果てのある路

ささやかな想いをエッセイで…

2017年の読書

2017-12-31 15:45:46 | 読書関連
今年は、近年で最もゆったりと読書に浸れた年だった。
読書メーターに記録したのは25冊だが、
他に映画を観た後に読んだ、コミックス「この世界の片隅に」(こうの史代)も良かった。
その他、記録はしていないが再読した本も多い。


 その中から、マイベスト10。

第1位 「日本人の叡智」 磯田道史

第2位 「浮世の画家」 カズオ・イシグロ
    「わたしを離さないで」 同上

第4位 「日の名残り」 カズオ・イシグロ

第5位 「対岸の彼女」 角田道代
    「彼女のこんだて帖」 同上

第7位 「あきない世傳・金と銀」3・4巻 髙田郁

第9位 「劇場」 又吉直樹
    「東京百景」 同上
    「第2図書係補佐」 同上


ノーベル文学賞を受賞したイシグロは、さすがの高レベル。
日本人として生まれ、5歳からイギリスで育ち、成人後イギリスに帰化した境遇が、
作品に広い視野と深い考察、そして品性を与えている。
特に31歳で発表された「浮世の画家」は、
日本語訳(飛田茂雄)の素晴らしさもあって、
昭和20年代前半の日本の心象風景を見事に描出していて、驚嘆した。

世界的に評価の高い「日の名残り」もイギリスの描き方に感嘆したが、
青春文学としても素晴らしい「わたしを離さないで」の方が、私は胸打たれた。
繊細な表現力と緻密な描写によって、深く大きなテーマが、
読み終わってから陰影のように浮かび上がってくるのが凄い。
純文学の底力を、見せられた思いがする。

そして、そのイシグロ作品をも凌ぐ感動を得たのが、
歴史に埋もれさせたくない98人の人生を紹介した「日本人の叡智」。
『はじめに』から『あとがき』にいたるまで、
誠実にして明晰、かつ滋味に富む著者の文体に魅了された。
読後感の爽快さが素晴らしい。




私にとって2017年は、京都近代美術館「ハイジュエリーと超絶技巧展」、
愛知県美術館「大エルミタージュ展」
三菱一号館美術館「ダ・ヴィンチとミケランジェロ展」
先日書いた「長沢芦雪展」など、美術展めぐりや旅行も多く、
楽しい一年だった。
感謝を込めて、行く年を送り、来る年を迎えたい。

皆様も、どうぞ良いお年を。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 英雄たちの選択『宮沢賢治~... | トップ | 平昌五輪の余韻 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。