仙台臨海鉄道沿線で育った私にとって、聞き慣れたDLのエンジン音といえば、SD55101〜103のそれであった。
拙Youtube動画へのリンク①
拙Youtube動画へのリンク②
SD55101〜103は後述のとおり、DMF31SDIという形式のエンジンを搭載している。
DMF31SDI搭載DLの特徴は、力行時の「キィーン」という音にあると筆者は思う。
(DMF31SB系エンジンを搭載したDLとは明らかに異なる音である。)
以下に示すとおり、DMF31SDIは平成初期に新製または機関換装された、新潟鐵工所(以下、新潟)製の民鉄向けDLに搭載されている傾向がある。
本記事では、鉄道雑誌およびWeb上の公式情報を元に、DMF31SDIを搭載したDLについて会社別に整理する。参考文献については記事の最後にまとめて示している。
【岩手開発鉄道】
新潟製のDD5601、DD5651〜53が在籍する。
[2]pp.58-59「私鉄ディーゼル機関車一覧表(平成6年末在籍車)」によると、在籍車の搭載機関は
DD5601/52・・・DMF31SBI
DD5651/53・・・DMF31SDI
となっている。
また、[2]p.52のDD5651〜53の項に「平成5年から順次直噴式機関への換装工事が施工されている」との記載があることから、この時期からDMF31SDIへの換装が実施された模様である。
同社公式サイト(2021年11月閲覧)によると、
動力車 内燃機関車4両
・2両 新潟DMF31SDI×2 1200ps/1500rpm
・2両 新潟6L16CX×2 1200ps/1500rpm
とある。さらに、2021年10月14日付の同社公式ツイートによると、DD5651およびDD5653は近年再び機関換装を実施、DD5601も2021年10月時点で施工中の模様である。
これらの情報をまとめると、DD5651およびDD5653は6L16CXに換装済、DD5601はDMF31SDIから機関換装を施工中であり、DD5652のみDMF31SDI搭載で残っているということになる。
ちなみに「ニイガタディーゼル生誕100年記念サイト」によると、6L16CXは「船舶用として開発」とあり、鉄道専用形式ではないようである。これは「DD55」タイプが生き延びるひとつの道なのかもしれない。
【仙台臨海鉄道】
DMF31SDI搭載のSD55101を新潟で新製し、平成7年に導入している[2]。
その後、平成9年から平成10年にかけてDD551およびDD552(ともに新潟製)がDMF31SBから(2023.3追記参照)DMF31SDIに換装され、それぞれSD55103、102となっている[3]。
ちなみに、元国鉄のDD5511はDMF31SB、元鹿島臨海のDD5512は、他のKRD形と同じくDMF31Zを搭載している[2]。(残念ながら筆者は彼らのエンジン音を聞いた記憶がない。)
また、SD55105(←京葉KD55105)について、京葉臨海時代にDMF31SDIに機関換装しているという記述[4]も見られるが、これについては【京葉臨海鉄道】の項で述べる通り疑問が残る。
△SD55101の製造銘板。落成は平成6年?(2005年撮影)
△機関室の点検口を開放したSD55102。(2005年撮影)
<2023.3追記>
仙台臨海DD551・2の搭載機関については、[2][3]ではDMF31SBとなっているが、[5][6]ではDMF31Zとなっている。
機関出力はDMF31SBが500PS/1500rpm、DMF31Zが550PS/1500rpmであり[2]、後者の方が大きい。
[5]には次の記述がある。
「開業にあたって新製のDD55機関車は新潟鉄工所に依頼、機関はDMF31Z変速機はDBSFG138型として当社の構内作業及び業務量に適合した性能・機能を有する設計として速度をおさえて出力を重視した機関車として新製した。(56トン・1100PS)」(筆者注:550PS × 2 = 1100PS)
新潟製DLでDMF31Zを搭載している例としては、後述の福島臨海DD553が挙げられる[2][3]。
[2]により製造年を比較すると、DMF31SB搭載の福島臨海DD552が昭和45年、仙台臨海DD551・2は昭和46年、DMF31Z搭載の福島臨海DD553が昭和48年である。
<追記ここまで>
【福島臨海鉄道】
新潟製DD5601が、平成8年にDMF31SBIからDMF31SDIに換装され、DD561と改番されている([2]p.53、p.58)。
同じく新潟製のDD553は、平成24年に機関換装を実施しDD5531に改番されているが[4]、時期的にDMF31SDIへの換装とは考えにくい。
【京葉臨海鉄道】
仙台臨海と同じく、平成初期に新潟製DLを新製導入している。
該当するのはKD55102(平成4年入籍)およびKD55201(平成7年入籍)であり、いずれもDMF31SDI搭載である[2][3]。
自社発注車KD5510および元国鉄DD13のKD5513・15は、平成初期に機関換装を実施し、それぞれKD55101・103・105と改番されている。
しかしながら、換装後の機関に関する記述は以下に示す通り文献により一定しない。
[1] p.23 KD55101・・・DMF31SDI
[2]p.58 KD55101/103/105・・・DMF31ZD
[3]p.55 KD55101・・・DMF31ZD KD55103/105・・・DMF31SDI
主観的な記述になるが、Youtube動画でKD55103およびSD55105(←KD55105)のエンジン音を聞いた限りでは、DMF31SDIのものとは異なるというのが筆者の感想である。
以上、DMF31SDI搭載DLに関する情報を羅列的に紹介した。
今後も関連する新たな情報が見つかり次第、記事を追加してきたい。
<2023.1>「DMF31SDI搭載DLの整理 2021〜2022年の動向」を投稿しました。
<参考文献>
[1] 鉄道ピクトリアル 1993年3月号 特集「臨海鉄道」
[2] 鉄道ピクトリアル 1996年5月号 特集「ディーゼル機関車」
[3] 鉄道ピクトリアル 2007年12月号 特集「DD13・14・15形」
[4] 鉄道ピクトリアル 2014年7月号 特集「ディーゼル機関車」
[5] 仙台臨海鉄道のあゆみ(20年間の資料を中心として) 仙台臨海鉄道株式会社 1990年
[6] RAILFAN 1984年1月号(No. 362) 鉄道友の会
拙Youtube動画へのリンク①
拙Youtube動画へのリンク②
SD55101〜103は後述のとおり、DMF31SDIという形式のエンジンを搭載している。
DMF31SDI搭載DLの特徴は、力行時の「キィーン」という音にあると筆者は思う。
(DMF31SB系エンジンを搭載したDLとは明らかに異なる音である。)
以下に示すとおり、DMF31SDIは平成初期に新製または機関換装された、新潟鐵工所(以下、新潟)製の民鉄向けDLに搭載されている傾向がある。
本記事では、鉄道雑誌およびWeb上の公式情報を元に、DMF31SDIを搭載したDLについて会社別に整理する。参考文献については記事の最後にまとめて示している。
【岩手開発鉄道】
新潟製のDD5601、DD5651〜53が在籍する。
[2]pp.58-59「私鉄ディーゼル機関車一覧表(平成6年末在籍車)」によると、在籍車の搭載機関は
DD5601/52・・・DMF31SBI
DD5651/53・・・DMF31SDI
となっている。
また、[2]p.52のDD5651〜53の項に「平成5年から順次直噴式機関への換装工事が施工されている」との記載があることから、この時期からDMF31SDIへの換装が実施された模様である。
同社公式サイト(2021年11月閲覧)によると、
動力車 内燃機関車4両
・2両 新潟DMF31SDI×2 1200ps/1500rpm
・2両 新潟6L16CX×2 1200ps/1500rpm
とある。さらに、2021年10月14日付の同社公式ツイートによると、DD5651およびDD5653は近年再び機関換装を実施、DD5601も2021年10月時点で施工中の模様である。
これらの情報をまとめると、DD5651およびDD5653は6L16CXに換装済、DD5601はDMF31SDIから機関換装を施工中であり、DD5652のみDMF31SDI搭載で残っているということになる。
ちなみに「ニイガタディーゼル生誕100年記念サイト」によると、6L16CXは「船舶用として開発」とあり、鉄道専用形式ではないようである。これは「DD55」タイプが生き延びるひとつの道なのかもしれない。
【仙台臨海鉄道】
DMF31SDI搭載のSD55101を新潟で新製し、平成7年に導入している[2]。
その後、平成9年から平成10年にかけてDD551およびDD552(ともに新潟製)が
ちなみに、元国鉄のDD5511はDMF31SB、元鹿島臨海のDD5512は、他のKRD形と同じくDMF31Zを搭載している[2]。(残念ながら筆者は彼らのエンジン音を聞いた記憶がない。)
また、SD55105(←京葉KD55105)について、京葉臨海時代にDMF31SDIに機関換装しているという記述[4]も見られるが、これについては【京葉臨海鉄道】の項で述べる通り疑問が残る。
△SD55101の製造銘板。落成は平成6年?(2005年撮影)
△機関室の点検口を開放したSD55102。(2005年撮影)
<2023.3追記>
仙台臨海DD551・2の搭載機関については、[2][3]ではDMF31SBとなっているが、[5][6]ではDMF31Zとなっている。
機関出力はDMF31SBが500PS/1500rpm、DMF31Zが550PS/1500rpmであり[2]、後者の方が大きい。
[5]には次の記述がある。
「開業にあたって新製のDD55機関車は新潟鉄工所に依頼、機関はDMF31Z変速機はDBSFG138型として当社の構内作業及び業務量に適合した性能・機能を有する設計として速度をおさえて出力を重視した機関車として新製した。(56トン・1100PS)」(筆者注:550PS × 2 = 1100PS)
新潟製DLでDMF31Zを搭載している例としては、後述の福島臨海DD553が挙げられる[2][3]。
[2]により製造年を比較すると、DMF31SB搭載の福島臨海DD552が昭和45年、仙台臨海DD551・2は昭和46年、DMF31Z搭載の福島臨海DD553が昭和48年である。
<追記ここまで>
【福島臨海鉄道】
新潟製DD5601が、平成8年にDMF31SBIからDMF31SDIに換装され、DD561と改番されている([2]p.53、p.58)。
同じく新潟製のDD553は、平成24年に機関換装を実施しDD5531に改番されているが[4]、時期的にDMF31SDIへの換装とは考えにくい。
【京葉臨海鉄道】
仙台臨海と同じく、平成初期に新潟製DLを新製導入している。
該当するのはKD55102(平成4年入籍)およびKD55201(平成7年入籍)であり、いずれもDMF31SDI搭載である[2][3]。
自社発注車KD5510および元国鉄DD13のKD5513・15は、平成初期に機関換装を実施し、それぞれKD55101・103・105と改番されている。
しかしながら、換装後の機関に関する記述は以下に示す通り文献により一定しない。
[1] p.23 KD55101・・・DMF31SDI
[2]p.58 KD55101/103/105・・・DMF31ZD
[3]p.55 KD55101・・・DMF31ZD KD55103/105・・・DMF31SDI
主観的な記述になるが、Youtube動画でKD55103およびSD55105(←KD55105)のエンジン音を聞いた限りでは、DMF31SDIのものとは異なるというのが筆者の感想である。
以上、DMF31SDI搭載DLに関する情報を羅列的に紹介した。
今後も関連する新たな情報が見つかり次第、記事を追加してきたい。
<2023.1>「DMF31SDI搭載DLの整理 2021〜2022年の動向」を投稿しました。
<参考文献>
[1] 鉄道ピクトリアル 1993年3月号 特集「臨海鉄道」
[2] 鉄道ピクトリアル 1996年5月号 特集「ディーゼル機関車」
[3] 鉄道ピクトリアル 2007年12月号 特集「DD13・14・15形」
[4] 鉄道ピクトリアル 2014年7月号 特集「ディーゼル機関車」
[5] 仙台臨海鉄道のあゆみ(20年間の資料を中心として) 仙台臨海鉄道株式会社 1990年
[6] RAILFAN 1984年1月号(No. 362) 鉄道友の会