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熟年オジサンの映画・観劇・読書の感想です。タイトルは『イヴの総て』のミュージカル化『アプローズ』の中の挿入歌です。

『エル・アルコン -鷹-』『レビュー・オルキス -蘭の星-』

2008-01-27 | 宝塚歌劇
『エル・アルコン -鷹-』(脚本・演出=齋藤吉正)
少女漫画界のベテラン・青池保子の漫画が原作の海洋冒険物語。
次から次に女性を犯し、自分の野心の邪魔立てをする人間は情け容赦なく謀略を計って殺す、悪の権化のような男ティリアン・パーシモンを、男役トップスター・安蘭けいが演じるのですから、いつもの宝塚の甘いラブロマンスとは趣を異にした作品である。逆に、単に嫌な男ではなく、魅力的に演じることが出来るのは、宝塚の男役だけかも知れない。
ただ、ポスト大航海時代の16世紀後半のスペイン、イギリス、フランス、オランダなどが世界の海の覇権を争っていた頃のお話で、スペインのフェリペ2世、イギリスのエリザベス1世も登場してスケールが大きな骨太なストーリーだけに、当時の歴史的背景を事前に把握していないと訳が解らない。

ティリアンは英国名門貴族の御曹司で英国海軍大佐なのだが、実の父親はスペインのスパイだった海軍士官で、ティリアンにはスペイン人の血が流れていることが重要なポイントになっている。
さらに、フランス人の女海賊(遠野あすか)、ティリアンを父の仇と狙う正義感の強い青年(柚希礼音)、そして彼に味方するイギリス海賊(和涼華)等が絡んで、終盤の無敵艦隊が敗北するクライマックスの海戦へと突き進んでゆく。
無敵艦隊を率いるのが、スペインへ亡命したティリアンが艦長の旗艦”エル・アルコン”である。
複雑な時代背景と人間関係を1時間45分で描くのは大変で、英国青年が突然海賊になってしまうなど違和感は拭えず、原作漫画を知らない僕には、あれよあれよの展開だが、原作を知っている読者にはダイジェスト版に見えてしまうことだろう。

『レビュー・オルキス -蘭の星-』(作・演出=草野旦)
サブタイトル”蘭の星”は地球のことで、見ての通りトップスターの安蘭けいと、星組にも懸けたタイトルである。
未来の或る惑星に住む老夫妻(ラゲララ&カトレア)が、今はもう蘭の花が咲かなくなった星(地球)を回想するプロローグから、蘭に関連した場面が主にタンゴのメロディーに乗せて展開してゆく。
今回のショーの見どころは、何と言ってもアルゼンチンのコロン劇場バレエ団の芸術監督、オスカル・アライスが担当した数場面の振付である。
アストル・ピアソラの楽曲で、すでにタンゴの振付実績は証明済みだが、本作でも、妖しい”タンゴ・クラブ”から”夢”への展開、幾組ものカップルによるタンゴの群舞”愛の蘭”から、お約束の”黒燕尾”や”デュエットダンス”への繋がり等、クラシックバレエの要素も生かしていて、いつもの宝塚のショーには見られない新鮮さがある。
それにしても、黒燕尾男役のタンゴに乗せた群舞は、宝塚歌劇の伝統となっているが、まさにドンピシャの相性である。
ラテン系のショーには定評のある草野旦の作品だけに、ショーの流れ、まとまりは手慣れていて、安心して観ていられる。
(2008-1-26、東京宝塚劇場にて、butler)


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2 コメント

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Unknown (クワスト)
2008-02-06 13:34:30
今日は朝起きたらかなみちゃん退団ニュースで目がバッチリさえてしまいました。

上り詰めたら(某Tさん以外は・笑)いずれは卒業、退団なのはわかっていますが、やっぱりさみしいですね。でもかなみちゃんは実力も美貌もあるので、退団後もとっても活躍されるのでは、と楽しみです。

去年かなみちゃんの舞台を観ることができて本当によかったです。ありがとうございました。
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かなみちゃん (butler)
2008-02-08 11:28:34
>クワストさん、

トップコンビの同時退団かと思っていましたから、本当にビックリです。
これで益々「ミーマイ」チケット入手困難になりますね。(涙)
あさこさんの後添えは誰になるんでしょうね。
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