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Retro-gaming and so on

Eye of the Beholder

レトロRPGでベスト3の中に入れられるかどうか、ってのは分からないんだけど、個人的には割に大好きなRPGである。
何故大好きなのにベスト3に入れないのか?
それは、このゲームは、システム的にはAD&D第二版のシステムを借りてきながら、実はそのシステムに忠実じゃない、からだ。
そこが、ゲームとしてはすげぇ面白いんだけど気に食わない(笑)。こだわりがあるのだよ。

1987年にATARI 520 ST向けに発売されたDungeon Masterと言うRPGがあって、このゲームは当時衝撃的だった。スーファミではマウスでプレイ出来なかったせいで、イマイチ売れなかったようだが、一方、やっぱり「通」って言われる層には凄くウケてた模様。



そしてこのゲームのせいで、いくつかエピゴーネンが生まれた。このEye of the Beholderはそういうエピゴーネンの一つで、そのせいで、AD&D第二版の「良さ」が失われたようなゲームになっている。
が。
単純なダンジョンクロールモノとしては凄く良く出来てて面白いのだ。だから困っちゃうのだ(笑)。
言わば、AD&D第二版+Dungeon Master、と言うのが大雑把に言うとEye of the Beholderである。
そしてそのDungeon Masterの部分。これは当時「リアルタイムRPG」と呼ばれてた。実時間で攻防がある。現在では単純にアクションRPGに分類されてるのだが、要するにターン制RPGではない。AD&DはテーブルトップRPGなので当然ターン制である。要するにその辺で一種「歪み」が生じてるゲームなのだ。
だが。
これが発売された当時のアメリカでは喝采を持って受け入れられたのだ。日本じゃイマイチピンと来ないかもしれないが、1990年代のアメリカじゃあ割とバカ売れしたゲームだった模様だ。


ストーリー。
フォーゴトンレルムの一地方都市、ウォーターディープに不穏な動きがあった。
ウォーターディープの領主は冒険者を雇い、取り敢えず街の地下の探索を命ずる。


ところが、これを感知した「敵」は冒険者一行を地下に閉じ込めてしまう。


冒険者一行は、そのため、ウォーターディープの深部へと否が応でも進むしか無くなったのである・・・・・・。

と言うのが前フリで、あとはいわゆるダンジョンモノである。迫りくる敵をバッサバッサとなぎ倒し、深部を目指して、そして「敵のボス」を退治する、と言う話だ。

さて、このゲーム、家庭用ゲーム機だとSFCとメガCDに移植されている。
が。
出来ればこれも、NEC PC-9801版を始めとするPC版でプレイして欲しい。
と言うのも。
実はゲームとして考えると、珍しくPC版の方が家庭用より簡単なのだ。
と言うのも、PC版だと「モディファイヤ」の機能があって、作成するキャラクタのステータスを最大値に上げる事が出来るから、だ。


何故にこんなチート機能が?って思うかもしれない。
しかし、往年のアメリカのCRPGの一部は、こういう機能を実装してた例が多かった。と言うのも、元々このテのゲームの一部は、TRPGのプレイヤー相手の商売を目論んでいたからだ。
つまり、実際、リアルでTRPGをプレイしている人たちの為に、TRPGで使っている自分が愛着を持っているキャラを「CRPGに転送して使える」ようにこういう機能をつけていたんだな。そうすれば、TRPGで使っているキャラの「ステータス」をCRPGに移植出来る。
しかし、実際は、このようにチートに使われる事になっちゃうわけだけど(笑)。
そしてSFC版やメガCD版はこの機能が削除されている。そっちは完全に「サイコロ任せ」でキャラのステータスが決まる。ってこたぁすんげぇ弱いキャラが出来る事もあり、そうすると苦戦必至になるわけだ。Wizardryでお馴染みですな。
特にメイジ/クレリックはWisdomのステータス値によって魔法使用回数が大幅に変わるので、低Wisdomだと魔法を撃つ度に息切れする事になるので致命的なのだ。

あと、プレイする時に気をつけるのがAD&Dのお約束。魔法を使う前には「魔法を覚えて」「休息しないと」魔法が使えないのだ。


「呪文を記憶する」のはメイジスペルを扱えるキャラ用、「呪文を授かる」のはクレリックスペルを扱えるキャラ用だ。ここでスペルレベルに応じた回数分だけ使用可能なスペルを実際に使える状態に持っていく事が出来る。


そして冒険中、適度に休んで体力と共に魔法を回復しないとならない。しかし、リアルタイム制なので、敵は休憩中にも襲ってくる。従って、どうやって安全な場所を探して休憩を取るのか、と言うのがこのゲームでの一つの攻略ポイントとなる。
なお「呪文を書き込む」と言うのはメイジ用の機能である。冒険中に魔法が書き込まれたスクロールが見つかるだろう。そのまま使用しても良いが、もしメイジが未習得の魔法だった場合、メイジのスペルブックにその呪文を書き写すのがこの機能だ。AD&Dでは、メイジはレベルアップしても自然と魔法を習得する事は無いので、これで使用可能呪文を増やしていくわけだ。

あとは冒険するだけ、である。武器アイコンを右クリック(左クリックではない)すれば攻撃するので、ガンガンハック&スラッシュしていけば良い。
ダンジョンに落ちてるアイテムは左クリックで得る事が出来るし、あとはマウスクリックだけでゲームを進める事が出来る。1990年代にはこれが「イケてる」UIの実装だったのだ。


ちなみに、オススメはやっぱりPC-9801版である。なんつっても音楽が良い。
PC-9801版の音楽の作曲は古代祐三氏だそうである。
実は古代祐三氏、個人的にはよう知らんのだが、それでもこのPC-9801版の音楽のデキは素晴らしい。同氏はメガCD版の作曲も行ってる模様だが、デキはPC-9801版の方がハッキリ言って上である。氏の音楽を聴くだけでもPC-9801版をプレイする価値があるだろう。
ただ、入手のし易さから言うと、やはり英語版であるDOS版が一番だろう。そもそもこのゲーム、敵が近づいてくると「物音」が近づいてくる、と言うような緊張感のある演出が成されている。って事はBGMが邪魔だ、と言う事は充分に考えられるので、NO BGMであるDOS版がこのゲームの本懐だ、と言うのならその通りなのである。
所詮ダンジョンクロールなんで、英語で書かれたテキストの意味が分からんでも楽しめるしな(待
現在、DOS版はGOGから入手可能である。


Eye of the Beholderシリーズ全3作がパッケージングされているので大変お得である。
いずれにせよ、オススメ。
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