**馬耳東風**

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異彩ルネッサンス、天才がぞろぞろ、文明の飛躍

2016-03-26 | 世事諸々
ネサンス待望 (Renaissance)

現代物理学の始祖、ガリレオ・ガリレイがイタリアのピサで生まれたのは1564年、同じ年の4月26日、ウイリアム・シエークスピアがイギリスのストラッドフォードで産声を上げています。文学・演劇史上二人といない俊才で現代劇の礎となる劇作を数多く残しています。

しかし、ガリレオもシエークスピアも、同年生まれで同時代育ちではあっても、生まれも育ちも活躍分野も違ったので、中世の世の中、生存中に面識があったとは思えません。それどころか、おそらく互いにその存在すら知らなかったと思えるのです。二人がどこかで交叉したという記録も形跡もないからです。

シエークスピアが死亡したのは1616年4月23日で、奇遇なことに同年同日、古典文学の名著ドンキホーテの作者、セルバンテスもスペインの片田舎で歿しています。そして同年6月1日、日本で何があったかというと、徳川家康が夕食にてんぷらを食し、食中毒で大往生を遂げています。

何が言いたいかというと、人類の歴史のうねりのどこかで、優れた人材が世界各地に同時多発的に出現し、芸術科学文化全般で、百年に一度、千年に一度の飛躍をもたらす時代があるようだということです。天才達は特に意識することも誇ることもなく十数有余年の生涯を終え、引き潮のように一斉に足跡だけを残して去っていくのです。

そのあとは、凡夫の時代で、同じ種子を繰返し撒く農地のような、文明も文化も連作障害を起し停滞した時代となるようです。

Renaissanceはフランス語で Re=再 naissance=誕生 なので再生と理解されています。ルネッサンスは周知の通り、16―17世紀のヨーロッパで起こった文芸復興と呼ばれているものです。この時期に上に挙げた人達が同時期に生まれ同時代に歿しているのです。ミケランジェロ、レオナルド・ダビンチ、レンブラント、フランシス・ベーコン、ルーベンス、フアン・ダイク、エル・グレコ・・・書き並べることも出来ない程の異才、天才が生まれ、歿しているのです。

再生とは何からの再生か、諸説ありますが、最も考えられるのは紀元前5-3世紀の、人類史上初の、あるいは現代文明で最初の、飛躍の時代ではなかったかと考えられるのです。

釈迦=BC463-383, 孔子=BC551-479、ピタゴラス=BC582-496、ソクラテス=BC469-399、プラトン=427-347年、アリストテレス=BC384-322・・・ と誰でも知っている名前が重なるように同時代を生きています。人類黎明期の文明を築いた始祖達の名前が続くのです。

誰が名付けたかルネッサンスとは時代の要望でもあったのでしょうか。16―17世紀の際立った進歩・発展の時代で説明の必要もないほど誰でも知っていることです。

我々の時代は歴史のうねりのどの位置にいるのか、自明のことだと言う人もいますが、20世紀は、振り返れば第二のルネッサンスだったと述べている人もいるのです。

1903年にライト兄弟がアメリカ・ノースカロライナ州の片田舎で初めて動力飛行機で数百メートルを飛び、そのわずか66年後の1969年にはアポロ11号が月に着陸、ニール・アームストロングとエドウイン・オルドリンが月に降り立ち、人類最初の足跡を月面に残しています。光陰矢のスピードの科学技術の進歩だったのです。

この世紀はまたロケット工学のみならず、文明・科学・芸術・文化の飛躍があり、やはり Renaissance であったかともおもわれるのです。