宮城野貨物支線

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古い地図より 水江線の平面交差

2021-10-03 17:33:50 | 地図・航空写真

昭文社「日本地図帳」(1983)より。
この地図帳の巻末には主要都市の詳細図が掲載されており、今は姿を消してしまった専用線群の多くを見ることができる。川崎市臨港地区の専用線群もそのひとつであるが、地図を眺めていておもしろい配線があることに気がついた。

地図には、浜川崎駅から高速道路に沿って塩浜(二)(三)付近へ伸びる線路が描かれており、これが塩浜操車場へ至る東海道貨物線と思われる。さらに、塩浜操車場から水江町へと至る神奈川臨海鉄道水江線と思われる線路を見てとることができる。
この水江線と、日本鋼管川崎製鉄所付近から東洋硝子へと伸びる引込線が平面交差しているのである。

調べたところ、「トワイライトゾ〜ン MEMORIES 1」にこの平面交差についての記事があった。
鉄道の平面交差は日本においてもいくつかの例があるが、ここの平面交差は水江線のレールにフランジウェイが無く、引込線の列車が水江線のレールを乗り越すという特殊な方式であったようだ。(乗越分岐器の平面交差版といえばわかりやすいだろうか。)

なお、上に掲載した地図には、塩浜(三)付近から東海道貨物線に合流(注:作図上の都合で実際には並行していたものと思われる)し、池上町付近で分岐する線路が描かれている。これが塩浜操接続の日本鋼管専用鉄道と思われるが、東洋硝子への引込線はこの専用鉄道から分岐する形で描かれており、水江線とは独立している。
一方で、「トワイライトゾ〜ン MEMORIES 1」には読者投稿による1987年時点の配線図が掲載されているが、それは上の配線とは異なり、日本鋼管専用鉄道ではなく水江線に接続する形になっている。
配線としては、水江町駅側から塩浜操方面へのカーブが始まるあたりで直線のまま進む引上線が分岐し、上の地図では日本鋼管方面へ向かっている東洋硝子からの線路はこの引上線に合流する形となり、引上線の終端でスイッチバックして水江町と東洋硝子を結ぶ形になっている。(ちょうど、水江線、引上線、東洋硝子への引込線でデルタ線のような形を成している。)
実際に配線の変更があったのか、はたまた単なる作図の誤りなのか、詳細は不明である。

なお、この「東洋硝子への引込線」は「トワイライトゾ〜ン MEMORIES 1」によると、コスモ石油(←大協石油)も利用していたようである。
「トワイライトゾ〜ンMANUAL6」付録の「昭和58年版全国専用線一覧表」には、水江町駅接続として四日市油槽専用鉄道(第三者利用者として大協石油)が掲載されているが、一方で東洋硝子の社名はない。