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熟年オジサンの映画・観劇・読書の感想です。タイトルは『イヴの総て』のミュージカル化『アプローズ』の中の挿入歌です。

おかしな男

2003-09-01 | 読書
私が渥美清のファンになったのは、1961年からNHKテレビで放送されたヴァラエティショー「夢であいましょう」を見てからだった。1968年にフジテレビの連続ドラマでスタートした「男はつらいよ」は熱心には見ていない。
そして、1969年の映画「男はつらいよ」第1作から、亡くなる前年の1995年の「男はつらいよ・寅次郎紅の花」までの48作も、最初のせいぜい10作くらいしか見ていないし、どちらかと言えば、後年1985年にNHKで桃井かおり主演で放送された「花へんろ」(脚本・早坂暁)のナレーターなどのほうが好きだった。
一度だけ渋谷の西武劇場(現PARCO劇場)で、渥美清が関敬六と一緒に観劇に来ているのを偶然見かけたことがあった。出し物は忘れたが、彼のイメージには合わない作品で、意外に感じたことをウッスラと憶えている。
私生活は全く知られていなかったが、色々なジャンルの芝居に興味を示し、劇場では実にしばしば目撃されていることが本書でも実証されている。
小林信彦は若き日の渥美清との出会いと奇妙な関係を、距離感のある観察力と抜群の記憶力で蘇らせ、一般的に流布した「寅さん」伝説は覆される。
田所康雄(本名)>渥美清(芸名)>車寅次郎(役名)を、絶えず意識しながら生きた、われわれが知らなかった【おかしな男】の評伝である。
(2003-9-1 読了 butler)



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