ようこそ劇場へ! Welcome to the Theatre!

熟年オジサンの映画・観劇・読書の感想です。タイトルは『イヴの総て』のミュージカル化『アプローズ』の中の挿入歌です。

『バレンシアの熱い花』『宙FANTASISTA!!』

2007-09-26 | 宝塚歌劇
『バレンシアの熱い花』(作=柴田侑宏、演出=中村暁)
初演は1976年の大劇場だが、僕がこの作品を最初に観たのは、1979年の東京宝塚劇場での再演だった。
当時は今の歌劇団のシステムと違い、男役の2トップ制は当たり前だったように思う。その頃の月組も殆ど3トップ状態で、榛名由梨(フェルナンド侯爵)、順みつき(ラモン)、大地真央(ロドリーゴ伯爵)が主要な役を割り振られていた。
今回は、大和、蘭寿とむ、北翔海莉の布陣で、28年前の三者三様の個性を生かした配役に比べると、3人共スラっとした容姿でステージの並びはキレイだが、なんとなく似通った印象である。

舞台は19世紀初頭のスペインのバレンシア地方。フランスに占領された各地で独立運動が活発化する時代が背景になっている。
前領主の父が、現領主ルカノール侯爵(悠未ひろ)に殺されたことを突き止めたフェルナンド侯爵(大和)の復讐に、恋人シルヴィア(美羽あさひ)を叔父ルカノールに奪われたロドリーゴ伯爵(北翔)と、妹(花影アリス)をルカノールの部下に殺されたフラメンコ酒場の歌手ラモン(蘭寿)が加わり、「黒い天使」を名乗って憎き領主の暗殺を企てる。
この3人に、酒場の歌姫イサベラ(陽月)や、フェルナンドの婚約者マルガリータ(和音美桜)、そして今は領主夫人のシルヴィアの女性陣がからみ、報われない切ない愛が描かれている。

この手のストーリーは、時代を変え場所を変えて、宝塚歌劇でよく見られるパターンであるが、この作品はお手本になるくらい巧く書けている。作者の柴田侑宏は同じ年(1976年)に、名作の誉れの高い『あかねさす紫の花』『星影の人』も発表しており、まさに売り出し中の勢いがあった。
本作でも、同じテーマ曲♪瞳の中の宝石♪(作曲=寺田瀧雄)を、主要キャストがそれぞれが恋する相手に想いを込めて歌い継いでゆく構成などは、宝塚の芝居の王道を行くもので、その典型的な舞台と言える。
大和・陽月は、小顔でスラリとしたコンビで絵面は良いが、歌唱力に難点を残している。それをカバーしているのが、北翔、音乃いずみ、和音美桜の好歌唱である。

『宙FANTASISTA!!』(作・演出=藤井大介)
ビッグバンで宇宙の王子さま(大和)が誕生し、月からスタートする惑星巡りのスペースツアーをレビュー化したものである。
170cm以上の長身男役がズラリと揃った宙組の群舞は、なかなか迫力があって見映えがする。
従来の男役黒燕尾の群舞が、金銀の燕尾になっていたのは宇宙のショーらしくて華やいではいるが、ダンディーな渋さが相殺されてしまった。
(2007-9-23、東京宝塚劇場にて、butler)


最新の画像もっと見る