と環境破壊の問題だ。今年の湿地帯の水位は平年より1メートル近く低くなり、観測史上最低の海抜マイナス0・5メートルを記録。1400平方キロ・メートルの湿地帯の5分の1が干上がった。渡り鳥の数も激減し、湿地帯は「存亡の危機」にひんしている。

■原油高も影響
 干ばつは、2007年末の総選挙で勝利したラッド労働党が、京都議定書の批准に慎重だったハワード自由党から政権を奪い、議定書を批准する背景ともなった。だが、世界的な原油高で燃料価格が上昇し、消費生活や産業の現場を圧迫している。排出量取引の導入がスケジュールに上る中、産業界にも農家にも新たな出費をきらう空気が強い。

 湿地帯の水位低下は、干ばつの影響に加えて、かんがい用水の過剰配分問題も関係している。流域はほとんどが半乾燥地帯で、かんがい用水が農業を支える。しかし、世界的な食糧需要の拡大もあり、湿地帯の水位低下解消より農家への水供給が重視され続けてきた。

 だが、かんがい用水の割り当てを削減すれば、農家にさらなる負担を強いることになるため、ラッド政権にとっては難しい選択となる。ラッド首相は3日、地元メディアに「(十分な)雨を降らせることは首相にもできない」と語った。

 ラッド労働党政権は、排出量取引の2010年導入を目指すほか、20年までに総発電力の20%を風力や太陽光など再生可能エネルギーに転換し、50年までに二酸化炭素(CO2)排出量を2000年比で6割削減する目標を掲げている。年末までに計画を具体化する予定で、ポスト京都議定書を巡っては、中国、インドなど途上国の関与を条件に掲げている。

麦栽培、羊飼育に打撃

■世界の洪水25年で4倍に
 世界各地で発生する洪水や干ばつなどの水関連災害は、増加し続けている。

 土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センターの吉谷純一上席研究員らが1980~2006年に発生した水関連災害を分析したところ、特に増えている傾向にあるのが、洪水とサイクロン、ハリケーンなどの風水害だ。

 洪水被害は80~82年の3年間で137件だったのが、2004~06年は4倍近い542件、風水害も2倍以上の314件まで増えた。被害額も増加傾向にあり、04~06年で約3000億ドルに達した。吉谷さんは「発展途上国では、人口増加で海抜が低い平野部に住民が密集する傾向にあり、被害拡大をもたらしている」と話す。

 気候変動で今後、豪雨や渇水の頻度が増すと予想されており、「水関連災害の影響を受ける人口は、2050年までに20億人に達する恐れがある」と国連大学の研究グループは警告している。

 今年に入ってからも、ベンガル湾で発生したサイクロン「ナルギス」が、5月にミャンマー南部のデルタ地帯を直撃して8万人以上の死者が出たほか、米国中西部の大雨によるミシシッピ川の増水で、10か所以上の堤防が決壊する洪水が発生した。

 中国中部の山西省では、5月中旬からの少雨と黄河の流量低下などによる渇水で、50万人以上が飲み水不足に陥り、トウモロコシや綿の栽培にも影響が出ている。(科学部 野依英治)

「貧困の悪循環」に危機感・・・G8アフリカ支援

 北海道洞爺湖サミットの主要8か国(G8)とアフリカ諸国首脳らによる拡大対話で、急浮上したのがアフリカの農業への支援。背景には、気候変動の影響が指摘される洪水や干ばつの深刻化に伴い、アフリカで食料生産が不安定になっているという実情がある。アフリカをはじめ途上国の貧困撲滅を掲げ、2000年に国連が定めた「ミレニアム開発目標」の達成が難しいことも、国際社会の危機感を強める要因になっている。(河野博子、森太、小坂剛)

 サハラ砂漠以南を中心とするアフリカでは、干ばつや洪水などをきっかけとして、たびたび食料不足に陥ってきた。降水量が少なく、かんがい設備も不十分な乾燥地域は異常気象による影響が大きく、ただちに農業生産の減少を招く。

 国連開発計画(UNDP)の「人間開発報告書(最新版)」によると、マラウイが2002年の干ばつで約500万人が緊急食料援助を必要とする事態に追い込まれたほか、ニジェールで04年に起きた干ばつとイナゴの大量発生で、全国民の5分の1が食料不足に陥った。異常気象による作物減収、雇用喪失、財産の破壊、食料価格の高騰――。報告書は、異常気象を契機に貧困世帯がさらに厳しい状況に追い込まれていく「貧困の悪循環」を指摘した。

 こうした傾向は将来の気候変動によって、さらに加速する恐れがある。昨年11月に「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)がまとめた第4次評価報告書は、アフリカでは気候変動により水不足が深刻化し、「20年までに、雨水に頼った農業で収量が最大50%減少するなど、農業生産が非常に厳しくなる」などと予測している。

 バイオ燃料用のエタノール増産も、アフリカの食料生産の不安定化に追い打ちをかけている。

 環境省が今月まとめた報告によると、世界の燃料用エタノールの生産量は、05年で年間3134万キロ・リットル。06年には3800万キロ・リットルに達すると見られ、5年で倍増の勢いだ。その原料のほとんどは、トウモロコシやサトウキビで、世界的な食料価格高騰の一因となっている。アフリカでも、食料用からバイオ燃料用への農地転換が進んでいる。

 国連の「ミレニアム開発目標」は15年までに貧困や飢餓に苦しむ途上国の人口の割合を半減することなど、18の具体的な到達目標を定めた。ところが、「5歳児未満の死亡率を下げる」という目標に対して、サハラ砂漠以南のアフリカでは5歳にならないうちに死亡する子供が依然として6人に1人に上るなど、改善は思うように進んでいない。

 この日の拡大対話では、欧州委員会のバローゾ委員長が「ミレニアム開発目標が再び注目されている」と指摘し、同目標の達成に向けて国際社会が一層努力すべきだと主張した。

 今年は、2000年から15年までの中間年に当たるため、9月の国連総会にあわせてアフリカ支援に関する会合が開かれ、ミレニアム開発目標達成について議論される見通しだ。

農民が望む援助を

■アフリカのNGOG8に注文
 「貧しい農民の日々の苦闘を世界のリーダーたちは理解し、手助けしてほしい」「主要先進国は口約束を重ねるが、履行していない」。北海道洞爺湖サミットが開幕した7日、留寿都村の国際メディアセンターでアフリカと日本のNGO(民間活動団体)が記者会見し、アフリカ諸国への支援強化を約束した主要8か国(G8)に対し、厳しい注文をつけた。

 会見したのは、ザンビアのNGO「グリーン・リビング・ムーブメント(緑に生きる運動)」のジョイス・ムワンジェさん(47)ら。ムワンジェさんはザンビアの農民で、毎朝7人の子供たちを学校に送り出した後、夫と畑に出る。「3年前から、畑の土の中に窒素を固定する働きをする植物を植え始めた。メイズ(トウモロコシの一種)、キャッサバ、カボチャ、サツマイモなどなんでも良くできるようになった」と、持参した作物のかけらを手のひらにのせて説明した。

 畑の作物の間に植えている植物は4、5種類。ムワンジェさんは「畑の土を元気にするほか、家を建てたり棺桶(かんおけ)を作ったりする建材にも使え、夜道を歩く時のたいまつ代わりにもなる」と、食料増産や生活改善のために地道な努力を重ねていることを強調。その上で、「我々農民の声を聞いて何が必要か、先進国は一緒に考えてほしい」と訴えた。

読売新聞 2008年7月9日
http://www.yomiuri.co.jp/eco/summit08/ec_su20080709.htm

【狙われる日本の水】(下)急増する需要 世界的危機「石油の次は…」

2009-10-23 | 中川氏早期着目:水利権
 果てしなく続く黄色い土。木はまばらだ。強い風が黄色い土ぼこりを吹き上げる。

 2004(平成16)年から、中国各地をさまざまな支援事業で飛び回っていた国際協力機構(JICA)地球環境部次長の森尚樹さん(49)は山西省の黄土高原を訪れ、硬く乾燥した土を見て驚いた。

 「住民はどうやって水を確保しているのだろうか。こんな土地では、雨が降っても水は土にしみこまず、流れていってしまう」

 上水道が整備されているようには見えない。数少ない井戸の水を求めて住民は家から何十メートルも歩いているようだ。つるべで水をくんでいた。

 中国北部に位置する「黄土高原」。広さ50万平方キロ、中国の5%近くを占め、1億人近い人が住んでいるともいわれるこの地域は、雨が少なく、普段、多くの川は枯れている。夏季には大量の雨が降り、川を満たすが、水は土にしみこまず、時には硬い地面ごと流し去ってしまう。

 当時、五輪準備で急速に近代化が進んでいた首都・北京から西に500~600キロ。東京から大阪と同じぐらいの距離のところなのに、「同じ中国でも、こんなに違うものか」。森さんはそう感じた。

 JICAは、ここに果樹を植える植林を支援していた。樹木が育てば土壌改良が進み、森林が生まれ、水がしみこみ、土地を潤すかもしれない。しかし、それには途方もなく長い時間がかかる。


 「中国では、人口が増える一方で、きれいな水源が不足している。都市化が進むのに、上下水道の整備が追いつかない。高層マンションが林立する北京ですら、飲み水に不安を抱く人が多い」

 日本に戻ってきた森さんはこう振り返った。

 人々の飲み水となっていた川や湖が汚染される現実も、目の当たりにしてきた。河南省ではパルプ工場の排水が流れ込み川が赤黒く汚れた。雲南省では、生活排水や家畜の排泄(はいせつ)物が混じった水が大量に流れ込み、悪臭を放つ湖を見た。

                   ◇

 現在、世界の水需要は急速に伸び、水不足が深刻な問題となりつつある。WWF(世界自然保護基金)のリポートでは、世界の年間取水量は2000年で約4000立方キロメートルで、40年前の2倍。2025年までに全世界人口の3分の2が水不足の危機に陥る可能性も指摘されている。

 「世界の人口が急増しているうえ、新興国の経済発展で急速に都市化が進み、工業や農業用水が増大しているためだ」。世界の水資源状況をまとめた「水戦争」などの著書がある丸紅経済研究所の柴田明夫所長は、こう原因を分析する。経済発展著しい中国は、まさにその代表格といえる。

                   ◇

 夏季の一時期や災害を除いて水不足がほとんど問題にならない日本だが、世界のこうした状況と無関係とはいえない。

 「食料自給率が低い日本は、農作物や畜産物を輸入に頼っているが、育てるのには水が必要。中国や米国のような食料輸出国が水不足で農作物が育たなくなれば、日本の食卓を直撃するかもしれない」。柴田所長は、こう警鐘を鳴らす。


 「石油の次は水」。世界ではいま、こう言われている。水資源をめぐって各国が火花を散らしている。

 マレーシアは水源の少ないシンガポールに対して、水の供給ストップをちらつかせてきた。ヨルダン川をめぐるイスラエルとヨルダン、レバノン。インダス川上流域をめぐるインドとパキスタン…。国際河川の水配分をめぐって、各国が対立し、軍事衝突が起きることは珍しくない。

 平成19年の農林水産省のリポートでも、水が「紛争の原因」となる水戦争の危険性を指摘している。

 世界人口は拡大を続け、2050年には91億人に達すると推計されている。中国のほか、ロシア、北朝鮮といった軍事大国や核武装国家がひしめく極東も、水不足が深刻化するのは目に見えている。

 緑豊かな日本の水源を狙う国が出てきても、不思議ではないのだ。(菅原慎太郎)

産経新聞 2009.9.16 08:03
http://sankei.jp.msn.com/life/environment/090916/env0909160805001-n1.htm

【狙われる日本の水】(中)外資が触手伸ばす“おいしい水” ミネラル、水道…

2009-10-23 | 中川氏早期着目:水利権
 都会では、すっかり定着したペットボトルのミネラルウオーター。もともと飲料水事情の悪い欧米では広く飲まれていたが、日本ではなじみが薄かった。自動販売機で500ミリリットルが100円以上。水道水はコップ1杯なら限りなくただに近い。日本人は、なぜミネラルウオーターを飲むようになったのか。

 メーカーが消費者調査を行ったところ、買う理由で最も多いのは「おいしいから」。しかし、実際に20人を対象に、水の飲み比べ調査を行うと、それに疑問符がつくような結果が出た。

 20人には、市販のミネラルウオーター、東京都の水道水、浄水器を付けた東京都の水道水、地方の水道水-の4種類の水を飲んでもらい、「おいしい」と感じた順位を調べた。その結果、1位にミネラルウオーターを選んだのはわずか4人。16人はほかの3種類の「水道水」を選んだのだ。

 16人は、全員が1位にミネラルウオーターを選んだと思い込み、「さわやか」「飲みやすい」などと高く評価。中にはミネラルウオーターを「くさみがある」と評した人もいた。


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 「地下水をそのままペットボトルに詰めているので不純物は入っていないし、塩素消毒もしないから消毒臭もしない。味の違いに気づくと思いますが…」

 ミネラルウオーターを販売するサントリーの担当者は“おいしさ”を強調し、「販売拡大の背景には都会の水道水に対する不安があった」と解説し始めた。

東京都水道局によると、都内の水道水は利根川や多摩川から引かれているが、昭和40年代、こうした河川水質は急速に悪化した。上流域の群馬県や埼玉県では都市化が進む一方、下水道整備が追いつかず、汚れた水が大量に川に流れ込んだためだ。浄水場で処理されているため、衛生上飲めない水ではなかったが、都民の「水道水はまずい」といった不満は年々増し、60年代になると、水を「買う」動きが出始めたという。

 ミネラルウオーターは徐々に売り上げを伸ばし、平成8年の規制緩和によって500ミリリットルのペットボトルで売られるようになると、手軽さや若者の間の流行も手伝って、売り上げは急速に伸びた。ミネラルウオーター消費の先進国・欧米で売り上げを伸ばしていた「水メジャー」と呼ばれる巨大海外資本が日本市場に大々的に参入した。


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 日本ミネラルウォーター協会の統計では、ミネラルウオーターの販売量は19年で250万キロリットル。20年前の約30倍だ。現在の首都圏では「おいしい水は有料」という考え方がすっかり定着したが、その一方で水道水の改善も進んでいる。

 「以前は『おいしさ』という考え方がなかったが、現在は改めています」。こう強調するのは都水道局の筧(かけひ)直(すなお)調査課長。都では平成4年から浄水場に、オゾン処理などで水のカビなどを低減化する設備を導入。老朽化した水道管も付け替えてサビが入らないようにするなどした。


 水道水の評価は一気に回復。18年の都のアンケートでは飲み水として「満足」とする回答は3割を超えた。前述の20人を対象にした調査でも、13人が東京都の水道水が「1番おいしい」と答えた。

 ただ水道コストも上がった。都民の水道料金は昭和50年、平均的な家庭で1カ月約1300円だったが、現在では約3300円。浄水場の能力向上に1200億円、インフラ整備にも年間500億~600億円が投じられているからだ。

 実は国際企業は、ミネラルウオーター市場よりも、こうした水道インフラ整備事業に触手を伸ばし始めている。「巨額マネー」が動くからだ。水道事業が民営化されれば、間隙(かんげき)をぬって外資が一気に入り込む。こうした企業は当然、日本の水道事業にも目を光らせ、参入のチャンスをうかがっている。九州地方のある自治体ではインフラ整備で、すでに参入の動きもみられる。

 “おいしい水”を求める日本人。ミネラルウオーターにせよ、水道水にせよ、質の高い水を求めれば、そこが狙われる構図ができあがりつつある。(菅原慎太郎)

産経新聞 2009.9.15 08:00
http://sankei.jp.msn.com/life/lifestyle/090915/sty0909150800002-n1.htm

【狙われる日本の水】(上)見えない敵から守れ 新たなビジネス

2009-10-23 | 中川氏早期着目:水利権
 「よく分からないんですが…」。東京・霞が関の林野庁。幹部は首をひねりながら話し始めた。「中国人らしき人物が、山奥の山林の値段を聞きに来たというんですよ」

 林野庁には昨年から、こうした類の話が寄せられている。三重県など各地の山奥で、中国系企業が森林の高値買収に動いているというのだ。

 山林は都市開発ができず、国産木材の価格も長期的に低迷しているため、買収のメリットは薄い。考えられるのは「水」だという。森林の地下には地下水脈がある。それが海外資本のターゲットになっている可能性が指摘されている。

 「水が豊かな日本にいたら気づきにくいが、現代は世界各国が水を求めて争う時代。日本の水をくみ上げ、大型船で海外へ大量に輸出するということも、ビジネスになる時代だ」

 ある商社幹部はこう話す。実際に日本のミネラルウオーターを中国の富裕層向けに販売するビジネスは、一部の日本企業で始まっている。そこに中国系企業が参入しても、まったく不思議ではない。

 林野庁は調査に乗り出したが、結局その実態は分からなかった。「中国系企業は土地をブローカーに買収させるから、企業本体は姿を見せない。見えない相手が、いま『日本の水』を狙っている」。商社幹部はこう警鐘を鳴らす。

                   ◇

 標高2967メートルの甲斐駒ケ岳がそびえ、山々が連なる南アルプス。山すその鬱蒼(うっそう)とした森の中に、サントリーのナチュラルミネラルウオーター「天然水 南アルプス」を生産する白州水工場はある。毎分350~700本のペースで、ペットボトルに水が詰められていく。ボトルはベルトコンベヤー上を流れていくうちに、次々とラベルが張られ、箱詰めにされていく。

「この“おいしい”水は、山と森が育てているのです」。高林正道工場長は、そう話す。

 「天然水」は、地上にわき出る水や川から取るのではなく、地中約100メートルからくみ上げられる。森の柔らかい土に、山に降った雪や雨がしみ込み、土の下の花崗岩(かこうがん)に浸透していく。岩に含まれるマグネシウムやカリウムといったミネラルの成分が溶け込んだ水が地下水脈を作るのだ。まさに山と森林が水を生んでいる。

 地下水脈を生む山林は「水源林」「水源涵養(かんよう)林」と呼ばれる。ペットボトルで販売されている「名水」にはさまざまあるが、「ナチュラルミネラルウオーター」は、こうした地下水脈を純粋にくみ取りった水でなければならない。

 地上の空気に触れた水は、水中の成分が腐りやすくなるため塩素消毒が必要となる。そうした水は水道水と同じ「ボトルドウオーター」に分類される。人工的にミネラルを加えれば、「ナチュラル-」ではなく、それはただの「ミネラルウオーター」だ。

                   ◇

 実はこの水源林と地下水脈は常に荒廃の危機にさらされている。

 「法律上、水源林の所有者は際限なく水をくみあげられるし、水源林を保護する義務もない」

 サントリーの工場がある山梨県北杜(ほくと)市の担当者は、こう問題点を指摘する。同市ではサントリーを含め、5業者がこうした水を使って飲料水や食品を生産しているが、もし悪質な業者が、過度に水をくみ上げれば地下の空洞化と地盤沈下につながる。水源林が荒廃すれば、水は枯渇する。

「水源林と水を守っているのは、自治体と業者の自主的な努力。しかし、協力しない業者が出てきたら、どうするべきか」。北杜市の担当者は不安を口にした。市では、独自条例で井戸採掘を許可制にしているほか、サントリーなど業者側もくみ上げ量を自主規制し、森林保護に取り組むなどしているが、協力しない業者が現れた場合、対策はいまのところないのが現状だ。「水源林を買い取ろうとする業者には注意が必要。日本の環境やルールに関心が薄い外国企業が現れることにも目を光らせないといけない。ただ、自主努力には限界もある。国の法整備が必要な時期に来ているかもしれない」

 北杜市の担当者はこう話した。(菅原慎太郎)

                   ◇

 地球上には14億立方キロメートルの水があるとされる。だが、その大半は海水や氷河で、人間が利用できるのはわずか0・3%に過ぎない。人口増大に伴い、いま世界では水需要が飛躍的に拡大している。昔から水の豊かな国として知られてきた日本。その貴重な資源が狙われている。

産経新聞 2009.9.14 09:47
http://sankei.jp.msn.com/life/lifestyle/090914/sty0909140948004-n1.htm

中国資本が日本の水源地を買収 危機感強める林野庁、調査開始

2009-10-23 | 中川氏早期着目:水利権
 中国の企業が西日本を中心に全国各地の水源地を大規模に買収しようとする動きが、昨年から活発化していることが12日、林業関係者への取材で分かった。逼迫(ひっぱく)する本国の水需要を満たすために、日本の水源地を物色しているとみられる。

 買収話が持ち掛けられた地元自治体などが慎重姿勢を示しているため、これまでに売買交渉が成立したり、実際に契約締結に至ったりしたケースはないというが、外国資本の森林買収による影響が未知数なことから、林野庁は都道府県に対して一斉調査を始めるなど危機感を強めている。

 奈良県境に近い山あいにある三重県大台町。昨年1月ごろ中国の企業関係者が町を訪れた。水源地となっている宮川ダム湖北を視察した上で、「いい木があるので立木と土地を買いたい」と湖北一帯の私有地約1000ヘクタールの買収を町に仲介してほしいと持ち掛けた。また約3年前には、別の中国人の男性から町に電話があり、同じ地域の水源地の買収話があったという。

 町は「本来の水源林として残してもらいたい。開発はしないでほしい」と相手側に伝えると、それ以降交渉はなくなり連絡は取れなくなったという。

 水源地の立木は、原生林を伐採した後に植林した二次林で、「よい木材」とは考えられず、土地も急斜面で伐採後の木材の運び出しに多額の費用がかかるため、同町産業室の担当者は「木ではなく地下に貯まっている水が目的ではないか」と分析する。

 また、長野県天龍村には昨年6月、東京の男性が訪れ「知り合いの中国人が日本の緑資源を買いたがっている。今の山の値段はいくらか」と持ちかけてきた。同村森林組合の担当者が実際に山のふもとまで案内し、森林の現状を説明した。

担当者によると、この男性は「今の市場価格の10倍の金を出す」と強気の姿勢を見せた。しかし、これまで村には外国資本が買収交渉を持ちかけた例がなかったため、担当者は「隣接の所有者がOKするかわからない」と難色を示すと、その後、話が持ちかけられることはなくなったという。

 このほかにも、岡山県真庭市の森林組合にも昨年秋、中国から水源林を伐採した製材の買収話が持ちかけられ、その後も交渉が継続している。

 林野庁によると、昨年6月、「中国を中心とした外国資本が森林を買収してるのではないか」との情報が寄せられ始め、実態把握のため全国の都道府県に聞き取り調査を行ったという。

 これまでの調査では実際に売買契約が成立したケースはないが、同庁の森林整備部計画課の担当者は「現在の法制度では、万一、森林が売買されたとしても所有権の移転をすぐに把握する手段はない。森林の管理についても国が口を挟むことも難しい」と説明している。

 国際日本文化研究センターの安田喜憲教授(環境考古学)の話「ルール整備が不十分な中でこうした森林売買が進行すれば、国として自国の森林資源や水資源を管理することが困難になり、国土保全に大きな影響を受けることが予想される」

◇ ◇ ◇

 日本国内の水源地に中国資本が触手を伸ばしている実態が明らかになった。この背景には、中国での深刻な水不足がある。その一方で日本国内の水源地は現在、約30年前の価格まで暴落していることも中国にとって買い時と映ったとみられる。世界各地では、水資源の獲得に向けて激しい争奪戦が繰り広げられており、識者は「国内の水源地を守るためには現在の法制度は未整備」と訴えている。

東京財団の調査によると、中国では飲用水の需要が急速に伸びており、ペットボトルに換算すると、この10年間で約4倍になっている。また、急速に工業化が進む北部では工業用の水不足が慢性化。穀倉地帯や内陸部の小麦地帯でも、干魃(かんばつ)被害の影響で農業用の水不足が深刻化しているという。

 国連の予測では、人口爆発と経済発展により、水不足の深刻な国で暮らす人は現在でも5億人に達し、2025年には約30億人に増加するとしている。水不足の危機は一方でビジネスチャンスを生み、「水メジャー」といわれる大企業が、世界で水源地を確保しようとする動きが目立っている。

 これに対し、日本国内では水源地を守る役割を果たしてきた林業が衰退の一途をたどり、外国資本が入り込むすきを与えているとの指摘がある。日本不動産研究所によると、安価な輸入木材に押されて、林地価格も立木価格も昭和55年以来、ほぼ一貫して下落。平成20年3月末現在、10アール当たりの林地(用材)価格の全国平均(北海道・沖縄を除く)は5万5118円で、昭和49年時の6万460円を下回る価格となった。

 また、森林が国土の約7割を占めるにもかかわらず、法制度の不備もある。国土交通省水資源政策課によると、「現在の法制度では地下水の規制は都市部で地盤沈下を防ぐことが目的となっている」といい、山間部については、地下水をくみ上げる量に制限がないのが現状だという。

 さらに、地権者の権利移転がチェックされる農地と違い、森林法では民有林の売買に関する規制はなく、所有者は自分の山林を自由に売買することが可能。国土利用計画法でも、1ヘクタール以上の土地(都市計画区域外)の売買であれば都道府県知事への届け出が義務づけられているが、1ヘクタール未満の土地の場合はそもそも届け出義務がなく、外国資本による水源地買収を把握する制度すらない。

産経新聞 2009.5.12 23:36
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090512/biz0905122342041-n1.htm

水利使用許可の判断基準

2009-10-23 | 中川氏早期着目:水利権
 大きく分けて、以下の4つがあります。

(1)公共の福祉の増進

水利使用の目的及び事業内容が、国民経済の発展及び国民生活の向上に寄与し、公共の福祉の増進に資するものであること。

審査に当たっては、水利使用に係る事業計画の国民生活や産業活動への影響、国土開発、水資源開発、電源開発、土地改良等に関する国又は地方の計画との整合性、河川水以外の水源への代替可能性等を勘案し、総合的に判断する必要があります。

(2)実行の確実性

申請者の事業計画が妥当であるとともに、関係法令の許可、申請者の当該事業を遂行するための能力及び信用など、水利使用の実行の確実性が確保されていること。

① 事業計画の妥当性
 水利使用に係る事業計画が、関係法令に基づく許可等を受けているか、又は受ける見込みが確実であり、かつ、当該水利使用の内容が関係法令による許可等に係る事業内容と整合が図られている必要があります。

② 事業の遂行能力
 水利使用の申請者が、事業を遂行する能力及び信用を有すると客観的に判断される者である必要があります。

③ 取水必要量の算定
 水利使用の許可に係る取水量が合理的な根拠に基づいて算定されたものであり、その目的、事業計画等からみて、必要かつ妥当な範囲内のものである必要があります。
各種用水についてのその算定の基本的な考え方は次のとおりです。

(Ⅰ)水道用水
(Ⅱ)工業用水(個別事業者の場合)
(Ⅲ)農業用水
(Ⅳ)発電用水

詳しくはこちらを参照

④ 他の水利使用、漁業等との調整
 他の水利使用、漁業等との調整がなされ、当該水利使用により損失を受けるおそれがある者が存する場合には、事前に当該水利使用についてその者の同意を得ておくことが望ましいといえます。

(3)河川流量と取水量との関係

河川の流況等に照らし、河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持に支障を与えることなく安定的に当該水利使用の許可に係る取水を行えるものであること。

① 取水予定量
 取水予定量は、基準渇水流量(10年に1回程度の渇水年における取水予定地点の渇水流量(注5))から、河川の維持流量と他の水利使用者の取水量の双方を満足する水量(正常流量)を控除した水量の範囲内のものである必要があります。
 河川には「河川が適正に利用され及び流水の正常な機能が維持され、及び河川環境の整備と保全がされる」(法第1条)ための流量(正常流量)が確保されなければなりませんが、「河川が適正に利用され」る流量とは、各利水者の取水に係る流量であり、「流水の正常な機能が維持され」る流量とは、通常、「河川維持流量」と称されるものです。
 「河川維持流量」とは、塩害防止、各種排水の希釈浄化、河道の維持、河口埋塞防止、水生動植物の生存繁殖等、河川に関する公利の確保、公害の除去若しくは軽減のため流水の果す機能を確保するための流量をいいます。

○ 維持流量の必要性
  (A) 河川流水の管理…流水占用、舟運、漁業、観光、河川管理施設の保護、地下水の維持
  (B) 河川環境の保全…流水の清潔の保持、塩害の防止、河口の閉塞の防止
   ○ 維持流量=f(流域面積、平水量、開発水量、都市開発度、河川の汚濁化の程度、下水道整備率、etc.)


 (注5)渇水流量とは…年間を通じて355日を下回らない程度の流量値をいいます。②参照。

② 河川流量の測定
 河川を流れる水は刻一刻変化しながら流下しますが、その流下量を一定時間単位で表現したものを「流量」と呼び、次のように分類されています。

最大流量:期間中の最大流入量値
豊水流量:年間を通じて95日を下回らない程度の流量値
平水流量:年間を通じて185日を下回らない程度の流量値
低水流量:年間を通じて275日を下回らない程度の流量値
渇水流量:年間を通じて355日を下回らない程度の流量値
最小流量:期間中の最小流量値

 これら河川流量を測定するため、概ねの河川には流量観測所が設置されています。
 国土交通省及び都道府県が河川管理上の必要性から設置したものの外、経済産業省、農林水産省が利水調査のため設置したもの、あるいは利水者が利水地点において設置しているもの等があります。

③ 河川の流量資料
(Ⅰ) 取水予定地点の流量
 取水行為を行おうとする場合、取水予定地点において取水予定量が存在するか、また、関係河川使用者の取水量への影響の有無の検討がなされなければなりません。
 この検討のためには、取水地点における流量資料が必要になりますが、取水予定地点において長期の実測流量資料が存在することは稀有であり、ある地点における長期の実測流量資料から取水予定地点の河川流量の推定を行う必要があります。

(Ⅱ) 推定方法
 流量の推定を行う場合、取水予定地点の河川流量に最も類似した流量資料を用いる必要がありますが、類似性の判断は、降雨量、地形等で行い、推定による計算流量と取水予定地点の短期間の実測との間の相関度を検討しておかなければなりません。
 採用するに値する流量資料がない場合は、降雨資料から推定することも可能ですが、相関性は河川流量からの推定による場合よりも一般的に低いといえます。
 このように、いずれかの地点における取水予定河川の比流量から取水予定地点における流量を推定します。これらを含めて、推定によって求められた流量は、推定方法が妥当である旨の検証等のチェックが必要です。例えば、流域比換算による推定の場合は、取水予定地点との同時流量観測あるいは流量と降雨量の相関等のチェックが必要です。

④ 基準地点
 以上により、同一河川において少なくとも1~2地点の流量資料が準備されることとなります。この場合、これは、取水予定量存在の確認のための資料であり、一方、関係河川使用者の取水量に対する影響の計算のための資料となります。関係河川使用者の取水量に対する影響の計算は任意の地点をセットして検討します。この地点を基準地点といいます。基準地点における流量は、取水予定地点における流量推定と同一の推定方法であり、また、同一河川に先発水利権がある場合、その基準点として使用された地点の影響範囲内であれば原則としてその地点での検討が必要です。

⑤ 基準年及び基準渇水流量
 取水予定地点における河川流量のうち10箇年の渇水流量値を抽出し、そのうち最小値年を基準年とします。
 この最小値の渇水流量を基準渇水流量といい、河川維持流量、取水予定量及び関係河川使用者の取水量がこの範囲内に存する必要があります。

基準渇水流量-(河川維持流量+関係河川使用者取水量)-取水予定量≧0

 これは、一般に各河川使用者が円満に取水することができる限界の水量であるという河川管理上の経験的事実に基づくものです。すなわち、河川の流量を多めに見積もって次々に新たな水利権を付与してゆけば、各河川使用者が十分に取水することができない日が頻繁に起こり、水利権の優先順位を侵してわれ先に取水するというような水利秩序の混乱が生じ、ついには、干害によって一部河川使用者が致命的な打撃を被ることとなります。
 一方、河川の流量の査定を厳しくして、過度に取水を抑制すれば、通常利用し得べき水資源を徒らに海に放流することとなります。その調整点として、最近10箇年における最小渇水流量をその河川の流量と定めて、その上に水利秩序を樹立するという行政慣習が確立されてきました。ダム補給の場合は、補給容量の最大値年を基準年とするのが通例です。
日本の河川における低水流量は、その大部分が農業用水に先占され、若干の余裕も都市用水に利用し尽くされているのが実状です。こうして、渇水流量に余裕のない河川を、通常、パンク河川と称しています。渇水流量に余裕がないとは、通常においてその河川に流水がないという意味ではなく、ひとたび渇水年に至れば取水困難や塩水遡上等の被害が発生することをいいます。
 こうした河川において、新たに取水行為を行おうとする場合には、基準渇水流量を増量するための手段、あるいは渇水期に取水しなくても良いような手段を講ずる必要があります。
 基準渇水流量を増加するためには、ダム等の水資源開発施設において豊水時に流水を貯留し、渇水時に放流する方法が一般的に採られています。

(4)公益上の支障の有無

流水の占用のためのダム、堰、水門等の工作物の新築等が法第26条第1項(工作物の新築等の許可)の審査基準を満たしているなど、当該水利使用により治水上その他の公益上の支障を生じるおそれがないこと。

 水利使用に係る土地の占用及び工作物の新築等は、当該水利使用の目的を達成するために必要な最小限度のものである必要があります。
 また、水利使用に係る土地の占用及び工作物の新築等によって、例えば河川区域外に置される土捨場の崩壊による災害、水利使用に伴う排水による流水の汚濁などがあってはなりません。

以 上

国土交通省 水利権について 3.水利使用許可の判断基準
http://www.mlit.go.jp/river/riyou/main/suiriken/seido/suiriken3-2.html

水利権申請の手続

2009-10-23 | 中川氏早期着目:水利権
(1)水利権申請の手続における原則

① 事前申請の原則
 流水の占用(水利権)の許可は、流水を占用しようとする者の申請に基づいて行われます。そのために、流水を占用(具体的には取水など)しようとする者は、あらかじめ河川管理者に対して流水占用の許可の申請を行わなければなりません(法第23条)。

② 同時申請の原則
 通常流水を占用するには、河川区域内に、ダム、堰等の施設を設けて行われます。また、河床を掘削し、ダム等の基礎地盤の掘削によって生じた土石を河川区域内に捨てる場合もあります。このような場合、河川法上、流水の占用の許可(法第23条)の外、土地の占用の許可(法第24条)、工作物の新築等の許可(法第26条)、河川保全区域における行為の許可(法第55条第1項)などを受ける必要があります。
 これらの一連の許可は、流水の占用を行うために必要な手続であり、流水の占用及びこれらの行為の全体は一つの事業であること、更に河川管理上からも同時に進める必要があることから、施行規則第39条により、全て同時に申請を行わなければならないとする同時申請の原則を明らかにしています。

③ その他の原則
 水利権は、河川法上の河川の流水を占用する権利に限定されています。従って、河川法上の河川でない普通河川(注4)や溜池からの取水、地下水や海水の取水は水利権の対象となりません。ただし、河川の流水は表流水に限られるものでなく、伏流水であっても河川の流水が一時的に伏流しているものは、河川区域の内外を問わず水利権の対象となります。また、河口に近い感潮区域の取水については、河川の流水も取水するものであるから、水利権の対象となります。なお、水力発電に使用した流水を河川に還元される以前に再度使用する場合、河川区域外の取水であっても水利権の対象としています。これは水力発電の水利用が、農業用水や都市用水の水利用と違って、水を消費するものではなく、単に水の位置エネルギーを利用するに過ぎないものであり、発電に使用した後の水利用も河川の流水の利用として取り扱う必要があるためです。
(注4)普通河川とは…一級水系、二級水系若しくは準用水系以外の水系に係る河川又は一級水系、二級系若しくは準用水系に係る河川のうち河川法の適用若しくは準用される河川として指定されなかったものです。
 普通河川の管理は、地方公共団体の条例により行われますが、条例の制定されていないものについては、国有財産法の規定に基づく財産管理が行われます。

(2)水利権の許可権者

 水利使用は、a)「特定水利使用」、b)「準特定水利使用」及びc)「その他の水利使用」に分類されます。

a) 特定水利使用(施行令第2条第3号)
(イ) 発電のためにするもの
(ロ) 取水量が一日につき最大2,500m3以上又は給水人口が1万人以上の水道のためにするもの
(ハ) 取水量が一日につき最大2,500m3以上の鉱工業用水道のためにするもの
(ニ) 取水量が一秒につき最大1m3以上又はかんがい面積が300ha以上のかんがいのためにするもの

b) 準特定水利使用(施行令第20条の2)
(イ) 取水量が一日につき最大1,200m3以上又は給水人口が5千人以上の水道のためにするもの
(ロ) 取水量が一秒につき最大0.3m3以上又はかんがい面積が100ha以上のかんがいのためにするもの
(ハ) 取水量が一日につき最大1,200m3以上の水利使用であって、水道又はかんがい以外のためにするもの

c) その他の水利使用  a)、b)以外の水利使用

① 一級河川における許可権者
a) 特定水利使用
 一級河川(国土交通大臣が指定)における特定水利使用に関しては、指定区間の内外を問わず、許可権者は国土交通大臣です(法第98条、施行令第53条及び施行規則第37条の2に基づき一定の許可権限は地方整備局長又は北海道開発局長に委任されています。)。
 なお、国土交通大臣は、特定水利使用に係る処分をしようとするときは、関係行政機関の長(上水については、厚生労働大臣、工業用水及び発電については、経済産業大臣、農業用水については、農林水産大臣)に協議(法第35条第1項)し、関係都道府県知事の意見を聴取(法第36条第1項)することとされています。

b) 準特定水利使用
イ) 指定区間外 地方整備局長及び北海道開発局長
ロ) 指定区間内 都道府県知事又は指定都市の長
 ただし、指定区間の都道府県知事又は指定都市の長が行う処分に際し、国土交通大臣の認可が必要です(認可権限は地方整備局長及び北海道開発局長に委任されています。)。なお、指定都市の長が行う当該処分にあっては、あらかじめ関係都道府県知事の意見を聴かなければなりません(法第36条第3項)。

c) その他の水利使用
イ) 指定区間外 地方整備局長及び北海道開発局長
ロ) 指定区間内 都道府県知事又は指定都市の長

② 二級河川における許可権者
 二級河川(都道府県知事が指定)における流水の占用の許可権者は都道府県知事又は指定都市の長ですが、特定水利使用に係る水利使用については、その処分に当たって、国土交通大臣に協議しその同意を得る必要がある(法第79条第2項)とともに、都道府県知事にあっては関係市町村長(法第36条第2項)に、指定都市の長にあっては関係都道府県知事及び関係市町村長(法第36条第4項)に、あらかじめ意見を聴かなければなりません。なお、国土交通大臣は、都道府県知事又は指定都市の長からの当該協議の申請に対する処分を行う場合には、関係行政機関の長に協議(法第35条第1項)しなければなりません。

③ 準用河川における許可権者
 準用河川(市町村長が指定)における流水の占用の許可権者は、市町村長です(法第100条、施行令第55条、第56条)。
 準用河川については、河川法では二級河川の規定が準用されますが、流水の占用許可の手続(法第35条第1項、第36条第2項及び第79条第2項第4号)については、準用されません(法第100条、施行令第56条)。

④ 普通河川の場合
 普通河川における流水占用は、河川法の適用を受けません。しかし、ダム、調節池等によって多量の貯留を行い、又は取水が行われると、法河川の管理上著しく影響を受けることがあります。このような場合は、できる限り水利権の申請の時点までに河川指定の手続を行うよう指導しています。
 なお、河川指定の際、既に普通河川管理条例による許可等による権原に基づいて普通河川の流水を占用している者は、許可を受けたものとみなされます(法第87条)。

(3)関係河川使用者との調整

 河川管理者は、水利使用許可申請があった場合においては、当該水利使用により損失を受けないことが明らかである関係河川使用者及び当該水利使用について同意をした関係河川使用者を除き、関係河川使用者(既得水利権者及び漁業権者)にその旨を通知しなければなりません(法第38条)。通知を受けた者は、その者が受ける損失を明らかにして、河川管理者に意見を申し出ることができます(法第39条)。河川管理者は、損失を受ける者がある場合には、関係河川使用者のすべての同意があるとき、新規の水利使用の公益性が相対的に著しく大きいとき又は損失防止施設を設置すれば支障がないときでなければ、許可することはできません(法第40条)。これらの河川の水利使用に関する調整手続は、複数の新旧水利使用による紛争を未然に防止する見地から設けられているものですが、実際の運用においては、申請者は、損失が発生すると認められる場合には、殆どの場合、許可申請に先立って関係河川使用者の同意を得ることとしているので、河川管理者自ら水利調整に乗り出すケースは少ないといえます。

国土交通省 水利権について 2.水利権申請の手続
http://www.mlit.go.jp/river/riyou/main/suiriken/seido/suiriken2-2.html