**馬耳東風**

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盗聴と謀略のすすめ (裏の裏は表)

2015-12-12 | 世事諸々
過日ドイツのメルケル首相がアメリカのCIAに電話盗聴されていた、と怒っている姿がテレビに映されていました、同盟国なのに何故・・・と、しかし本気で怒ってはいなかったようです。

メルケル首相の携帯電話好きは周知のことで、議事堂の会議室でも、通路でも、戸外に出て車に乗り込む前にも、ところ構わず忙しなく電話で話している姿は目撃されているということです。多分トイレの中でも機密の話をしているのだろう、と下世話な憶測もあるそうです。

仄聞するところによると、彼女の電話が多方面から盗聴されているのは彼女自身承知しているとのことで、知らぬふりをしていたものをスクープしたなどと(お節介)には本当に腹を立てていたかも知れません。

電話の盗聴はインターネット・ハッキングなどと比べると旧態然で、簡単なノウハウとサブツールがあれば誰にも容易に何処にでもアクセス可能で、ピーピング(覘き)さながらに見知らぬ他人の会話でも聞くことが出来るのです。

今では電話を盗聴されて国家の重要機密が流出するなど考え難いことで、盗聴されていたと聞いても、多少の不快感はあるにしても悔いるほどのことではないのです。それよりも、それを逆手に取った利用法もあって暗黙の通信ラインと言われているそうです。第三者の盗聴癖を互いに承知していて非公式伝達に利用されているのです。

例えば最近のロシアによるクリミヤ併合問題でもドイツも怒ってはいましたがアメリカほどではなかったようで、アメリカやEU共々ロシアに宣戦布告寸前の強い全面的な経済制裁を加えることにまで同調するつもりはなかったようです。

クリミア問題も重要だが、それにも増して喫緊の国内問題があったのです。独露交易を唐突に断絶してまでアメリカに同調するのはドイツ国内問題として難しい状況だったのです。

当面、天然ガスの継続輸入も必要なら、その対価に輸出する農産物、自動車、機械部品など、このところ港に滞留している品々を一刻も早くロシアに送り出したい、と産業界の強い圧力もあったのです。アメリカもロシアも、誰にとっても(クール・オフ)が必要・・・経済制裁はもう少し緩やかでもいいのでは・・・といった意思の疎通を図りたかったのです。

この複雑な本音をアメリカにもロシアにも直接伝えることは出来ないので、この盗聴ラインを使ったのです。メルケル首相が国会議長や貿易大臣、経済相などと頻繁に携帯電話を使ってやりとりしていた主旨は本音の伝達だったと言われています。残念ながらオバマにもプーチンにもその真意は伝わったにしても無視されたようで、思う通りにはならなかったようです。

古い話ですが、オバマ大統領が就任当時、イタリアの当時の首相、ベルルスコーニが公式の場でオバマ大統領を日焼けした男と悪気もなく言い放ちましたが、オバマは当然立腹していたはずです。

後日、非公式に返事を返しているそうです。ホワイトハウスの団欒の席で閣僚や秘書官らと盗聴談義をしていた折に、「イタリアの首相官邸電話も盗聴していますか?」と秘書官に訊かれて、オバマは「それはないね」と即答し「彼らの話を聞いてもしょうがない、パスタとワインとペニスの話以外はないからね」

この会話は盗聴されていて翌日ベルルスコーニを除くイタリア官邸の職員一同にも届き、大笑いになり、それが遠因でベルルスコーニは失墜する・・とは勿論小話です。外交の支流(ブランチストリーム)でしばしば語られるブラック・ユーモアだそうです。

翻って、日本の外務省にも当然盗聴網はあるはずですが、ユーモアを好まない民族同士(日中韓)なので電話盗聴もギクシャクしとものだろうと想像できます。主流はインターネット盗聴合戦で最近の日韓の首脳会談に折り合いをつけたのもインターネット漏洩による間接的意見交換だったと、漏れ聞いています。首脳同士が腹を割って話すことが出来た(嘘にしても)という時代は、はるかに遠のいているようです。

もっとずっと古い話になりますが、アメリカは日本占領政策を始めた翌日から、CIAが諜報網を日本全土に張り巡らせたそうです。一般民衆の占領政策に対する本音は何か、という定律のほかに反米思想を抱く人物やグループを探る意図があったかも知れません。そのため日本の若者達に幅広く接する常設場所を作ったのです。

名称はアメリカン・ライブラリーというものでしたが、記憶に留めている方も少なくはないでしょう。ライブラリーといっても図書館ではなくサロン風の場所で、GHQ(米占領軍本部)の広報誌や英語の週刊誌などが閲覧自由に置かれていました。日本人の誰でも出入り自由でした。週末に簡単な英会話の会などもあり学生に人気があったようです。ライブラリーに常駐していたのはアメリアカ人の若い男女で高学歴、端整な英語を話すエリート達でCIAの見習いだったのかも知れません。

アメリカン・ライブラリーは全国の都市に点在していて、英会話練習目的にやって来る大学生達の中から本人が自覚しないうちに雇員候補にして育て、後に学生運動のオルグなどに潜入させていた、と噂がありました。

霞ヶ関のどの省庁にもそういった雇員は普通に採用されていたといわれています。フルブライト奨学金などに推薦されて無償でアメリカ留学していた学生の中には、連絡員もどきのCIA雇員やその類がいたとさえ言われています。

現在の日本では沖縄が焦点のようです。中国大陸などから相当数の外国活動家が長期滞在者に紛れて送り込まれているのは周知のことで、米軍基地新設反対運動という格好のテーマがあり、(大衆騒乱)など不穏な動きの蔭には(雇員)が潜んでいる、とこれは隠れもない現実の話ということです。