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経営システム雑考

企業に在籍する経営学博士の雑考

リミット-刑事の現場2

2009-08-29 10:57:21 | 価値連鎖
リミット-刑事の現場2 NHK土曜ドラマ  

世代も価値観もまったく異なる若手&ベテラン刑事が、捜査の限界、警察の限界、人間としての限界などさまざまなリミットに直面し、苦悩しながら戦う姿を描く。

名古屋最大の繁華街を恐怖に落としいれた連続通り魔事件。加藤啓吾(森山未來)は、中央署に赴任早々殺害現場に向かう。そこで凶器を振り回す青年を、危険を恐れず取り押さえる一人のベテラン刑事と出会う。この男こそ犯人逮捕には手段を選ばない「悪魔」と恐れられる梅木拳(武田鉄矢)だった。強引な捜査に反発を覚える啓吾だが、「俺たちの仕事は人を憎むことだ。愛することではない」と梅木は言葉を吐き捨てる。言動は過激だが腕は立つ梅木は、東野課長(杉本哲太)たちから疎まれながらも、一目置かれていた。
やがて啓吾は、市民より組織を守る警察の体質、自分勝手な動機で人をあやめる事件と向き合うたび、仕事への疑問や人間への不信をつのらせる。そしてどこか影がある梅木にひかれていく。そんな中、啓吾の婚約者・茉莉亜(加藤あい)が事件に巻き込まれ、自分の心に制御できない憎悪があることに啓吾は気づく。そしてその犯人が、かつて梅木の最愛の女性を殺した男と同一人物だとわかり、物語は予期せぬ方向へと展開していく――。

今回は「リミット-刑事の現場2」を経営学的に読み解いてみよう。悪魔と恐れられる梅木のケースを考えてみよう。優秀な刑事であった梅木は婚約者の女性をストーカ被害によって失い、服役後出所する犯人を殺すことを心の支えにして刑事を続けている。

ここでは、「恋愛と結婚」を非常に単純化して「投資と回収」というサイクルと仮定することにしよう。梅木のケースの様に結婚直前に婚約者を失うことは、投資完了後=回収直前にサイクルが頓挫するケースであり、被害としては最大のケースである。

企業組織であれば有限責任の原則によってマイナスは一定限度以内であるが、梅木の婚約者に対する道義責任は無限責任であろう。そして、無期懲役であれば梅木と犯人の再会は無かったが、有期刑であったために18年後の出所で犯人と向き合わなければならない稀なケースである。

投資段階での中断によって負の資産が残った場合、目標地点を変更し負の資産が正の投資となるような新たなプランへの切り替えが望ましい。負の資産をコストと割り切り、撤退や破産の方策もある。しかし、ドラマの梅木は撤退も破産もせず、無限責任を自らに課し、新たなプラン=出所後の犯人を殺すことを心に定め刑事を続けている。

「故人の冥福を祈る」という行為は、悲しみと憎しみを含む無限責任に区切りを付け、新たな目標へ向かわせる切り替えの行為でもある。
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