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熟年オジサンの映画・観劇・読書の感想です。タイトルは『イヴの総て』のミュージカル化『アプローズ』の中の挿入歌です。

めがね

2007-09-28 | 映画
舞台はヘルシンキの『かもめ食堂』から、日本の南の島(ロケ地は与論島)の民宿へと移ったが、相変わらずゆったりとした心地よい時間が流れ、シンプルな料理がたくさん作られて嬉しくなる。

主要登場人物は、3人の女性(小林聡美、もたいまさこ、市川実日子)と2人の男性(光石研、加瀬亮)。
タエコさん(小林)がプロペラ機から南の島の飛行場へ降り立ち、スーツケースを引きずりながら一軒の民宿へ向うところから始まる。
民宿では主人のユージさん(光石)が、折しも三段重ねのお重のお弁当を詰めているが、何と美味しそうなこと!
実は同じ飛行機で、もうひとりサクラさん(もたい)がこの民宿へ到着していたのだが、彼女は春になると必ずこの島へやって来て、梅雨になると帰ってしまうミステリアスな婦人である。海辺の小屋でカキ氷を作っているが、お金をもらっての商売をしている様子はない。
民宿の住人ではないが、島の高校で生物を教えているハルナさん(市川)が、いつもやって来ては食事を一緒にしている。
これで4人。残る一人はタエコさんを追いかけて来たの訳でも、探しに来た訳でもない、関係不明のヨモギくん(加瀬)である。
あと、この民宿にはユージさんが飼っているコージという名の犬がいる。ラストで名前がらみのネタばらしで、ホッコリさせられる映像が用意されている。

この面々は、どういう事情でここに住んでいるのか、またはやって来たのか、どういう素性なのか、はっきりとしたところは何一つ判らない。
唯一の共通項が、みんな「めがね」をかけていることだけ。
携帯電話が通じず、特別に名所も無い島でも、何にもしないで「たそがれる」才能を持った人なら、登場人物の彼らにスンナリと同化出来る。

お味噌汁、サケ、梅干、そしてカリフラワーとピーマンを茹でて塩コショウとオリーブオイルをかけただけのサラダの朝食。美味しそう!
いただき物の肉を焼くバーベキューとビール。美味しそう!
真っ赤に茹で上がった大きな伊勢エビが一人一匹、そしてビール。美味しそう!
それに、海を見ながら食べる「カキ氷」(氷あずき)。美味しそう!

白い砂浜での「メルシー体操」と、心優しい手書きの地図、レトロなマンドリン演奏など、無理強いされない心地よい人間関係があるとすれば、それはこういうことかと思わせるステキな映画である。


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2 コメント

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こんばんは。 (ジョー)
2007-09-29 22:42:18
なにも考えず、ひととき癒される時間を持ちたい。そんなときにぴったりの映画でしたね。
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たそがれる (butler)
2007-10-02 22:48:13
>ジョーさん、

この映画を楽しめた人は、たそがれる才能があるってことでしょうかね?
僕にも、サクラさんのカキ氷を食べる資格がありそうです。
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