果てのある路

ささやかな想いをエッセイで…

芦雪の虎

2017-10-24 09:42:09 | つぶやき
愛知県美術館で『長沢芦雪展』を観てきた。

(18世紀京都画壇を愛好する長女が、付きっきりで寄り添い、
 尋ねれば小声で解説してくれて、楽しかった。)

芦雪は生涯も短かったため、てっきり寡作だと思っていたが、
実は多作で、遊び心に満ち、けっこう豪放な人物だと知って驚いた。


 私が芦雪を知ったのは、10年前だ。
 プライスコレクション展にて、
 蕪村・応挙・若冲・蕭白らはもちろん、
 琳派諸氏の煌びやかで鮮やかなデザインにも魅了された中、
 最も心を射貫かれたのが、芦雪の「虎」だった。

 本物と見紛うほどの、見事な毛皮の筆致。
 溢れる躍動美と、生命に宿る愛嬌。
 画家の素直な人間性が伝わってくる、一幅の彩色画だった。


今回の目玉は、紀州串本・無量寺の襖絵。
奥の仏間から両脇へ躍り出て、対峙する竜虎。
墨絵ながら、流石の迫力だ。

この「虎」が、池の鯉から視た猫の姿をモチーフにしているという。

芦雪の描く子どもと子犬は、非常に愛らしく魅力に富む。
その一方で、猫と亀はおそらく嫌いだったのだろう、
筆致や観察が粗雑な印象を受ける。

でも、無量寺の「虎」こそ、猫本来の姿を的確に捉えているのではないか。

毎晩、私の枕元にやってくるまりニャン(最近ますます貫禄が増した)を下から見上げた姿は、まさしく無量寺の「虎」だから。
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NHKザ・プロファイラー『葛飾北斎』

2017-10-06 14:38:49 | エニアグラム
数年前に観たことのある番組の、再放送。
岡田准一の風貌からして、2015年くらいだったろうか。


 葛飾北斎の、絵画に取り憑かれた一生。

金銭感覚が無く、人付き合いも下手で、
生活者としては破綻した暮らしを生涯に渉って送りながら、
70歳過ぎに不朽の名作『富嶽三十六景』を描き、
その後も果敢な挑戦を繰り返し、
90歳で没する直前まで絵筆を握り続けたという偉才。

巨才の持ち主のエニアグラムタイプは、推測し難いものがあるが、
ヒエラルキーを一顧だにしなかったという点から、
 タイプ1と2の境界線、4と5の境界線、7と8の境界線
のどれかであることには違いない。(※過去記事参照)

完全主義の1と2の境界線は、あり得ないし、
思慮深い4と5の境界線も、また違う。
おそらく、豪放磊落な7と8の境界線だったろうと、私は思う。


興味深かったのは、司会とコメンテイターの中で唯一、
岡田准一だけが、北斎の心の幸福度を指摘したことだ。

岡田は、境界線ほどではないが4に近いタイプ5だと、
長年のファンである私は、常々思っている。
タイプ3・6・9の要素を持たず、また中庸でもない人たちは、
世の中から見て変人なのかも知れないけれども、
彼らだけが共有できる、高みや幸福度というものは、在るのだ。
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