古書店の片隅で、ひょっこり『八朔の雪』を見付けたのが、ひと月前。
以前から評判は聞いていたが、時代小説や人情噺が苦手な私は、
なんとなく敬遠していた作品だった。
恐る恐る、手に取った一冊。
しかし、一読して、すっかり心を掴まれ、たちまち既刊全八巻を購入した。
ゆっくり味わうように、一日一作ずつ、就寝前に読んでいる。
毎晩、涙で目をはらしながら、心はほんのり温まる。
昨夜、六巻目である『心星ひとつ』を読み終えた。
文化文政時代の江戸・神田を舞台に、
ひたむきに料理に身を尽くす、町娘にして天才料理人の人情物語。
不遇な運命により、ゼロから、
というよりマイナスから出発しながらも、
真心を大切にし、知恵や工夫を凝らして、
艱難辛苦に立ち向かってゆく、主人公の健気さとかいがいしさ。
そこから大きく転換して、
シンデレラストーリーに進展かと思いきや、
まさかの(やはりの)『心星ひとつ』だった。
このシリーズを通して、作者が最も描き、問いたいのは、この、
“身分や権威が、壊してしまう何か”
ではないか、と思った。
(まだ、読んでいる途中ではあるが)
登場人物のほとんど全員に、感情移入できる、血肉の通った設定。
倹しい暮らしの中でも、季節の巡りを楽しみ、
心は豊かだった江戸の庶民たち。
季節感や情景を表す、昔ことばが美しい。
日本語の奥ゆかしさに、思いが馳せる。
作中の、料理を作ったり食べたりする描写が、また圧巻。
たいへん美味しそうで、時節がら、思わず「はてなの飯」を作ってしまったほどだ。
その他、料理のヒントや、和食の基礎、下拵えのコツなども、
教えてもらえて嬉しい、本当に実の多い小説だ。
以前から評判は聞いていたが、時代小説や人情噺が苦手な私は、
なんとなく敬遠していた作品だった。
恐る恐る、手に取った一冊。
しかし、一読して、すっかり心を掴まれ、たちまち既刊全八巻を購入した。
ゆっくり味わうように、一日一作ずつ、就寝前に読んでいる。
毎晩、涙で目をはらしながら、心はほんのり温まる。
昨夜、六巻目である『心星ひとつ』を読み終えた。
文化文政時代の江戸・神田を舞台に、
ひたむきに料理に身を尽くす、町娘にして天才料理人の人情物語。
不遇な運命により、ゼロから、
というよりマイナスから出発しながらも、
真心を大切にし、知恵や工夫を凝らして、
艱難辛苦に立ち向かってゆく、主人公の健気さとかいがいしさ。
そこから大きく転換して、
シンデレラストーリーに進展かと思いきや、
まさかの(やはりの)『心星ひとつ』だった。
このシリーズを通して、作者が最も描き、問いたいのは、この、
“身分や権威が、壊してしまう何か”
ではないか、と思った。
(まだ、読んでいる途中ではあるが)
登場人物のほとんど全員に、感情移入できる、血肉の通った設定。
倹しい暮らしの中でも、季節の巡りを楽しみ、
心は豊かだった江戸の庶民たち。
季節感や情景を表す、昔ことばが美しい。
日本語の奥ゆかしさに、思いが馳せる。
作中の、料理を作ったり食べたりする描写が、また圧巻。
たいへん美味しそうで、時節がら、思わず「はてなの飯」を作ってしまったほどだ。
その他、料理のヒントや、和食の基礎、下拵えのコツなども、
教えてもらえて嬉しい、本当に実の多い小説だ。